2022年4月のサッカー

Index

  1. 04/02 ○ 鹿島2-1清水 (J1・第6節)
  2. 04/06 ○ 福岡0-1鹿島 (J1・第7節)
  3. 04/10 ○ 鹿島0-3横浜FM (J1・第8節)
  4. 04/17 △ 鹿島0-0名古屋 (J1・第9節)
  5. 04/29 ○ C大阪0-3鹿島 (J1・第10節)

鹿島アントラーズ2-1清水エスパルス

J1・第6節/2022年4月2日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 ワールドカップのグループリーグ決定。日本の対戦相手はスペイン! ドイツ! そしてコスタリカかニュージーランドだ~。
 ――そんなW杯グループ抽選会が未明にあった日に実施されたJ1・第6節。対戦相手は去年からひきつづき平岡監督が指揮をとる清水エスパルス。
 鹿島のスタメンはGKクォン・スンテ、DF常本、関川、三竿、安西、MFピトゥカ、樋口、和泉、仲間、FWファン・アラーノ、優磨という顔ぶれ。途中出場は綺世、松村、カイキ、荒木の4人だった。
 綺世がA代表でフル出場、荒木がU-21での試合から中2日ということで、ふたりはベンチスタート。土居がベンチ外で、キャプテンマークはピトゥカがつけていた。
 試合は基本、鹿島ペースで進むも、前半はスコアレスのまま終了。
 でも優勢な試合運びはできているから、後半に勝ち越せばオッケー――とか思っていたら、後半にハプニング。11分にピトゥカとベンジャミン・コロリのあいだで接触プレーから乱闘騒ぎが勃発。ふたりに喧嘩両成敗でイエローが提示される。
 多分ヴァイラー監督はそのカードを考慮したんだろう。ピトゥカはその少しあとに途中交替を命じられる。でもって、やる気まんまんだったピトゥカがその交替に憤慨して、去り際に足元にあったペットボトルを蹴っ飛ばしたところ、そのペットボトルが水をまき散らしながら観客席に飛び込んでしまった(ピトゥカ、さすがのキック力)。
 オフプレーでの出来事ではあったけれど、これを問題視した主審の谷本さんが(二枚目のイエローということで?)レッドカードを提示。ピトゥカは退場になってしまう。
 幸いこのカードは交替が認められたあとだったので、鹿島は11人のままでプレーをつづけることができたけれど、なんとなく嫌な雰囲気になったその少しあとに、清水に先制点を許す悪い流れになってしまう。
 失点は左SBの山原という選手がドリブル突破から蹴り込んだクロスをベンジャミン・コロリが頭で決めたもの。山原のクロスはどんぴしゃの見事なものだった。コロリも日本サッカー(または清水のサッカー)に慣れたのか、去年よりもずいぶんと存在感を増していた。そういや清水には白崎もいたんだった(でも存在感はいまひとつ)。
 なんにしろ、裏では川崎がC大阪相手に1-4(えっ!)というよもやのスコアで負けている。ここで負けて勝ち点差が縮まらない状況は避けたい。
 そんな試合を救って、見事な逆転劇で勝ち点3をもたらしたのが優磨と綺世のツートップのゴールだった。両方とも右サイドのクロスからのヘディング。優磨の同点弾は松村からの鋭いクロス。綺世のは優磨からのふわっとしたクロス。どちらもマークと競り合いながら、見事に決めてみせた。ほんとこのツートップは頼りになる。
 先週のルヴァン杯・ガンバ戦でも1点先制されてから大逆転しているし、これで公式戦3連続逆転勝利だ。毎回先制されているのはなんだけれど、それでも逆転で勝ち点3をもぎ取ってみせる勝負強さは近年なかったものだ。素直にすげーって思う。
 まぁ、ピトゥカが退場になってしまったり、コロリともめた誰か(たぶん優磨)に対して権田からメディア経由での揶揄があったりと、若干気分がよくないこともあったけれど、とりあえずリーグ戦4連勝には大きな拍手を送りたい。
(Apr. 03, 2022)

