2022年9月のサッカー

Index

  1. 09/03 △ 鹿島2-2浦和 (J1・第28節)
  2. 09/10 △ 京都1-1鹿島 (J1・第29節)
  3. 09/17 △ 鳥栖1-1鹿島 (J1・第30節)
  4. 09/23 ○ 日本2-0アメリカ (親善試合)
  5. 09/27 △ 日本0-0エクアドル (親善試合)

鹿島アントラーズ2-2浦和レッズ

J1・第28節/2022年9月3日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 ACLで決勝進出を決めてアジア王者に大手をかけたレッズとの一戦。
 この日のスタメンはGK沖、DF広瀬、関川、三竿、安西、MFピトゥカ、広瀬、和泉、仲間、FWカイキ、鈴木優磨という布陣だった。
 いきなりGKが沖で驚いた。優勝の可能性がほぼなくなったということで、岩政は来期以降を視野に入れ、育成に舵を切ったのかもしれない。レッズのGKもなぜだか西川ではなく鈴木彩艶だったし、図らずも元五輪代表GKどうしの対決――しかもともに今季リーグ戦初スタメン――となったのがおもしろかった。
 沖以外のメンバーは前節と一緒だけれど、両SBのポジションは、広瀬が右、安西が左のオーソドックスな形に戻っていた。
 そうそう、あと中盤の4人はピトゥカを中盤の底に据え、仲間をトップ下に起用したダイヤモンド型だった(じつは前節も同様)。でもってこの日は仲間がツートップと横並びに近い位置まで出ていたので、実質3トップって感じになっていた。
 この形で序盤から積極的に仕掛けていった鹿島が、この試合では幸先よく前半30分までに2-0とリードする。
 得点はどちらもカイキで、1点目は左サイドに流れてボールを受けた樋口の斜めのクロスに頭であわせたもの(どんぴしゃ)。2点目はドリブルで斜めに持ち込み、積極的に打っていったシュートが彩艶の手を弾いて跳ね上がり、ふわっと弧を描いてゴールに吸い込まれたもの。
 この日のゴールでカイキは通算8ゴール。夏場の暑さのせいで点取り屋が全体的に低調なのか、得点王ランキングのトップはいぜん綺世とタイの10点のままだから、カイキも得点王に手が届きそうな感じになってきた。
 なんにせよ、いきなり2-0としたので今日は勝ったろうと思ったら、その後に2点を返されて同点で終わってしまう。
 前半に許した1点目は松尾という選手のゴール。ペナルティエリア内で打ったシュートが、ブロックしようとした関川の足にあたってコースが変わり、ゴールネットを揺らしてしまった。関川はこういうのが多くない?
 2点目は後半24分。左CKからニアに飛び込んできた岩波が頭であわせたもの。
 レッズの2点はどちらも岩尾のアシストだった。今年移籍してきたばかりなのにキャプテンマークを託されているし、この人は本当にロドリゲス・サッカーの要なんだなぁって存在感だった。
 まぁ、なんにしろ1点目はツキがなかったし、2点目もセットプレーは相手がうまかった。このところ失点はほとんどがミスかセットプレーって感じなので、どうにか修正をお願いしたい。
 残念だったのは2得点するまでのいい流れがその後はつづかなかったこと。前半の途中からは相手にボールを持たれるようになってしまったし、前半終了時点ですでにボール保持率はレッズのほうが高いのだから、きちんとつないで攻撃的なサッカーをしようとしているのならば、やりたいことができた試合とはいえないだろう。シュート数も一桁じゃなぁ……。
 後半から途中出場したのは中村亮太朗、エヴェラウド、荒木遼太郎、ブエノ、船橋の5人で、注目はなんといっても10番・荒木の復帰!
 荒木、あまり試合に絡めていなかったけれど、たまにボールを持ったときには非凡さを感じさせるプレーを見せてくれていた。終盤戦に向けて10番の復帰は嬉しい!
 そういえば、前節は新型コロナのせいで欠場したと思っていたエヴェラウドがこの日はベンチ入りしていて、あれ?っと思った。
 翌日の公式ツイッターにアップされた練習風景の動画では土居もプレーしていたし――さらには名古の姿も!──最近はワクチン打っている人ばかりだから、感染しても一週間ちょいあれば復帰できちゃうんですかね。それとも感染者はほかの人(キム・ミンテとか?)だったとか。真偽はわからない。
 なんにしろ、最後はブエノを入れてスリーバックにしていたので、そこから先の失点は絶対に許されない展開だった。とりあえずドローで終わったのは、最低限の結果は出せたってことなのかもしれない。
 対するレッズは酒井宏樹が肉離れで離脱とのことで(日本代表大丈夫か)、そのほかにも西川、江坂、チーム得点王の新外国人モーベルグらがなぜだか不在だった。
 要するにあちらさんは戦力的にベスト・メンバーで戦えなかったってことなんだろう。そんな試合で先制しながら追いつかれてドローで終わったのは、やはり取りこぼした感が否めない。まぁでも、相手は仮にもアジア王者になるかもしれないクラブだ。そう簡単には勝たせてくれないのも当然か。
 今節の結果、当面の実質的なライバルだと思っていた広島が、鹿島に勝ち点5の差をつけて暫定首位に立ってしまった。いろいろ厳しい。
(Sep. 04, 2022)

