2022年7月のサッカー

Index

  1. 07/02 ○ 柏1-2鹿島 (J1・第19節)
  2. 07/06 △ 鹿島3-3C大阪 (J1・第20節)
  3. 07/10 △ 札幌0-0鹿島 (J1・第21節)
  4. 07/16 △ 鹿島1-1神戸 (J1・第22節)
  5. 07/19 ○ 日本6-0香港 (E-1サッカー選手権)
  6. 07/24 △ 日本0-0中国 (E-1サッカー選手権)
  7. 07/27 ○ 日本3-0韓国 (E-1サッカー選手権)
  8. 07/30 ● 横浜FM2-0鹿島 (J1・第23節)

柏レイソル1-2鹿島アントラーズ

J1・第19節/2022年7月2日(土)/三協フロンテア柏スタジアム/DAZN

 上田綺世がベルギーに移籍してしまった。
 新しい環境に身を置き成長したいとのことだけれど、移籍先のサークル・ブルージュKSVは去年ベルギー・リーグの10位だ。いっちゃわるいが、Jリーグで優勝争いの渦中にあるクラブに所属するリーグ得点王が、手が届くところにあるタイトルを放り出してまで移籍するほど、そのクラブが魅力的だとは思えない。
 来月にはE-1選手権が国内組だけを招集して行われるので、そこで活躍すればW杯出場にも一歩近づけただろうに、移籍してしまってはそれもかなわない。
 あと半年日本で我慢して鹿島に優勝をもたらし、みずからも得点王の称号を手にすれば、もっといいクラブからのオファーだってあったかもしれないのに……。
 あぁ、なんかいろいろともったいないなぁって思わないでいられない。ベルギーから帰国したばかりの優磨が引き留めてくれることを期待していたんだけれどなぁ……。
 ということで、上田綺世の流出を嘆きつつ観ることになった柏戦。
 上田の穴を誰が埋めるのかが注目されたこの試合、スタメンを飾ったのはGKクォン・スンテ、DF常本、関川、キム・ミンテ、広瀬、MF樋口、三竿、安西、仲間、FW鈴木優磨、土居の11人だった。途中出場はカイキ、和泉、ピトゥカ、エヴェラウド、船橋の5人。
 綺世のかわりはエヴェラウドではなく土居!――というのも意外だったけれど、それよりも広瀬を左SBに起用して、安西を右の攻撃的MFとして起用、でもって仲間が左サイドというフォーメーションの変更にびっくり。あと、ピトゥカがベンチで三竿がひさびさにボランチだし。ピトゥカのみならず、このところ不動だったカイキと和泉をスタメンから外してきたこの日のヴァイラー采配はこれまででいちばん意外性があった。
 まぁ、連日猛暑日がつづく過酷な環境で、ここからは中3日での3連戦なので、ここまで稼働率が高かったメンバーにあえて休養を与えたのかもしれない。
 で、この日のフォーメーションがよかったか悪かったか、僕にはなんともいえない。まぁ、広瀬は左でも意外といけるじゃん? とは思った。あと、聖真はチャンスをちゃんと決めないと、今年はこの先も出場機会は少ないままだろうとも思った。安西を前半だけで下げるようならば、最初からカイキのほうがよかったんじゃんとも思った。
 対する柏はここまで5位と好成績を残している。古賀太陽(キャプテンなのね)を中心とした3バックでしっかりと守り、10番らしい存在感を発揮するマテウス・サヴィオ、売り出し中のFW細谷らを擁する。プレスも厳しいし、なるほど上位につけているだけあって手強いなと思った。レギュラーの高橋祐治が累積警告のために出場停止だというので、その分ディフェンスが緩くなるのではと期待していたのだけれど、そんなことなし。
 お互いに高いインテンシティで中盤をつぶしあう展開で、なかなか試合は動かない。
 こりゃ後半勝負だなぁと思った前半のロスタイム。均衡を破ったのは鹿島だった。
 樋口の左CKから、ニアに切れ込んできたキム・ミンテが、これぞ鹿島って完璧なヘディングを決める。キムをスタメン起用したヴァイラー采配ずばり。
 前半の膠着した内容からすれば、この1点で勝てるかと思ったのに、思わぬ伏兵がいて、計算が狂った。
 柏は後半16分から武藤雄樹を入れてきた。
武藤っていま柏なのか!(しかも背番号9)と驚きつつ、いやな時間帯にいやな選手が出てきたなぁと思っていたら、この不安が的中してしまう。
 交替からわずか2分後。マテウス・サヴィオが右から蹴り入れた斜めのクロスが、関川の頭上を通り過ぎて、そこに飛び込んできた武藤にずばり納まる。武藤はこれをダイビング・ヘッドで決めて同点。
 武藤はその後もあわやというループシュートを2本ほど放っていたし、やっぱセンスあるよなぁって思った。怪我で出遅れていたらしいけれど、この日は細谷とコンビを組んだ小屋松(28歳)のミスに助けられた感もあったので、もしも最初から細谷と武藤のツートップだったら危なかったかもしれない。
 ということで、武藤の活躍により一度はイーヴンに戻された試合だけれど、これを再び動かしたのは鈴木優磨だった。後半37分にPKを獲得。
 ここでのポイントは、優磨が獲得したPKをみずから蹴らず、途中出場のエヴェラウドに譲ったこと。優磨は試合後に「エヴェラウドを復活させることが自分のミッションのひとつだと思っているので」みたいなことを言っていたらしい。カッコよすぎる。
 ということで優磨がもらったPKをエヴァが決めて鹿島が勝ち越し(GKが見事な読みで反応したのに、その手を弾いて決まるエヴェラウドのシュート力の凄まじさよ)。この1点を守り切って、鹿島が勝ち点3をものにした。
 そういえば、柏のGKはキム・スンギュではなく、佐々木雅士{まさと}という二十歳の選手だった。キムは近々海外移籍でクラブを離れるとかで、佐々木にチャンスが回ってきたようだけれど、彼はユース世代の日本代表に呼ばれる逸材らしい。
 中村航輔といい、佐々木といい、柏から次々と若くていいGKが出てくるのはなんなんすかね。
(Jul. 03, 2022)