アビスパ福岡0-1鹿島アントラーズ

J1・第7節/2022年4月6日(水)/ベスト電器スタジアム/DAZN

 リーグ戦5連勝でついに単独首位に浮上~!
 ――って、そのこと自体は嬉しいけれど、こんな序盤戦の順位にはそれほど意味なし。それよりも去年ダブルをくらった福岡に今年はちゃんと雪辱を果たせてよかった。
 この日のスタメンはクォン、常本、関川、三竿、安西、樋口、和泉、ファン・アラーノ、アルトゥール・カイキ、上田綺世、鈴木優磨の11人。キャプテンマークは優磨で(お~)、途中出場は松村、キム・ミンテ、染野の3人。
 前節ペットボトル事件で退場したピトゥカ――四試合の出場停止処分はいささか重すぎでは?――がいないので、ボランチは樋口一枚。
 この日はひさびさにキム・ミンテ(このところ出番がないと思ったら怪我をしていたらしい)がベンチ入りしていたのだから、キムを起用して三竿をボランチに戻すという選択肢もあっただろうに、そうしないあたりがふるっている。ここまでの得点がリーグ最下位の福岡だから、ボランチは樋口ひとりでも大丈夫って判断なんだろうか。そもそも今年はもう三竿はずっとCBのままなんだろうか?
 まぁ、確かにCBとしていいプレーをしているし、今年はボランチよりもCBのほうが手薄な上に、現状だともう樋口は下げられないから(攻守に貢献度が高すぎる)、ピトゥカと樋口をファースト・チョイスとすると、やはり三竿のCB起用が最善策ということになるのかなぁ……。中村亮太朗や名古も観たいんだけれどな。今年はボランチ勢の選手層が厚すぎるのが贅沢な悩みだ。
 ボランチといえば、この試合でおもしろかったのは、終盤の守備固めでキム・ミンテを入れてからのフォーメーション。当然キムがCBに入って三竿がひとつ前に出るのかと思っていたら、なんとキムが入ったのはボランチのポジションだった。なにそれ。
 ヴァイラー、やることが意表をついていておもしろいかも。でも正直いえば、キムをボランチで使うくらいならば、中村や名古や船橋を使ってくれたほうが嬉しいぞ。
 さて、そんな布陣で始まったこの試合。――試合内容はというと、このところのパターンで、アグレッシブにボールをまわしつつも、なぜだか最後まで崩し切れずに、前半は無得点のまま終了。でも、この日は幸いそのまま先制点を許さず。後半26分に上田綺世のなにそれ? ってシュートが決まって鹿島が先制。そのまま逃げ切った。
 上田のシュートはすごかった。ペナルティーエリアの外、やや右手の位置でゴールを背にして和泉からのパスを受けた綺世は、トラップして足元にぴたっと収めたそのボールを反転するなり、そのままグサッとゴールへと突き刺してみせた。なにそのスゴ技?
 もしかしたら鹿島での綺世のプレーを観られる日もそうは長くないんじゃないかって思ってしまうほど見事なシュートだった。これで再び得点王ランキング単独トップ(!)だし、海外のクラブから声がかかるのも時間の問題でしょう。海外移籍するのはせめて今年のタイトルを獲得してからにして欲しいなぁ……。
 対する福岡ではかつてのチームメイトだった奈良、杉本太郎がスタメンで、金森が途中出場でプレーしていた。でもって、杉本と金森はともに惜しいシュートを打っていたし(クォン・スンテのナイスセーブに阻まれていた)、奈良も堅実な守備力を発揮してて、それぞれに好印象だった。
 福岡にはほかにも去年2ゴールを許したフアンマや、オランダ人のクルークス、磐田から移籍してきた昨年度J2得点王のルキアン(この日は途中出場)など、意外と外国人にも存在感があったし、歯車が噛みあえばもっと点を取れるようになるのではないかと思った。後半戦の対戦も要注意。
 綺世のゴールと並ぶこの試合のクライマックスは、後半アディショナル・タイムのラストプレー。金森が放り込んできたあわやというループシュート(解説の梶いわく、あれはクロスだそうだ)を止めたクォンのビッグセーブには痺れた。クォン・スンテ、ありがとー!
(Apr. 07, 2022)