京都サンガ1-1鹿島アントラーズ

J1・第29節/2022年9月10日(土)/サンガスタジアム by KYOCERA/DAZN

 ここから先は鳥栖、FC東京だけが一桁順位で、あとは下位との対戦がつづくので、残り全勝くらいの結果を出さないとACLには出れないぜって思っていたのに、いきなりつまずく。13位の京都相手に1-1のドロー。
 この試合に関しては、両チームともに水曜日に天皇杯・準々決勝を戦っていたため、中2日だったというのがポイントだった。
 この夏場の連戦にあたって、岩政が思い切って選手を入れ替えてきた。
 GKは沖(天皇杯でゴールを守ったクォン・スンテはおそらく外国人枠の関係でベンチ外)、DFが小田逸稀、ブエノ、関川、安西、MF三竿、ピトゥカ、船橋のトリプル・ボランチ、でもってFWが土居、荒木、エレケの3枚。
 チームの要である鈴木優磨のみならず、樋口、カイキ、広瀬をスタメンから外し、故障明けの荒木を復帰以来初のスタメン起用。でもって小田、エレケが今季初スタメン。
 天皇杯――1-0で神戸に勝って準決勝進出!――を前節と同じスタメンで戦ったので、おそらく疲労を考慮したんだろう、大胆にも6人を入れ替えてきた。
 フォーメーションはFW登録が3枚だから、DAZNでは4-3-3だといっていたけれど、土居か荒木のどちらかが2列目にさがってプレーしていることが多かったので、印象的には三竿をアンカーにした流動的な4-4-2という感じだった。
 とにかく、この顔ぶれで前半できるところまでやって、後半に優磨らを投入して勝負に出るという作戦だったんだろうと思う。
 でも前半のうちに失点してしまい、1-0で折り返したことで苦しくなった。岩政監督になってから、いまだ後半に2点以上取った試合がないのだから、ドローで終わったのは、まぁ順当な結果なんだろうなぁって感じ。
 京都の先制点は山崎凌吾という選手。ゴールを背にパスを受けて見事なターンから左足を振り抜いた。
 マークについたブエノはまったく対応できず。このほかにもイージーなパスミスがいくつかあったし、この試合を見てブエノはもう駄目かもって思った。かわいそうだけれど、貴重な外国人枠を使ってまで起用するレベルの選手とは思えない。
 関川もCBとしてはいまだ頼りないし、彼とコンビを組むのがキム・ミンテかブエノという、どちらもいまいち安定感を欠く外国人のどちらかってのがなぁ……。
 CBでいちばん頼りになるのがボランチの三竿ってのはどういうことだ。やっぱ町田、犬飼の抜けた穴をきちんと埋めようとしなかったのが今年一番の失敗だよなぁ……。
 なんにしろ、左サイドの小田も守備に関してはいまだ勉強中の感が否めなかったし、左サイドの安西ももとより守備はあやしいいので、この4バックにクリーンシートを望むのはいささか無理があった。