鹿島アントラーズ3-3セレッソ大阪

J1・第20節/2022年7月6日(水)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 このところ、はやくも夏バテ気味なのか、いまいち頭が働かないので手短に。
 この日のスタメンはクォン・スンテ、常本、関川、キム・ミンテ、広瀬、三竿、ピトゥカ、仲間、カイキ、和泉、優磨の11人。
 最終ラインが前節と同じ4人だったのに驚いた。なぜにヴァイラーはキム・ミンテがこんなに好きなんだ?――と不思議に思っていたけれど、この日になってようやくその理由が腑に落ちた。そうか、でかいからか。
 キムの187センチはいまの鹿島のDFでは最長。欧州基準の大柄な選手たちに慣れている監督ならば、小柄な選手が多いチームのなかにその高さの選手がいれば、使いたくなるのも道理なんだろう。
 でもこの日の最初の失点はそのキム・ミンテのミス。アダム・タガードがトラップしたボールをクリアしようとして、きれいに自軍のゴールへと流し込んでしまう。びっくりするくらいにあっさりとした見事なオウン・ゴールだった。
 まぁ、あっけなさという意味では、前半ロスタイムのカイキの同点ゴールもそう。セットプレーからツータッチくらいのあと和泉が入れたクロスにカイキがファーであわせたヘディングは、ポストにあたってキム・ジンヒョンのファンブルを誘い、ゴールを割った。あらら、入っちゃったって感じだった。
 そんなわけで1-1で終わった前半の2ゴールは、それぞれなにそれって感じだったけれど、後半に決まった4本のゴールはどれも素晴らしいものばかりだった。
 まずは複数名が絡んだ積極的なボール奪取から、最後は右サイドに流れてきていた広瀬が入れたクロスを優磨がファーでジャンプして胸トラップして決めた逆転弾が素晴らしかった。優磨、さすがに頼りになる。和泉もナイスアシスト。
 でも、敵もさる者。そのあと途中出場の加藤陸次樹とパトリッキにつづけてゴールを決められて逆転を許してしまう。どちらもカウンターから、マークについた味方DFが相手FWとのデュエルに負けた形。まぁ、敵ながらあっぱれでした。
 問題があるとするならば、その2失点がどちらも途中交替で選手を入れ替えたあとなことだ。仲間→エヴェラウド、三竿→樋口、広瀬→安西という交替だから、フォーメーションをいじったわけではないのに、どうしてそんなに守備が乱れる? わけがわからない。勝っている状況で選手を入れ替えて守備が破綻とか駄目すぎでしょう?
 再逆転を許した時点で残り10分ちょい。そのあと残り5分を切ってから和泉を土居に替えて最後の反撃を試みるも敗色濃厚。
 あぁ、負けたか……と思った後半残り1分。劇的な同点ゴールが生まれる。
 エヴァラウドが右サイドから打った(苦しまぎれの?)バイシクル・シュートが、絶妙なループを描いてファーポストにあたり、ゴールイン!
 このめったに見れないようなレアな同点弾でこの日の試合は打ち止めとなった。
 最後のエヴェのゴールはすごかったけれど、三竿のCB起用で安定していたチームをいじって3失点なんて試合をしたヴァイラー采配には不満が残った。
 対するセレッソは清武、原川、ブルーノ・メンデスらが不在で、知らない選手のほうが多かった(そういや乾は結局退団)。それでもここまで5位という成績はだてじゃないなって思わせるタフな対戦相手だった。なにより今年は川崎相手にダブルってのがすごい。マジ?
 あの川崎から2勝したってだけでもう鹿島より上じゃんって気がしてしまう。
(Jul. 07, 2022)