鹿島アントラーズ0-3横浜F・マリノス

J1・第8節/2022年4月10日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 中3日なのに前節と同じスタメンで強敵マリノスに挑んで惨敗を喫した一戦。
 まぁ、0-3というスコアは悲惨だけれど、内容的にはそこまで圧倒されたわけではなかったのが救い。後半徐々に押し込まれてきて、82分に失点を許すまでは、互角とはいわないまでも、締まった試合ができていたし、その後の2失点はフォーメーションを3バックに替えた弊害。先制されたあとで起死回生を狙って常本を下げたことでバランスが崩れて、右サイドがすかすかになってしまった。要するに賭けに出て負けた形だから、それほど精神的なダメージはないだろう。
 ただ、試合後のインタビューでヴァイラーが「3バックは落とし込みたいことのひとつ」とか言っているのは気になるところだ。戦術の幅が増えるのは悪いことではないけれど、だからといって最初から3バックで戦うようなチームにはなって欲しくない。
 とりあえず、この日の失敗を踏まえて今後改善してくれればばいい。逆にこれに懲りずに同じような失敗を繰り返すようだと、ヴァイラーに早々に愛想が尽きてしまうかもしれない。少なくてもきょうの采配はけっこう疑問符がついた。
 マリノスの先制点は永戸(!)の左CKからのアンデルソン・ロベスのヘディング。2点目は西村拓真。3点目は三竿のオウン・ゴールだから、つまりマリノスの全得点は新加入の選手だけで奪ったことになる。永戸も鹿島にいたときには観た記憶がないようなどんぴしゃのキックを見せるのはなんだかなぁ……。
 鹿島の交替は後半18分にカイキ、アラーノを聖真、松村に替え、32分に優磨、和泉をさげて、キム・ミンテと染野を入れ、あとは40分の常本→荒木という5人。
 後半途中からは運動量が落ちてマリノスに押し込まれる時間帯がつづいていたので、和泉に替えてキム・ミンテを入れたのは最悪ドローでもいいという計算だったのだろうと思うけれど、この日のキムは守備で軽くポカをやったり、ゴール前の絶好機でシュートをふかしたりで、あまり印象がよくなかった。
 彼が入ってから3失点しているわけだし、守備固めにならないのならば、なんのための投入かって話だ。DFとして使わないのならば別の選手にして欲しい。ただでさえボランチは駒が豊富なのだから。キム・ミンテは足元がそれほど得意って感じでもないので、彼の中盤での起用は不用意なリスクって気がしてしまった。
 あとは土居聖真らの途中交替の選手たちがこれといってインパクトを残せずに終わったのと、アラーノ、カイキ、松村らが、綺世にパスを出せば絶好機ってシーンでシュートを打ってチャンスをふいにしていたのが残念だった。あさってにシュートを打つくらいならばパスを出してくれっていいたい。
 これで今季2敗目で3位に後退。負けたフロンターレとマリノスが1位、2位だという、なんだかとてもわかりやすい結果になっている。
 優勝争いの最右翼の二チーム相手に序盤戦のホームで連敗するとは、今年のリーグ戦もすでに黄色信号な感じ。
(Apr. 10, 2022)

鹿島アントラーズ0-0名古屋グランパス

J1・第9節/2022年4月17日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 試合の一時間後にずとまよのライヴがあったので、あえてリアルタイム観戦はあきらめ、帰宅後に見逃し配信で観たグランパス戦。
 スタメンはクォン・スンテ、常本、関川、三竿、安西、樋口、和泉、ファン・アラーノ、アルトゥール・カイキ、上田綺世、鈴木優磨の11人。つまり3試合連続で同じ(だよね?)。ピトゥカの出場停止期間中はずっとこのままなんだろうか。途中出場は土居聖真、荒木遼太郎、松村優太の3人のみ。使える駒を使わないままスコアレス・ドローで終わったヴァイラー采配はいささか疑問だ。
 名古屋はかつてのチームメイトである金崎、相馬、レオ・シルバがスタメンだった。あと最終ラインが丸山と中谷に、藤井陽也はるやという21歳のDFを加えた3バックだった。吉田豊みたいないいSBがいるのに、彼にベンチを温めさせて3バックを選択するのって、個人的には残念だ。監督は今季から長谷川健太。
 まぁ、去年は鉄壁の守備力で上位に食い込んだ名古屋が、今季はここまでリーグ戦6試合連続失点中だというので、まずは守備からということなんでしょう。おかげさまで両軍とも中盤でつぶしあっているうちに90分が過ぎてしまった、という感じの試合。鹿島自慢の綺世・優磨のツートップにもほとんどボールが入らなかったし、スコアレス・ドローに終わったのが順当って一戦だった。
 名古屋はここまで13位と低迷しているけれど、マテウス・カストロ(今年から苗字がついた)はあいかわらず存在感抜群だし、稲垣とレオ・シルバのボランチコンビは当然のようによいし、途中出場で柿谷や斎藤学が出てきたりするしで、決してそんな順位に沈んでいていいクラブじゃないよなと思った。
 ライヴでくたくたになって帰宅したあとに、酒を飲みながら観ていたので、この試合についてはこれでおしまい。
(Apr. 18, 2022)