 となれば、あとはもう攻めて勝つしかない――のだけれども。
 注目のエレケは開始早々にファースト・シュートこそ打ったものの、その後は鳴かず飛ばず。荒木もシュート1本だけでコンディションがまだまだな感じ。土居は運動量こそあったけれどシュート0。FW3枚の出来がこれではさすがに点は取れない。
 前半の出来をみて、岩政は後半開始から動いた。エレケをエヴェラウドに、ブエノを名古に交替。三竿を最終ラインに戻してきた。
 エレケはもうちょっと見たかったので、交替は残念だったけれど、ブエノ→三竿の交替は正解。やはり今年は三竿が最終ラインに入る形がいちばん落ち着く。鹿島復帰後、これが初出場となる名古もよかった。足元の技術が高いので観ていて楽しい。
 岩政は後半13分にいよいよ、土居→優磨、荒木→カイキを同時に替えて、レギュラー攻撃陣で反撃にかかる。さらにはその12分後に5枚目のカードを切って、小田に替えて樋口を投入。トリプル・ボランチで始まった試合で、その3人を残したまま、さらに名古、樋口の両ボランチを入れてきた岩政采配がおもしろかった。
 そこからは船橋を右SBに移動させたので、守備面ではいささか危なっかしい気はしたけれど、とりあえず無失点で終わったので結果オーライ。フィールド・プレーヤーのうち5人はボランチが本職という状況だったので、好守のバランスはそれなりに取れていたのかもしれない。
 後半31分の貴重な同点ゴールはピトゥカ。右サイドからボールを持ちこんだ安西がパス交換しつつ中央に流れ込み、ゴール前に浮き球のパスを入れると、DFラインの裏へとするっと抜け出したピトゥカが胸トラップして、フリーのチャンスを演出。GKの位置をみて、落ち着いたシュートをゴール左隅に突き刺した。ナイス。
 結局その1点しか奪えずにドローで終わってしまったけれど、試合自体はけっこう楽しかった。ある程度、試合は優位に運べていたので、あとはどうやってフィニッシュの形を増やしてゆくかが課題だろう。
 京都も天皇杯とのターンオーバーのためか、スタメンは全員日本人だった。前半戦で綺世と得点王争いをしていたピーター・ウタカも、その後は調子を落としたのか、この日はベンチスタートだったから、僕が知っている選手は豊川だけ(豊川はよかった)。
 なので、いっちゃなんだが地味。でもなぜだか意外と手強い。GKの上福元はシュートセーブ率かなにかでリーグ1位の成績を残しているとかいう噂(Jリーグ公式の試合後の記録では4位だった)。なるほど、いいセーブを連発していた。
 裏では5連勝中だった暫定首位の広島が王者・川崎に惨敗を喫して3位に後退。優勝のゆくえは横浜と川崎のタイマン勝負に委ねられた。
 こういう展開になると、川崎が有利そうな……。
(Sep. 11, 2022)