北海道コンサドーレ札幌0-0鹿島アントラーズ

J1・第21節/2022年7月10日(日)/札幌ドーム/DAZN

 上田綺世と鈴木優磨がいないと、ここまで攻撃力が低下してしまうとは……。
 この試合でなぜ優磨がベンチをはずれたのか定かではないけれど、綺世が抜けたいま、彼の不在は致命的だった。
 札幌相手にシュートわずか5本てなに? すべてのスタッツで札幌に上回られているのだけれど。いくら相手のホームだからってあんまりだ。優磨の欠場の理由が軽いコンディション不良であってくれることを願うばかり。
 ということで、この日のスタメンはクォン・スンテ、常本、三竿、キム・ミンテ、広瀬、樋口、ピトゥカ、和泉、カイキ、土居、エヴェラウドという構成だった。
 前節の3失点の責任を負わされたのか、関川がはずれて、三竿がCBに戻った。おかげで守備の安定感は戻ったけれど、でも攻撃はからっきし。エヴェと土居のツートップが連係するところなんてほとんど見られない。というか、ふたりにいい形でボールが入らない。優磨のみならず、このところ存在感を増していた仲間もいなかったから、なおさらだった。とても首位争いをしているチームとは思えない不出来さだった。
 途中後退が樋口→船橋、エヴェ→安西、土居→中村亮太朗の3枚だけってのもわからない。せっかくベンチに入れてるんだから、染野も使おうよ。無得点で終わった試合でFW遊ばせている場合か。樋口が抜けてセットプレーの精度が下がり、エヴェがいなくなって前線の高さが減って。中村亮太朗が入ったことで、終盤から押し上げられるようにこそなったものの、あとは単に攻撃力のさらなる弱体化を招いただけって気しかしない。本当にヴァイラーの交替策って意味が不明だ。
 キム・ミンテを使うと外国人が5人(韓国人2人とブラジル人3人)になって、外国人枠の上限に達してしまうので、このところファン・アラーノの出番がなくなっているのだと思うけれど、それだったら関川を入れて、ファン・アラーノを使ったほうがよくない? ここまで攻撃が貧相な試合を見せられてしまうと、使える攻撃の駒を有効に使えないヴァイラーに不満を感じずにはいられない。
 どうせならば、最終ラインは三竿と関川にして、樋口と中村亮太朗にダブル・ボランチを任せ、前をブラジル人4人で固めるような極端なフォーメーションだっておもしろいと思う。そういうチャレンジをしてくれれば、ヴァイラーももっと支持できるんだけれど。キム・ミンテを贔屓にしているせいで、チームが上手く回らなくなってしまっている感じがどうにも納得がいかない。どう考えても今年の補強のいちばんの間違いは、ブラジル人が5人もいるのに韓国人DFを獲ったことだよなぁ……。ほんとなにを考えているんだか。
 対する札幌はローテーションの都合なのかもしれないけれど、こちらとは対照的に、スタメンも途中出場も全員が日本人だった。で、スタメンには興梠がいて、途中出場で西大伍が出てきた。福森がベンチスタートだったりして、半分くらいは馴染みのない選手だったけれど、前述した通り、スタッツは札幌のほうが上だったから、お互いの順位(鹿島は2位であちらは11位)を考えれば、札幌にとってはドローは決して悪い結果じゃなかったんではなかろうか。
 それにしても、ペトロヴィッチ監督って、もう日本に17年もいるんすね。今年はいまいち成績が振るわないし、野々村氏がJリーグのチェアマンに就任して、札幌も体制が変わっているのだろうから、今後どうなるのかはわからないけれど、とりあえず末永いご活躍を願っております。
(Jul. 10, 2022)

