柏レイソル1-2鹿島アントラーズ
J1・第19節/2022年7月2日(土)/三協フロンテア柏スタジアム/DAZN
上田綺世がベルギーに移籍してしまった。
新しい環境に身を置き成長したいとのことだけれど、移籍先のサークル・ブルージュKSVは去年ベルギー・リーグの10位だ。いっちゃわるいが、Jリーグで優勝争いの渦中にあるクラブに所属するリーグ得点王が、手が届くところにあるタイトルを放り出してまで移籍するほど、そのクラブが魅力的だとは思えない。
来月にはE-1選手権が国内組だけを招集して行われるので、そこで活躍すればW杯出場にも一歩近づけただろうに、移籍してしまってはそれもかなわない。
あと半年日本で我慢して鹿島に優勝をもたらし、みずからも得点王の称号を手にすれば、もっといいクラブからのオファーだってあったかもしれないのに……。
あぁ、なんかいろいろともったいないなぁって思わないでいられない。ベルギーから帰国したばかりの優磨が引き留めてくれることを期待していたんだけれどなぁ……。
ということで、上田綺世の流出を嘆きつつ観ることになった柏戦。
上田の穴を誰が埋めるのかが注目されたこの試合、スタメンを飾ったのはGKクォン・スンテ、DF常本、関川、キム・ミンテ、広瀬、MF樋口、三竿、安西、仲間、FW鈴木優磨、土居の11人だった。途中出場はカイキ、和泉、ピトゥカ、エヴェラウド、船橋の5人。
綺世のかわりはエヴェラウドではなく土居!――というのも意外だったけれど、それよりも広瀬を左SBに起用して、安西を右の攻撃的MFとして起用、でもって仲間が左サイドというフォーメーションの変更にびっくり。あと、ピトゥカがベンチで三竿がひさびさにボランチだし。ピトゥカのみならず、このところ不動だったカイキと和泉をスタメンから外してきたこの日のヴァイラー采配はこれまででいちばん意外性があった。
まぁ、連日猛暑日がつづく過酷な環境で、ここからは中3日での3連戦なので、ここまで稼働率が高かったメンバーにあえて休養を与えたのかもしれない。
で、この日のフォーメーションがよかったか悪かったか、僕にはなんともいえない。まぁ、広瀬は左でも意外といけるじゃん? とは思った。あと、聖真はチャンスをちゃんと決めないと、今年はこの先も出場機会は少ないままだろうとも思った。安西を前半だけで下げるようならば、最初からカイキのほうがよかったんじゃんとも思った。
対する柏はここまで5位と好成績を残している。古賀太陽(キャプテンなのね)を中心とした3バックでしっかりと守り、10番らしい存在感を発揮するマテウス・サヴィオ、売り出し中のFW細谷らを擁する。プレスも厳しいし、なるほど上位につけているだけあって手強いなと思った。レギュラーの高橋祐治が累積警告のために出場停止だというので、その分ディフェンスが緩くなるのではと期待していたのだけれど、そんなことなし。
お互いに高いインテンシティで中盤をつぶしあう展開で、なかなか試合は動かない。
こりゃ後半勝負だなぁと思った前半のロスタイム。均衡を破ったのは鹿島だった。
樋口の左CKから、ニアに切れ込んできたキム・ミンテが、これぞ鹿島って完璧なヘディングを決める。キムをスタメン起用したヴァイラー采配ずばり。
前半の膠着した内容からすれば、この1点で勝てるかと思ったのに、思わぬ伏兵がいて、計算が狂った。
柏は後半16分から武藤雄樹を入れてきた。
武藤っていま柏なのか!(しかも背番号9)と驚きつつ、いやな時間帯にいやな選手が出てきたなぁと思っていたら、この不安が的中してしまう。
交替からわずか2分後。マテウス・サヴィオが右から蹴り入れた斜めのクロスが、関川の頭上を通り過ぎて、そこに飛び込んできた武藤にずばり納まる。武藤はこれをダイビング・ヘッドで決めて同点。
武藤はその後もあわやというループシュートを2本ほど放っていたし、やっぱセンスあるよなぁって思った。怪我で出遅れていたらしいけれど、この日は細谷とコンビを組んだ小屋松(28歳)のミスに助けられた感もあったので、もしも最初から細谷と武藤のツートップだったら危なかったかもしれない。
ということで、武藤の活躍により一度はイーヴンに戻された試合だけれど、これを再び動かしたのは鈴木優磨だった。後半37分にPKを獲得。
ここでのポイントは、優磨が獲得したPKをみずから蹴らず、途中出場のエヴェラウドに譲ったこと。優磨は試合後に「エヴェラウドを復活させることが自分のミッションのひとつだと思っているので」みたいなことを言っていたらしい。カッコよすぎる。
ということで優磨がもらったPKをエヴァが決めて鹿島が勝ち越し(GKが見事な読みで反応したのに、その手を弾いて決まるエヴェラウドのシュート力の凄まじさよ)。この1点を守り切って、鹿島が勝ち点3をものにした。
そういえば、柏のGKはキム・スンギュではなく、佐々木
中村航輔といい、佐々木といい、柏から次々と若くていいGKが出てくるのはなんなんすかね。
(Jul. 03, 2022)