サガン鳥栖1-1鹿島アントラーズ

J1・第30節/2022年9月17日(土)/駅前不動産スタジアム/DAZN

 勝てねー。これで岩政が監督になってからのリーグ戦の通算成績は1勝1敗4引き分け。いつのまにか試合数の少ないセレッソ大阪にも抜かれ、暫定順位は5位に後退してしまった。クラブが来年も引きつづき岩政体制を継続してくれるか、あやしい感じになってきた。
 でもまぁ、今年はまだ天皇杯が残っているからね。タイトルさえ獲れば安泰でしょう。天皇杯だけは死に物狂いで獲って欲しい。準決勝の対戦相手はまさかの甲府だし。J2のクラブに負けて決勝進出を逃したら、そのほうがびっくりだ。
 さて、この鳥栖戦の注目ポイントは、GKが早川友基だったこと。
 早川、まだまだ若いのかと思っていたら、沖と同じ1999年生まれで、早生まれだから沖より一学年先輩だった(うちの娘と同学年)。となると、沖の後塵を拝していた状況は心穏やかじゃなかったろう。
 リーグ戦初先発を飾ったこの試合では、なかなかいいプレーをみせてくれていた。若いだけあって反応がいい。ファイン・セーブもあったし、なによりいちばん印象的だったのはフィードのセンス。え、そんなとこに出すの?――ってパスが何本もあった(ミスもあったけど)。キック力もはんぱなくて、相手GKに直に届いたりしたシーンもあったし、攻撃でのプラスを生み出せるのは大きい。沖と早川のどちらがクォン・スンテの後釜の座をつかむのか、いまだ不透明だけれど、どちらがレギュラーになっても、向こう10年はGKの心配はしなくてよさそうな気がする。
 そのほかのスタメンは、広瀬、関川、三竿、安西、ピトゥカ、樋口、和泉、荒木、優磨、カイキという構成。GK以外は岩政体制の定番って印象だ。
 でも残念ながら荒木がいまだ本調子とは思えない存在感の薄さ。二試合連続でこの出来ではスタメン起用はまだ時期尚早だと思った。
 試合は序盤こそ鹿島がパスをつないで果敢に攻めて出るも、なかなか崩しきるにはいたらず、次第に鳥栖のハイプレスに苦しみ、苦しまぎれな印象になってゆく。
 でもって前半のうちに宮代大聖に見事なゴールを決められて先制を許してしまう。
 宮代には前回の対戦でもゴールを許しているし、つまりここまで6ゴールのうち2本が鹿島戦だという。鹿島ってたまに相性の悪い選手がいるけど、宮代もそのうちのひとりかもしれん。まぁ、でもあのシュートは見事だった。敵ながらあっぱれ。まだ22歳だから、ああいうシュートがコンスタントに打てたらそのうち代表にも呼ばれそう。
 ということで、この日も前半を0-1で折り返したことで、岩政が後半の頭から動く。荒木、和泉をはやばやと見切って、仲間、名古を投入。
 この交替が効果的だったかどうかはわからないけれど、後半14分には広瀬のクロスにカイキが頭であわせて同点ゴールが生まれた。敵にあたってコースが変わったラッキーなゴールだったけれど、まぁ結果オーライ。
 その後は優磨とカイキをエヴェと聖真に替え、後半ロスタイムには足を痛めた広瀬を小田に替えて5枚のカードをすべて使うも、そのままスコアは動かずにドローで試合終了。後半は一方的に攻めていた印象だったので、できればあと1点欲しかった。
 岩政体制になってから、パスをつないで攻撃的なサッカーをしようという意図は伝わってくるし、ある程度できてもいるのだけれど、どうにもフィニッシュまで持ち込めず、シュート数が増えないのが困りもの。守備的な鳥栖を相手にボール保持率でもシュート数でも上回れているようでは駄目でしょう。
 でもまぁ、無失点で終わった試合がひとつもないのがせめてもの救い。逆にいえば毎試合必ず失点しているから勝てないわけだけれど。
 このまま攻撃を軸に打ち勝つチームを目指すのか、はたまた守備の安定を図るのか。残り4試合での岩政の采配に注目だ。
 鳥栖は先制点の宮代のほか、元五輪代表の岩崎悠人とか長沼洋一とか、前線で若手の日本人が躍動していた。外国人はGKの朴一圭にDFのジエゴ、ファン・ソッコの三人だけだし、このメンツで得失点差とか鹿島とほぼ同様の成績を残しているのがすごい。これで前線に頼れる外国人FWが一枚でも加わったら、もっと強くなりそうで嫌だ。
 中盤の底ではあいかわらず小泉ががんばっていた。後半なかばに怪我で引っ込んでしまって、残念だけれど鹿島としては助かったなと思っていたら、交替で藤田直之が出てきたから、おいちょっと待てと思った。
 鳥栖って地味な印象だけれど、意外と選手の質は高いよな。だてに7位という順位につけちゃいない。去年はここに樋口や原川もいたわけで。もう少し資金力があったら優勝争いに食い込んできそうな気さえする。
(Sep. 17, 2022)