鹿島アントラーズ1-1ヴィッセル神戸

J1・第22節/2022年7月16日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 今季は開幕から最下位に沈みっぱなしだったヴィッセル神戸は、前半戦で三浦淳宏監督を解任。代理監督をへてロティーナを招聘するも、成績が上がらないので再度解任。でもっていまは吉田孝行が監督を務めている。吉田が神戸の監督を努めるのはこれが三度目だそうだ(困ったときの吉田孝行)。でもって、今回はその監督交替の効果があったらしく、意外やロティーナ解任後は3連勝して降格圏内を脱出している。
 そんな上り調子の神戸と、このところ低迷気味の鹿島との対戦――ってことで、大丈夫かなと思っていたら、やはり駄目。試合は1-1のドローという結果に終わった。
 これで鹿島はリーグ戦は3試合連続ドロー。この日は首位の横浜も引き分けたから、勝ち点の差は5のまま暫定2位をキープしているけれど、ここへきて3位の川崎が新型コロナの影響で2試合中止になっているから、その分の勝ち点6を川崎に加えると3位相当。まぁ、このところの鹿島の出来だと、それでさえ出来過ぎに思えるけど。ここまでの好成績は本当に上田綺世頼りだったんだなぁって思う。
 この日のスタメンはクォン・スンテ、常本、三竿、キム・ミンテ、広瀬、中村亮太朗、ピトゥカ、和泉、カイキ、鈴木優磨、エヴェラウドの11人。途中後退は関川、安西、土居、船橋の4人。
 前節欠場した優磨が無事帰ってきた。でもかわりになぜか樋口がベンチ外で、中村亮太朗がリーグ戦初スタメン。
 頼みの優磨が戻ったというのに鹿島の出来の悪さはあいかわらずで、これといった見どころもないまま、前半は0-0で終了。試合が動いたのは後半7分のことだった。
 前半の終わり近くに神戸のワントップ武藤嘉紀が足を痛めて退場し、交替で出てきた大迫がここで大きな仕事をする。みずからドリブルで持ち込むと右サイドの小田裕太郎(20歳)という選手にボールを預けて、そのままペナルティエリアに入り込み、小田からのクロスを頭で決めてみせた。見事な自作自演(使い方が間違っている気が)。
 大迫はヨッチにスタメンを奪われてこのところ途中出場がつづいているようだから、調子はいまいちなのかと思っていたけれど、なんのなんの。得意のポストプレーはあいかわらず強力だし、ぜんぜん問題なしだった。この大迫にベンチを温めさせる神戸の選手層の厚さがすごい。この戦力で低迷しているのもすごいけど。
 あ、でもこの日の神戸のスタメンにはイニエスタしか外国人がいなかった。そのほかにベンチ入りしていた外国人も加入したばかりのムロシャというモンテネグロ人だけ。神戸というと金の力にものをいわせて集めた豪華な助っ人勢が売りって印象があったけれど、苦しいシーズンを送るうちにずいぶんとメンバー構成が変わっているみたいだ(ちなみにサンペールは故障中とのこと)。
 まぁ、日本人中心になったといっても、大迫、武藤、山口蛍、橋本拳人(!)、酒井高徳ら元日本代表勢に加え、レッズから移籍してきた汰木や、すっかり最終ラインの柱となった菊池流帆なんかがいるんだから、やっぱり選手層は厚い。とくに汰木はかなり効いていた。彼が決定機を外してくれたから助かったって場面がいくつかあった。彼のシュートの精度がもうちょっと高かったら負け試合だったかもしれない。
 大迫といえば、この試合では先制ゴールに加えて、もうひとつ決定的な仕事をした。右サイドからのカウンターでキム・ミンテのファールを誘い、キム・ミンテを二枚目のイエローで退場に追いやってしまう。キム、そりゃ駄目だ……。
 キム・ミンテは柏戦でみごとなヘディングを決めて鹿島を勝利に導いてくれたものの、その後は札幌戦でオウン・ゴールを決めたり、この試合では退場したりと、悪目立ちがすぎる。先制点の場面だって大迫に競り負けて簡単にゴールを許したのが彼だったし。なまじヴァイラーに目をかけられているだけに、プラマイゼロどころか、マイナスな印象なんだよなぁ……。
 なんにしろ、0-1と負けた状況で数的に不利になってしまい、これはもう駄目だと思ったのに、そこから同点に追いついてみせたのがこの試合の救済ポイント。
 同点ゴールは広瀬が入れた斜めのクロスを優磨がファーで折り返し、それを和泉がジャンピング・ボレーでダイレクトに決めたもの。和泉の(ようやくの!)今季初ゴールが貴重な同点弾となって、鹿島に勝ち点1をもたらした。
 退場者を出した試合で劣勢を跳ね返したのは素晴らしかったけれど、でもサッカーの内容はあいかわらず低調だ。三試合もつづけて課題ありの試合を見せられると、やはり本当にこの監督で大丈夫なのって気分になる。
 一晩明けたきょうは染野のレンタル移籍が発表されちゃうしなぁ……。
 なにそれ? 今年は最初からFWが4人しかいなかったのに、そのうちふたりがシーズン途中で移籍するってなにごと? 優勝を狙ってるクラブとは思えない。
 あきらかにFWが駒不足なのに、この時期に染野が移籍を希望するってのは、そりゃもう単純に出番が少なすぎるからでしょう? なぜ使わないんだって話だ。
 ヴァイラーはとにかく選手起用の意図が不明瞭すぎる。
 ピトゥカが古巣復帰を希望しているなんて噂もあるけれど、この監督では選手が不信感を抱いて辞めたくなっても仕方ないのではと思ってしまう。
 次は二週間の代表ウィークを挟んで、首位マリノス戦。前回は惨敗を喫しているだけに、優勝を目指すならば、絶対に勝たないといけない試合だというのに、現状のままだとこれっぽっちも勝てる気がしない。
(Jul. 17, 2022)