セレッソ大阪0-3鹿島アントラーズ

J1・第10節/2022年4月29日(金)/ヨドコウ桜スタジアム/DAZN

 鹿島アントラーズがJリーグ通算1,000試合目のメモリアルマッチを白星で飾った。
 対するセレッソもGKのキム・ジンヒョンが外国人としてはマルキーニョスと並ぶ史上最多の333試合出場を達成したそうだ。結果がこれではお気の毒としかいいようがないけれど。
 この日は試合開始前に大雨が降っていた影響で、ピッチはびしょ濡れ。さいわいキックオフの頃には雨は上がっていたようだけれど、序盤戦はまだ水がはけ切っていなくて、ボールが転がらなかった。パスしたボールは水しぶきをあげて止まってしまう。
 さすがにこれではいいサッカーはできなかろうから、双方にとって難しい試合になるかと思ったら、意外やそんなことがなかった。鹿島が前半15分までに2ゴールを奪って、あっという間に試合を決定づける。
 この日のスタメンはGKクォン・スンテ、DF常本、ブエノ、関川、安西、MF三竿、樋口、松村、和泉、FW綺世、優磨の11人。途中出場は中村亮太朗、カイキ、染野、キム・ミンテの4人。
 ひさびさにブエノがCBでスタメン出場して、三竿はボランチ起用(今季初では?)。あと松村が今季初スタメンに抜擢された。
 この松村の起用が大正解。前半の2得点は彼と優磨の連携から生まれたものだった。
 先制点は松村が左サイドへと流れて積極的に打って出たシュートのこぼれ球を優磨がヘディングで押し込んだもの。
 2点目は関川がセンターラインより前へ出て相手のボールをカット、そのボールを受けた優磨が左足で入れた見事なクロスを、ゴール前にフリーで入りこんだ松村がジャンピング・ボレーで決めた。
 気がつけば松村も今年でもう3年目。同期の荒木にはいささか差をつけられてしまった感があるけれど、この日みたいなプレーをコンスタントにつづけられたら、レギュラー定着も夢ではないかも。でもそうなると、このところすっかり出番が減っている土居聖真の立場が微妙なことになりそうで、ちょっと心配だ。この試合ではなぜかベンチ外だった荒木も同様。ふたりがこの先もヴァイラーのサッカーにマッチせずに不遇な一年を過ごすようなことになりませんように。
 さて、そんなわけでこの試合は序盤で趨勢が決して、あとは楽な展開になった……といえればよかったけれど、セイフティー・リードを奪ったことで、無理をしなくなったせいか、その後はずっとセレッソ・ペースで試合が運ぶ。1点でも取られればどうなるかわからないから、あまり安心して観ていられる気分ではなかった。
 後半ロスタイムの試合終了間際に鈴木優磨(存在感がはんぱない)のスルーパスを受けた樋口が深い位置からマイナスで折り返したボールをカイキが決めて3点目を奪ったから、最終スコアは3-0で完勝って感じになったけれど、後半は攻められっぱなしで、いささかストレスフルだった。
 セレッソは加藤陸次樹{むつき}と山田寛人という若いツートップ。出戻りのブルーノ・メンデスら助っ人外国人にベンチを温めさせているだけあって、なかなか迫力があった。セットプレーには定評のある原川がいるし――鳥栖では樋口と一緒にプレーしていたらしい。なんだその強力なダブル・ボランチ――清武はコンディション不十分だったのか前半だけで引っ込んでしまったけれど、交替で出てきたジェアン・パトリッキというブラジル人もスピードがあっていい感じだった。乾は監督(去年から引き続き小菊氏)に反抗的な態度をとったとかで謹慎中。
 鹿島にとっては文句なしの結果に終わった試合だけれど、後半途中でブエノが足を痛めて交替してしまったのが唯一残念な点。せっかくスタメンのチャンスをもらっていいプレーをしていたのに怪我で途中出場になってしまうとは、ブエノもついてない。ブエノの交替とともに三竿がCBに下がったので、最後に守備固めで出てきたキム・ミンテはこの日もボランチとしてプレーしていた。
 ということで、ゴールデンウィーク初日の試合は無事白星に終わり、第10節を終えた時点でアントラーズが首位に躍り出た。暫定ではない首位は開幕戦以来? とりあえずふたたび川崎よりも上にいるってのが貴重だ。このままずっと上にいて欲しいところだけれど、難しいだろうなぁ……。
 次節は出場停止期間明けのピトゥカも戻ってくるはずだから、彼の復帰でまたチームのバランスがどう変わるのか要注目。あとこの先の土居聖真と荒木遼太郎の巻き返しにも期待している。
(Apr. 30, 2022)