日本2-0アメリカ

親善試合/2022年9月23日(金)/デュッセルドルフ・アレーナ/フジテレビ

 W杯の本番を二ヵ月後に控えて、ドイツに遠征して行われたアメリカとの親善試合。
 この試合ではW杯に向けて新ユニフォームのお披露目があった。
 前の迷彩柄のやつは五輪用だったのか、はたまたW杯の開催が遅れたので急遽変えることにしたのはか知らない。新ユニフォームはなんとなく前の迷彩柄を単純化したみたいな感じで、個人的には黄色い背番号にいささか違和感があった。
 そんな新ユニフォームを着て戦ったこの日のスタメンは、GK権田、DF酒井宏樹、吉田麻也、冨安、中山雄太、DF遠藤航、守田、伊東、鎌田、久保建英、FW前田大然という11人。
 森保のことが嫌いすぎて、すっかり日本代表への興味が薄れてしまっているけれど、このスタメンをみて、あ、きょうは大丈夫そうだなと思った。
 冨安、酒井が怪我から復帰してきて、最終ラインはほぼ万全だし(中山が日本代表の左SBとして現時点でベストかは判断しかねるけれど、途中交替前提の長友を使われるよりは納得感がある)、その前に遠藤、守田のふたりがいれば、中盤の守備は問題なし。ワントップの前田大然もファーストDFとしてはもっとも貢献が期待できるし、守備面では現状ベストではと思った。
 攻撃にしても今季絶好調と噂される鎌田を中心に、左右に伊東、久保のふたりという布陣には十分期待できる。
 果たしてこの日の日本代表はその期待を裏切らず、前半に鎌田、後半に途中出場の三笘がゴールを奪って、2-0でアメリカに快勝した。
 鎌田のゴールは最初オフサイドの判定で取り消されたのちに、VARが介入して判定が覆ったもの。三笘のは得意の角度からドリブルで持ち込んで決めたゴラッソだった。
 前半は――鎌田が何度かのチャンスをものにできなかった点を除けば?――ほぼパーフェクトだった思うし、後半の選手交替――出場機会を得たのは伊藤洋樹、シュミット・ダニエル、町野、堂安、三笘、原口の6人――がよかったとは思わないけれど、全体としてはとてもいい出来の試合だった。
 でもこういう好試合をしていながら不満を抱かせるあたりが森保の森保たるゆえん。
 個人的には後半から伊藤をCB起用して冨安を右SBとして試したのとか、なにやってんだろうって感じだった。
 冨安はアーセナルでSBとして起用されているというから、日本代表でも試してみたいと思ったんだろうけれど、なんでいまさらって感が否めない。少なくてもCBとして冨安より信頼できる選手はいないのだから、日本代表で使うならばCBの一択でしょう? 確かにSBの選手層が薄い感はあるけれど、だからっていまさら伊藤をCBで使って冨安をサイドで試すのって、僕にはナンセンスに思える。
 あとやはりGKのセレクションも不満。権田、シュミット、谷、川島という選択がいまの日本代表のベストだとは思えない。森保以外の監督だったら、いまさら川島を招集して、西川や東口を無視するなんてあえり得ないと思うし。俺は森保に代表のキャリアを閉ざされたあのふたりが不憫でならないよ。
 前田大然のワントップだって、W杯に向けた最終選考に残すような選手だったら、五輪でちゃんと使っとけよなぁって話だ。あの大会で重用した林大地は招集外だし。そもそも久保建英だって、本番へ向けて主力として期待するのならば、十代でさっさと早くデビューさせて経験値を踏ませてあげていれば、もっと成長できていただろうに。
 森保の采配はその場しのぎばかりで、先のことをちっとも考えていないように思えるのがなにより嫌だ。あとMFとFWを一緒くたにして発表するのも嫌い。選手選考の曖昧さをごまかしているようにしか見えない。前田と交替で出てきた町野はまったく存在感がなかったし、セルティックでゴールを量産している古橋はまったく使いこなせていないし。FWについてはいまだ不安要素が大きい。まぁ、今回は故障明けで招集が見送られた大迫が最終的にはワントップに君臨するんだろう。
 あと、この試合に関しては、日本代表もよかったけれど、それ以上にアメリカ代表がひとすぎた。パスミスが多くて、日本に高い位置でインタラプトされるシーンが頻発していたし、GK以外は誰ひとりまともに仕事ができていなかった感じ。こんな調子ではW杯ではグループリーグ敗退必至でしょう? このレベルでFIFAランキング14位はあり得ないだろって思ってしまった。
 W杯の初戦で日本が戦うドイツのFIFAランキングは現在12位だから、アメリカよりふたつ上なだけだ。ユニフォームも似た感じだし、アメリカとこういう試合ができるならば、もしかしたらドイツ相手にも十分戦えるのでは?――という間違った認識を抱いてしまいそうな。そういう意味ではいささか危険な試合だった気がする。油断大敵。
(Sep. 25, 2022)