日本6-0香港

EAFF E-1サッカー選手権/2022年7月19日(火)/カシマサッカースタジアム/フジテレビ

 もやはこの大会の開催意義がわからない。
 国際Aマッチデーの開催ではないから海外組を呼べないところへきて、森保は国内組からもW杯出場経験のある選手は招集しないとかいう馬鹿なことをいう。
 結果、W杯・本大会で観る可能性がきわめて低い選手たちがわらわらとプレーしているという謎の状況。なにこれ、本当に代表戦?
 さすがにこれでは日本代表のネームバリューなんてないも当然だ。観客にも見限られ、この日の入場者数は衝撃の4,980人。
 すげー、鹿島のプレシーズンマッチより少ない。テレビで観ていても唖然とするほど、スタンドはガラガラだった。日本代表の試合でこれほどまでに閑散とした、それこそ閑古鳥が鳴くような風景を見るとは思わなかった。
 まぁ、鹿島での試合なのに、アントラーズからの選出がゼロ人ならば、そりゃ地元民からもそっぽを向かれるのも当然だよなぁ……。
 なんでも鈴木優磨が招集を断ったなんて噂もあるけれど、三竿や樋口が代表候補にあがらない時点で森保に選手を見る目がないのはあきらかだ。優磨だってあの上田綺世をまともに使いこなせない監督が自分のことを正当に評価してくれると思えないから辞退したのだろう――噂が本当ならば、だけれど。
 いずれにせよ、こんな代表戦ならば、出場しないで身体を休めて次のリーグ戦に備えたほうがよほどましだ。鹿島からひとりも招集されなかったのがかえってありがたい。森保、つまらない試合に鹿島の選手を呼ばないでくれてありがとう~。
 さて、そんなわけでこの日の日本代表のスタメンは、GW鈴木彩艶、DF山根、畠中、谷口、杉岡、MF岩田智輝、水沼宏太、藤田譲瑠チマ、FW西村拓真、町野修斗、相馬勇紀という11人だった。
 マリノスの選手が5人に、川崎2人、湘南2人という、じつに9人が神奈川県のクラブ所属。もはやこれは日本代表ではなく、神奈川選抜なのでは。
 得点は開始わずか2分で相馬が直接FKを決めたのに始まり、町野、西村、西村で前半に4点、後半に町野、相馬の2ゴールで計6点だった。つまり3人の選手が2点ずつとって打ち止め。香港とは実力差があきらかだったから、もうちょっと点が欲しかった。残念ながら後半選手交替をへてからは、あきらかにペースダウンしていた。
 出場している選手たちは普通にプレーしていたのではW杯出場なんてまず叶わないって立場なのだから、もっとがむしゃらにゴールを狙って欲しかった。
 まぁ、それでも西村、町野という今季のJ1得点王を狙える位置につけている選手たちがしっかり2ゴールずつで結果を残したのはよかったのではないでしょうか。相馬はハットトリックのチャンスを逃したのが痛かった。
 後半から出てきたのは中谷、岩崎悠人、宮市亮、脇坂、大南(柏)の5人。
 もはや誰が初代表なのかもよくわからない。
 そういや怪我で招集を辞退した武藤嘉紀に替わって追加招集された岩崎が10番をつけていてびっくりした。なんで今季リーグ戦1ゴールの選手に背番号10を背負わせてるんだか。俊輔のころとくらべると、代表のエースナンバーも軽くなったよねぇ……。
(Jul. 19, 2022)

