サッカーの感想は鮮度が大事だと思っているので、普段はできるかぎり試合の当日か翌日には書くようにしているんだけれど、先週はイベントが多くて――なんたってこの試合に加えてライヴが三本もあったもので――すっかり疲弊してしまい、怠けていたら一週間もたってしまいました。いけません。
さて、コロナ禍も過ぎてようやく例年のイベントとして復活したFC東京戦のスタジアム観戦。今年の会場はいつもの味スタではなく、新国立競技場だった。
去年のスタンド三階席の印象が悪すぎて、毛嫌いしていた国立だけれども、今回はメインスタンドの一階席ど真ん中の前から17列という特等席だったので、ビールの売店がすぐのところにあったりして、まったくのノーストレスだった。
いやもとい。席の間隔がせまいので、同列の人が席を立つときには立ち上がらないと通り抜けられなかったりするのは、やはりどうかと思うし、うしろの席のグループがやたらとうるさくて、いささか気が散ったのは残念だった。とくにサッカー初観戦らしいバスケ部のマネージャーっぽい女の子が「あがれ! あがれ!」「ピー! ピー!」とやかましいこと……。
でも不満はそれだけ。たぶんメインスタンドで、フィールドを横から俯瞰する形で、それもベンチから出てきた監督の挙動が肉眼でわかる距離でサッカーを観るのはこれが初めてだし、これまでにないシチュエーションがとても新鮮だった。よい席のチケットを譲ってくれてありがとう!
ということで、晴れ渡った絶好の観戦日和のもと、午後5時のキックオフをメインスタンドから見届けたこの試合。
鹿島のスタメンはGK早川、DF濃野、植田、関川、安西、MF知念、佐野、樋口、仲間、FWチャヴリッチ、優磨という11人だった。
途中交替は仲間→藤井、樋口&チャヴリッチ&知念→松村&ミロサヴリェヴィッチ&土居、海舟→パレジの5組。
樋口と仲間がひさびさにスタメン起用されたのと、新加入が発表されたばかりのミロサヴリェヴィッチ(名前長い)が途中出場ながら、いきなり出てきたのがトピックだった。あと、チャヴリッチのポジションがこれまでと違って右だった。
対するFC東京はGK野澤大志ブランドン、DF白井康介、土井幹太、エンリケ・トレヴィザン、バングーナガンデ佳史扶、MF松木玖生、高宇洋、小泉、FW俵積田、安斎颯馬、中川輝人というメンバー構成。
五輪代表世代の野澤、松木、俵積田、安斎といった選手が名前を連ねる一方、森重、長友、東ら、なじみのベテランはベンチ外や出番なしだったりする。知らないうちに世代交替が進んでいるっぽかった。ディエゴ・オリヴェイラは故障中とのこと。
鹿島からのレンタル移籍中で、今季ここまで5ゴールと大活躍の荒木遼太郎は、残念ながら契約の都合でベンチ外。鹿島サポとしては、荒木のプレーも観たかったんだけれど、でも彼のプレーで試合の結果が左右されたら、それはそれで微妙なことになりそうだし、仕方ないんだろうなぁと思う。
なんにしろ、東京は現時点でのクラブ得点王の荒木と、D・オリヴェイラを欠いての対戦だ。おのずから鹿島有利なのでは――と思っていたら、まるでそんなことなし。
ともにいまいち成績があがらないものどうし、一進一退の攻防で、前半はスコアレスのまま終了する。でもって、後半に2失点しての敗戦……。
仲川に決められた1点目は仕方ない。相手がうまかった。手数少なく運んだ右サイドから松木が入れたクロスに、仲川が背走しながら頭で合わせた。植田と関川のあいだのスペースに入り込んでヘディングを決めた仲川の勝ち。
でも後半ロスタイムの2点目は余計。ミロサヴリェヴィッチのクリアミスを途中出場の原川に拾われ、彼がそのまま松木とのワンツーから豪快なミドルを決めたものだけれど、あの時間帯にあのボールロストは駄目でしょう。集中力が足りない。あと、1点目と同じようにCB二人のあいだのスペースを使われたのも印象が悪い。
監督のクラモフスキーが試合後のインタビューで「もう何点か取れてもおかしくなかった」と語ったいるけれど、ほんと中川のシュートがクロスバーを叩いたり、途中出場のジャジャ・シルバというブラジル人がフリーのシュートを外したりしていなかったら、4-0の負け試合だった。
まぁ、前節とくらべると試合内容は悪くなかった気がしたけれど、でもそれはスタジアム観戦の高揚感のせいかもしれないし、なんともいえないところ。
現地観戦していて印象的だったのは、FC東京の最終ラインの高さ。前半のキックオフのときに、最終ラインがセンターラインの近くにいて、おいおい、そんなに高いのかと驚いた。植田、関川が引いて守る鹿島とは対照的だった。ポステコグルーの攻撃サッカーを継承するクラモフスキーだから?
――って、まぁ、ずっと気にして見ていたわけではないから、たまたま僕が気にしたときだけ、極端に高かった可能性もあるけれど。
もうひとつ、驚いたのがミロサヴリェヴィッチ(名前が覚えられん)のプレー位置。
どういう選手か、この日までまったく知らなかったので、出てきて最初のプレーで、植田と関川のあいだに降りてきてボールをさばき始めたのを見て、おいおい、この人ボランチかよ?――思った。てっきり攻撃的な選手を取ったのだと思い込んでいた。
というか、ここ数節の低迷は得点力不足が原因なのだから、補強が必要なのはFWだろうよと思うんだが?
去年から背番号9と11が欠番になったままだし、なんか鈴木満氏引退後の鹿島のフロント、駄目なんじゃなかろうか……。
まぁ、柴崎はいまだ戻らないし、夏には海舟が海外移籍するのではという噂もあるので、樋口や名古をボランチと認識していないらしいポポヴィッチにとっては、頼れるボランチの補強が必須だったのかもしれない。
でもこの日の2失点目は、海舟をさげて代わりに入れたミロサヴリェヴィッチ(入力が難しい)のミスからだからね? そういう意味では自業自得だ。
後日、DAZNの見逃し配信を観たら、試合後の松木と小泉の走行距離が13キロ近かったのにも驚いた。サッカーセンスあふれる中盤の要のふたりにそこまでハードワークされたら、そりゃ難しい試合になるのも当然かもなぁって思った。
まぁ、とりあえず、試合には負けたけれど、よく晴れた春の夜のスタジアム観戦はそれだけで楽しかったし、試合後に千駄ヶ谷で食ったベーコンバーガーはうまかった。
(Apr. 14, 2024)