日本0-0エクアドル

親善試合/2022年9月27日(火)/デュッセルドルフ・アレーナ/TBS

 この期に及んでまたもや森保がやりやがりました。伝家の宝刀、スタメン総入れ替え。森保一という人の頭の中には、つづけて使って選手間の連携を高めたほうがチームが強くなるという考えは微塵もないらしい。
 「勝っているときにはチームをいじるな」というサッカーの定石があるけれど、あれだって要するに同じ選手をつづけて使ったほうが連携がスムーズにゆくから勝ちにつながりやすいってことでしょう? 遠征での二連戦で――しかも本番までに残された親善試合はあともうひとつだけという状況で――その二試合をまったく違うスタメンで戦う監督なんて、おそらく世界じゅう探したって森保くらいだろう。
 見せるべきは優秀な選手の多さではなく、あんたの監督としての手腕だろうよっていいたくなる。
 もう本当に嫌い。森保という人は、人間としてはとてもいい人なのかもしれないけれど、サッカー監督としては本当に嫌い。この人が監督のチームなんて、願わくば金輪際、観たくない。もしもW杯後も森保が代表監督をつづけるようなことがあれば、今大会を最後に俺は日本代表の試合を観るのやめる。もうサッカーは鹿島だけでいいや。
 ということで、この日のスタメンはGKシュミット・ダニエル、DF山根、谷口、伊藤洋樹、長友、MF柴崎、田中碧、堂安、南野、三笘、FW古橋の11人だった。
 ちゃんとした試合ができれば、このスタメン総入れ替えもまぁいいかと思ったかもしれないけれど、前半に関しては見るべきものがほとんどなかったから、本当になにやってんだって感じ。古橋をワントップで使うならば、トップ下にはパサー・タイプの選手を起用しようぜ。まったく前線にボールが入らないんじゃ、裏への抜け出しが得意な古橋がまったく生きないじゃん。
 そういう意味では柴崎はもう駄目だなぁ……。もとより守備より攻撃が持ち味の選手が、まったく攻撃のタクトを振るえないのでは、なんのためにいるのかわからない。残念だけれど、これが彼の日本代表としての最後の試合になると見た。――というか、この期に及んで森保が本大会に柴崎を連れていったとしたら、そのほうがびっくりだ。
 後半は頭から上田綺世、そのあと遠藤航、鎌田、相馬の3人、最後に麻也、伊東純也という計6人を途中出場で投入。これらの交替でいくらか持ち直して内容はよくなったけれど、結局スコアレス・ドローで終わってしまった。
 ――というか、谷口が取られたPKを止めたシュミット・ダニエルの快挙がなければ負けてた試合だった。シュミットはこの試合で最終選考突破をほぼ決めたといっていいでしょう。おめでとー。
 いやしかし、エクアドル侮っていました。FIFAランキング44位とかいうから楽勝だろうと思っていたら、アメリカよりも手強かった。突出した選手はいなかったけれど、きちんと連動してサッカーができていた。そういう意味では、いい選手はたくさんいるのに寄せ集めの即席チームって感の抜けない今の日本代表とは真逆のチームって気がした。W杯では開幕戦でカタールと当たるらしい。地味なカードだけれど、意外とおもしろい試合になるかもしれない。
 まぁ、話を聞けば、エクアドルはブラジル、アルゼンチン、ウルグアイについで、4位で南米予選を突破しているというんだから、強くてあたりまえだよな。コロンビアとか蹴落としての本大会出場ってすごくない? 日本が簡単に勝てないのも当然だった。
 逆にいえば、そういう南米の中堅どころにきっちりと勝っていれば、チームにとっても大きな自信になっただろうに。中三日での二連戦だから、W杯グループリーグのシミュレーションにはうってつけだったのに。せっかくの機会を本番ではあり得ないスタメン総入れ替えなんて愚挙で無駄にするという。あぁ、駄目監督ここに極まれり。
 そうそう、駄目といえば、旗手を結局一度も使わずに終わったのも噴飯ものだ。
 スタメンを総入れ替えするほど多くの選手にチャンスを与えておきながら、セルティックで活躍している旗手を使わないってのはどういうことだ。
 今回の遠征で、怪我でもないのに出番なしで終わったのは、GKの川島、谷のふたりを除けば旗手だけだ。麻也、遠藤航、伊東純也ら、実力は十分にわかっている選手を途中出場させておいて、旗手だけ使わないなんて、頭がおかしいにもほどがある。
 森保って本気で日本中のサッカーファンを敵にまわしたがっているんじゃないかって気がしてきた。
(Sep. 28, 2022)