日本0-0中国

EAFF E-1サッカー選手権/2022年7月24日(日)/豊田スタジアム/フジテレビ

 森保はんぱねー。韓国からU-23と揶揄された中国相手にスコアレス・ドローって。
 もうほとほとうんざりだわ。
 森保はこの試合でも得意のメンバー総入れ替えをしてみせた。それも今回は完全版。前の試合から全11人の総入れ替え。そんなことして、連係もなにもあるわけないじゃん。日本代表とは名ばかりの単なる急増チームじゃん。スコアレス・ドローは当然の結果だろうよって思う。こんな試合していて、なぜに解任されないんだって話だ。
 ということで、この日のスタメンはGK大迫敬介、DF小池龍太(横浜FM)、荒木隼人、中谷進ノ介、佐々木翔、MF野津田、橋本拳人、森崎司、脇坂、橋本拳人、FW宮市亮、細谷真大という11人だった。
 スタメンには広島から大迫、荒木、佐々木、野津田、森崎の5人が選ばれている。途中出場の満田も含めれば6人。
 前回のマリノス5人は現時点でもっとも好調な首位のクラブからだからまだしも、広島は6位だよ? マリノスと勝ち点差10だよ? 今年は上位から下位までの差が詰まっているから、降格圏内との差だって14だよ? そんなクラブから6人も出場させるなんて、それはもう依怙贔屓以外のなにものでもないじゃん。そう思われる選手だってかわいそうだろうよ。
 途中出場は杉岡、町野、満田誠、西村、相馬の5人だったけれど、要するにうち3人は香港戦のスコアラーだ。あまりに点が入らないので二匹目のドジョウを狙って投入してみたけれど、この日は結果が出ずに終わった。そこのところもとことんダセー。
 そもそもなんで最初の交替が佐々木→杉岡なんだ。キャプテンマークを託した佐々木を最初に替えてんじゃないよ。替えるくらいならばキャプテンにするなよ。そもそも鹿島でレギュラー取れなかった杉岡がなぜ代表なんだよ。
 もー、とにかく継続性はないわ、選考理由は謎だわ、おまけに勝てないわって。
 こんな代表を誰が観たがるかって話だ。
 この日の入場者数は10,526人だそうだ。さすがに平日の鹿島でやった香港戦よりは倍増しているけれど、それでも豊田スタジアムは四万人は入るらしいから、四分の三は空席なわけだ。来日中のパリサンジェルマンの親善試合は連日満員だよ?
 マジで日本代表オワコンじゃん。ここまで代表人気を凋落させた森保に一億以上の報酬を与えていまだに監督をつづけさせている意味がわからない。
 もしかして田嶋会長と森保って、日本代表の人気を衰えさせるためによその国から送り込まれた刺客かなんかなんじゃなかろうか。
 だとしたら文句なしの仕事っぷりだわ。
(Jul. 24, 2022)

