やっぱ森保じゃ駄目だろうと思わせたW杯・最終予選の最終戦。
すでにW杯出場が決まって消化試合となったということで、森保はスタメンを大きく入れ替えてきた。
GKは川島、4バックが山根、麻也、谷口、中山で、MF柴崎、原口、旗手、久保建英、三笘、FW上田綺世という11人。
先週の豪州戦からじつに9人の入れ替え。またかよって感じ。この継続性のなさに森保の駄目さ加減が如実に表れている。
そもそも、この期に及んでGKがシュミット・ダニエルではなく川島ってのはなんなんだ。試しに使うならば伸びしろの大きな若者でしょうよ。森保にはいまだ川島の実力が把握できていないってこと? それはどんな趣味の悪い冗談だ。
まぁ、僕は綺世、久保、三笘を観たいと思っていたから、彼ら全員がスタメンに名を連ねるメンバー表をみたときには楽しそうだなと思ったけれど、でも同時に、これで大丈夫なの?――と疑問にも思った。
今回の最終予選で日本代表のキーパーソンとなったのは遠藤航・守田・田中碧のボランチ・トリオだ。中盤を運動量が多くて守備力の高いメンツで埋めることで、安定した試合運びを実現していた。中盤を厚くして失点の芽を摘み取り、あとは伊東純也の決定力頼り。――それがこのところの森保ジャパンの最新モードだった。
ところがこの日のスタメンにはそのボランチの3人がいない。かわりのボランチが柴崎ひとりって、おいおい。
柴崎の持ち味は守備力ではなく、攻撃力でしょうに。ちょっと前には攻撃的MFとしてプレーさせていたじゃんよ。なんでそんな選手に中盤の底をひとりで担わせる? この期に及んで柴崎にチャンスを与える姿勢はあっぱれだけれど、チームとしての戦術がいい加減すぎない?
ベトナムが守備的な戦い方をしてくるからボランチは柴崎くらいの守備力があれば大丈夫という判断だったのかもしれないし、実際にベトナムのシュートは1本だけという結果だから、あながち間違った考えではないという意見もあるかもしれない。
でも結果はそのたった1本のシュートを決められ、攻めても攻撃が散発で1点しか奪えずにドローに終わっているのだから、あきらかに采配ミスでしょう?
最終予選では5試合連続で完封勝利中だった日本が最下位のベトナム相手に失点したのは、確実に9人の選手を入れ替えた弊害だろう。たとえ代表レベルの選手たちだったとしても、慣れないメンツではセットプレーの守備がおぼつかないのも道理。いつものメンバーで戦っていれば、防げていた失点だったのではないかと思う。そもそも失点につながるセットプレーさえ与えてなかったんじゃなかろうか。
0-1で終わった前半の出来をみて森保はすぐに動いた。旗手は前半だけでお役御免(この日がA代表初出場だったらしい)。後半の頭から虎の子・伊東純也を投入する。
さらには後半途中、吉田麻也の同点ゴール――原口のシュートを相手GKが弾いたこぼれ球を押し込んだ(なぜそこにいる?)――が生まれたあとに、久保→南野、原口→守田、柴崎→碧と一気に交替させ、レギュラー陣をまとめて投入して勝ちにゆく。
でも田中碧のゴールがVARに取り消されたり(直前にボールが当たった南野のハンドという判定)、綺世の泥臭いゴールがオフサイドで認められなかったりで、結局その後は無得点。勝ち点3を奪えずに終わってしまった。
ベトナムはグループ最下位だよ? ここまで1勝8敗の勝ち点3だよ? そんな国になぜ首位の日本が引き分ける? しかもホーム最終戦で?
年末に控えている本大会まで残すところ7ヵ月半だ。この先、親善試合も両手であまるくらいの数しかこなせないという。
だとするならば、いまから必要となるのは本番を見据えた選手たちの相性の確認や、連係の向上でしょう? この日みたいな失点を避けるには、できるかぎり主力を固定して連係を高めてゆくしかないと僕は思う。
このままの体制でゆくならば、本番も遠藤・守田・碧の三人を軸にして、伊東純也の攻撃力を頼りに戦うことになるんだろう。それならばそれでいい。
でもだとしたら、その4人はちゃんと使おうよ。
あいにくこの日は遠藤・板倉がクラブの事情で離脱して使えなかったけれど、ならばなおさら遠藤不在のケースのシミュレーションにはうってつけじゃん。守田・碧と誰を組み合わせるのがベストか、見極めなくてどうする。その片方だけを使うのだっていいさ。守田と柴崎、柴崎と田中碧の組み合わせでどうなるか。そういうトライをしてくれていれば、なんの文句もなかった。
でも本番では確実に使うことになるだろう選手らにベンチを温めさせて、使うかどうかわからない選手たちを大挙出場させたあげく、連係不足で最下位のベトナム相手にドローって。
出番のなかった選手にチャンスを与えたかった?
なにそれ?
代表チームはなかよしクラブじゃないんだよ。この先使うかどうかもわからない選手を記念に出場させてどうすんだ。めったに戦えない強豪国相手ならばともかく、ベトナムはこれが最終予選初出場だという国だよ?
結果、勝ち点1しか得られなかった日本は、最終的にサウジアラビアに抜かれてグループ2位で最終予選を終えることになった。1位抜けのチャンスをみすみすふいにした。W杯に出られれば順位なんかどうでもいいってこと? そんな馬鹿な話はないだろう。ちゃんと有終の美は飾ろうよ。
アジア杯といい、E-1選手権といい、東京五輪といい、そしてこの最終予選といい、これまでのアジアの舞台でことごとく1位という結果を残せずにいる森保がなにゆえ世界で通用すると思えるかって話だ。本番になればこれまでの負債がすべてプラスに変わって返ってくるとでも思ってるんだろうか。
いまの日本代表は世界に誇れるタレント揃いだ。それはセルティックに四人の日本人を呼び寄せて好成績をあげているポステコグルーが証明している。指揮官に明確なビジョンさえあれば、きちんと成績を残せるだけの選手層の厚さはある。
あとは指揮官の手腕だけ。――でもそこに巨大な疑問符がついてしまうのが日本代表の現状だ。正直やってられない。
こんな風に年がら年じゅう文句ばっかり書いているようならば、いっそすっぱり日本代表なんか観るのをやめたほうがいいんじゃないかと本気で思い始めた。
(Mar. 30, 2022)