日本3-0韓国

EAFF E-1サッカー選手権/2022年7月27日(水)/豊田スタジアム/フジテレビ

 終わりよければすべてよし――という気分になれないE-1最終戦。
 日本代表は韓国相手に快勝して四大会ぶりの優勝を果たした。森保ジャパンとしては四年目にして初のタイトル。韓国に負けるとくやしいから、よかったっちゃぁよかったんだけれど、でもこれでW杯の本大会前に森保が解任される可能性はほぼなくなったと思うと、それはそれでとても残念な……。
 ――って、こんな気分にさせられるだけでもう絶対に森保を許せない。
 この日の日本代表のスタメンはGK谷晃生、DF小池、畠中、谷口、佐々木、MF藤田譲瑠、岩田、水沼、FW西村、町野、相馬という11人だった。
 要するに初戦の両SB、山根と杉岡をはずして、小池と佐々木を入れた形。あとGKが鈴木彩艶から谷に替わった(こちらは予想通り)。
 小池が入ったことでついにスタメンのうち6人がマリノスのメンバー。あと谷が湘南で、佐々木も出身は神奈川だそうだから、神奈川にゆかりのない選手は相馬のみという、今回も準・神奈川選抜――でもって戦略はマリノス――って日本代表だった。
 基本は初戦で香港相手に大勝したメンバー構成とほぼ同じだし、これだけ同じクラブの選手がいれば連係は問題なし。中国戦のようなことはないだろうと思っていたけれど、前半をスコアレスで終わってしまったので、まさか森保の勝負弱さここに極まれりか?――と思ったら、後半開始早々にそんな森保の窮地を救ったのが相馬だった。
 右サイドからの藤田からのクロスをファーのゴールライン近くまで入り込んでヘディングで叩き込み、日本代表が先制~。背の低い相馬らしからぬ見事なヘディングだった。ポジショニングが絶妙。藤田のクロスも素晴らしかった。
 今大会このふたりは大いに株をあげた。代表のボランチは激戦区だから藤田は難しいかもしれないけれど、相馬はジョーカー的な役割でW杯最終選考に選ばれる可能性があるんじゃなかろうか。
 それにしても一年前に五輪代表の親善試合にバックアップ・メンバーとしてサプライズ出場した藤田譲瑠チマ(まだ20歳!)が、まさかこんなに早くA代表で頭角を現すとは思ってもみなかった。この子の海外移籍も時間の問題だろうな。
 そのあと相馬につづいて佐々木、町野もゴールを決めた。
 町野はこの大会3得点と結果を残したけれど、FWは大迫を筆頭に、古橋や前田大然、上田綺世らの海外組が強力なので、いまからでは最終選考に残るのはさすがに難しいと思う。このあとJリーグでゴールを量産して得点王になるようならばもしかしたら……という感じ。
 後半途中出場で出てきたのは、宮市、森島、脇坂、橋本、満田の5人。でも宮市は20分足らずのプレーで脚を痛めて交替してしまった。10年ぶりの代表だというのに、なんとも気の毒。大事に至らないよう祈っている(【追記】手術ですって……)。
 気の毒といえば、このあと中2日で鹿島との首位決戦なのに、主力を7人も投入されて、うち3人がフル出場、1人が怪我というマリノスは本当に気の毒の極み。週末の試合はどうなることやら。ただ、いまの横浜と鹿島の状況だと、それくらいのハンディがあってどっこいな気もする。
 まぁ、なんにしろ勝つには勝ったけれど、それにしても今回も韓国は弱かった。解説の岡田さんもいっていたけれど、去年につづいて2年連続で3-0での勝利って、日韓戦でそんなことあったっけ?――と思って過去の記録を確認したら、スコア以前の問題として、韓国に連勝したの、この20年間で初めてじゃん! いやぁ、こんな画期的な勝利のあとでこんなもやもやした気分になるなんて……。
 森保日本代表監督のいちばんの不幸――というか間違いは、五輪代表監督を兼任させてしまったことだと僕は思う。
 この大会で森保は鈴木彩艶、大迫、谷の三人のGKを使ったけれど、それって要するに東京五輪の選考メンバー三人なわけだ。
 普通に考えたら、A代表のGKを選ぶのに、年齢制限があった五輪代表のときとまったく同じ選考になるなんてあり得ない。彩艶なんて浦和でサブなわけだし。なんでレギュラーの西川ではなく、彩艶を呼ぶんだって話だ。彩艶、今年はリーグ戦で一回もプレーしてないじゃん。西川はリーグで2番目に失点の少ないGKだよ? まぁ、失点の少なさはGKだけのおかげじゃないにしろさ。
 いや、俺がよく知らないだけで、もしかしたら鈴木彩艶は日本代表の将来を背負って立つ才能の持ち主なのかもしれない。でも少なくても彼が日本のゴールマウスを守るのは今回のW杯ではないでしょう? いかなる理由があろうとも、リーグ戦の出場機会のない選手を日本代表のGKとしてW杯に出場させちゃ駄目だよね? それでは日々身体を張って自軍のゴールマウスを守っているほかのGKに対して失礼すぎる。
 森保が若手の育成に熱心だったというのならばともかく、これまで彼はそうではなかった。久保建英だって、三笘だって、Jリーグで台頭した時点で呼んで、レギュラーに定着させていたならばそう思えたかもしれないけれど、彼らを代表に呼んだのは海外移籍して評価が高まってからだ。それも渋々という感じで。僕にはそんな森保が日本代表の将来をまじめに考えているとはとても思えない。そんな人に五輪代表監督を任せたのが間違いだ。
 とにかく今回のGK選考の不自然さを見ただけで、森保一という人の選択眼が五輪代表監督を経たために曇ってしまっているのはあきらかだと僕は思う。本来ならば違うものさしで見るべき五輪代表とA代表をきちんと区別できていない。
 ふたつのチームを任されてしまった結果、誰と誰を選んでどういうサッカーをするのがベストかの判断基準がぶれて、その時の気分で調子のよさそうな(でもって自分が好きな)選手をランダムに選んでいるから、いつまでたってもチームのカラーが見えてこない。結果、チームの出来は選んだ選手の調子次第。森保サッカーのつまらなさの原因はそこにある。
 思うに森保一という人は、クラブのように与えられた枠組の中で結果を出すことはできても、代表のような無数の選択肢の中から、みずから最良の組み合わせを選び出して最善の結果を得ることができない人なんだろう。そういうところはすごく日本人らしい。彼をみていると、クラブと代表とでは、監督として求められるスキルが違うんだということがわかる。当然両者を兼ね備えている監督だっているはずだけれど、少なくても森保がそういう人ではないということは、この四年間のていたらくが証明している。
 W杯の前に日本国内で行われる日本代表の試合はこれが最後だそうだ。それなのに入場者数は14,117人。日韓戦だけあってこの大会では最多だけれど、それだってスタジアムの収容人数の三分の一強だ。あまりの少なさに、カメラもあまりスタンドを映さないよう苦心していた気さえする。
 前回大会では韓国の観客の少なさに驚いたけれど、気がつけば日本も大差ない状況になってしまった。最終予選のオーストラリア戦で地上波放送がなかったことに田嶋会長が意見していたけれど、これしか客が入らないチームの試合をどこが高い金を払って放送したがるかって話だ。魅力的なチーム作りを怠った協会が悪い。自業自得じゃん。
 いまはただ一日も早くW杯が終わって、次の代表監督が決まってくれることだけを願っている。もしもW杯後も森保が続投するようならば、その時には俺はもう本当に日本代表の試合を観るのはやめるかもしれない。少なくても彼が退任するまでは観たくない。ほんともううんざりだ。
(Jul. 27, 2022)

横浜F・マリノス2-0鹿島アントラーズ

J1・第23節/2022年7月30日(土)/日産スタジアム/DAZN

 1位と2位の頂上対決――といいつつ、首位マリノスに完敗。シュート数の差17-2を筆頭に、あらゆるスタッドで相手を下回っているんだから話にならない。負けられない大一番で、まさかここまで不甲斐ない試合を見せられるとは思わなかった。
 この試合はまずスタメンが疑問だった。
 GKクォン・スンテ、DF広瀬、関川、三竿、安西、MF樋口、船橋、和泉、カイキ、FW優磨、土居って。
 なにその初めての組み合わせは? なぜにピトゥカがベンチ?
 必勝を誓った試合で、なぜに今季初スタメンの船橋を起用するんだ?
 その賭けがあたって勝てればともかく、船橋はこれといった印象も残せずに、結局2-0と敗色濃厚のなった後半19分にピトゥカと交替する。そんなんピトゥカだっていやだろう。チームの士気だってあがるわけないじゃん。
 僕にはヴァイラーが船橋になにを期待してスタメンに起用したのかがまったくわからなかった。
 最終ラインにしたって、二週間前まで試していた常本・広瀬の両サイドから、この日は安西を左に復帰させて、常本を外してくるし。お気に入りのキム・ミンテはベンチ外で、関川が3節ぶりのスタメンだし。ツートップの一角はエヴェではなく聖真だし。
 そういう微妙な変更の数々で、これまでに見たことのないフォーメーションになっているのが心配だなぁと思ったら不安的中。シュート2本しか打てないていたらくで完封負けって。いったいなにがしたかったんだ。
 対するF・マリノスは、代表戦に7人が出場して疲れているかと思ったら、その試合から中2日でスタメンに出てきたのは、西村と岩田だけ。でもってそのふたりがちゃんと活躍しての2得点で快勝。今回の代表には呼ばれていないけど、仲川とか喜田とかいるし、マルコス・ジュニオールとか、レオ・セアラとかサブで出てくるし。もうクラブとして、選手層の厚さも成熟度も違いすぎる。
 この試合は失点の形もよくなかった。エウベルに決められた1点目は、クォンのゴールキックが敵に渡ってしまったところからのカウンター。パス2本くらいで自軍に持ち込まれ、アンデルソン・ロペスのマークについた関川はクロスを防げず。エウベルのカバーにいった樋口は一歩ボールに届かず。前半残り少ない時間帯、プレゼント・パスからの失点だけにがっくりだった。
 2点目の岩田のゴールはセットプレーからのクリアボールをミドルシュートでたたき込まれたもの。人数はそろっているのに、するっと間を抜けて入ってしまったって感じの、あり得ないくらいのあっけなさだった。リプレイを見たら、途中で人にあたってコースが変わったみたいだけれど、それにしたって人数はそろっていたんだから、誰かひとりくらいちゃんと反応してくれよぉ。
 その失点が後半6分。1点目も2点目も時間帯が悪すぎる。前半を無失点に抑えて後半で勝負という思惑もはずれ、後半早めに追いついて逆転というシナリオも叶わない。もうほんと、負けるべくして負けた試合だったと思う。
 これで首位マリノスとの勝ち点の差は8。まだ残り11試合あるから、絶対に追いつけないとは思わないけれど、きょうみたいな試合をしていたんではとても優勝できる気はしない。
 そういや、途中出場はエヴェラウド、ピトゥカ、常本、ファン・アラーノの4人で、リーグ戦ではひさびさの出場となったファン・アラーノが試合後に泣いていたのは移籍が決まったせいでは?――と噂されていたと思ったら、ほんとに一晩明けた今日になってガンバ大阪への完全移籍が発表されてしまった。なにそれ?
 補強はしないくせして貴重な戦力が次々と流出してゆくばかりって。本当に大丈夫かこのチーム? 監督の采配といい、フロントの方針といい、シーズン後半に入ったこの大事な時期になって、やっていることがめちゃくちゃな気がするんだけれど。
 本気で優勝を目指しているクラブとはとても思えない。
(Jul. 31, 2022)