2002 FIFAワールドカップ Korea/Japan (4)

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Index of Round of 16

  1. ドイツ1-0パラグアイ
  2. デンマーク0-3イングランド
  3. スウェーデン1-2セネガル
  4. スペイン1-1アイルランド(PK3-2)
  5. ブラジル2-0ベルギー
  6. 日本0-1トルコ
  7. 韓国2-1イタリア

ドイツ1-0パラグアイ

決勝トーナメント/2002年6月15日(土)/済州島ワールドカップ競技場(ソギポ)/NHK

 いよいよサドンデスの決勝トーナメントに突入。けれどその一発目のこの試合はとても地味だった。
 ともにカリスマ・ゴールキーパーを擁するドイツとパラグアイの対戦は、やはり守備力が高い同士だからなのか、全然得点の気配もない、正直なところ、あまり面白みのない試合となった。まあこちらも二日酔い気味で観戦姿勢がなっていなかったから、あまり偉そうなことは言えない。
 とにかく試合が全然動かないものだから、どうせならばこのまま延長まで0-0で、カーンとチラベルトのPK戦勝負というのもいいかもしれないと無責任なことを思い始めたところ、終了間際にドイツが右サイドからのクロスに7番ノイビルがあわせてようやく先制。絵に描いたような綺麗なゴールで準々決勝進出を決めた。
 それにしても今大会のドイツは放送スケジュールに恵まれている。個人的にはあまり好きなチームではないんだけれど、これまでの試合はすべて見ているし、勝ち進む限りこれからの試合もすべて見ることになる。もしかして風が吹いている?
(Jun 15, 2002)

デンマーク0-3イングランド

決勝トーナメント/2002年6月15日(土)/新潟スタジアム/日本テレビ

 グループAでフランスを打ち破ったデンマークと、グループFでアルゼンチンを蹴落としたイングランドの対戦。ともにディフェンス力の高いチームのようだから、1点を争うゲームになるのだろうと思っていたのに、開けてみれば予想外の展開になった。
 試合が動いたのは開始わずか5分。ベッカムの左からのCKを、ファーサイドでセンターバックのファーディナンドがガツンと折り返す。これをデンマークGKがはじいてしまい、こぼれたボールは無情にもゴールマウスの中へ。イングランド先制。
 さらに22分にはオーエンの追加点。左サイドからのクロスを誰かがポストして、ゴール前のオーエンの前に流し込む。これを逃さないのがエース・ストライカーだろう。見事に今大会初ゴールをあげてみせてくれた。
 この2点目でほぼ勝負あったかという感じだったのだけれど、イングランドはさらに前半終了間際にも、カウンターからベッカムのアシストを11番のヘスキーが決めて3点目をゲットした。前半終了時点で3-0。これで守備の堅いイングランドが負けるわけがない。結局後半になってもデンマークはイングランドの前に得点シーンさえ演出できずに終わってしまった。フェイエノールトで小野の同僚だったという、今大会ここまで4得点のトマソンはまったくの不発に終わった。
 それにしてもイングランドはディフェンスが安定しまくっている。ここまで4試合を終えて、失点は最初のスウェーデン戦で許した1点のみ。今日の試合もまったく危なげなかった。このディフェンス力はもしかしたら今大会一じゃないだろうか。
 こうなると恐らく次の準々決勝での対戦が予想される、今大会屈指の攻撃力を誇るブラジルとの顔合わせがとても楽しみだ。でもその試合は金曜日の昼間だから、見られない。ああ、残念無念。でもってその日の夜の試合はドイツだよ。勘弁して欲しいぞ。
 それはともかくとして今日のイングランドはその抜群の守備力とともに、ベッカムの正確無比なキックの技術が際立っていた。1点目のFKにしろ、3点目のラストパスにしろ、もう絶品。そのほかにも随所で素晴らしいパスを出し続けていた。あの分ならばもう完璧に復調したと見ていいんだろう。
 ただイングランドの攻撃はベッカムのパスのみに頼りきっている印象があるので、もしもベッカムを止められたならば、打つ手があるのかがやや疑問。期待のオーエンは今日ようやくファースト・ゴールこそ決めたものの、調子は全然良さそうじゃないし(今日は前半だけで引っ込んでしまった)。
 なんにしろ、今大会屈指の守備力とベッカムの右足一本だけでイングランドがどこまで勝ち進めるのかはちょっとした見ものだ。次のブラジルに勝ってしまうようならば優勝もありうるんじゃないだろうか。まじで日本代表の試合を捨ててでも、イングランド対ブラジル戦を見るべきかという気がしてきた。
(Jun 16, 2002)

スウェーデン1-2セネガル(延長前半)

決勝トーナメント/2002年6月16日(日)/大分スポーツ公園総合競技場/NHK

 これまた大波乱だったグループAとグループFを勝ち抜いてきた両チームの対戦。この勝者が、日本がトルコに勝った場合の、準々決勝の対戦相手になるというのだから注目せずにはいられない(獲らぬタヌキの……)。
 試合は前半11分にスウェーデンがCKからの11番ラーションの長身を生かしたヘディングで先制。ところがその後、セネガルが猛烈な攻撃を見せ始める。そのあまりの攻撃に、これは次の一点を取った方の勝ちだなとか思っていた。これだけの攻撃ができるセネガルが追いつくようならば逆転も時間の問題だろうし、逆にこの猛攻を凌げるほどスウェーデンのディフェンスが強ければ、追加点さえ入ればそのまま逃げ切れるだろうと。でもどうにもセネガルの猛攻は凌げそうにない。すげえなあと思っているうちに、前半の残り時間が少なくなってきてから7番カマラのミドルが決まり同点。これで試合は一方的なセネガル・ペースかと思った。
 ところが1-1で始まった後半からは一進一退の攻防となった。セネガルに一時の勢いはなく、同点にされたスウェーデンも結構いい攻めを見せる。考えてみればこのチーム、初戦でイングランド相手に互角以上の戦いをしていたんだった。そう簡単に引くわけがない。実力伯仲のまま、45分間に渡って手に汗握る熱戦が繰り広げられた。かなりの暑さだったのだろう、両チームとも疲れきった感じでゲームは今大会初の延長へ。
 延長の攻防も一進一退。しかし延長前半も終了間際になって、同点ゴールをあげたカマラが再び個人技でスウェーデンDFをかわし、シュートを放つ。ボールはこつんと左のポストに当ってからゴールの中へ。ああ無情、これがゴールデン・ゴールとなって白熱の攻防に終止符を打った。
 ゴールが決まったあと、スウェーデンの選手はみんなグラウンドに突っ伏して起き上がれなかった。相当の疲労とショックだったんだろう。それも当然だと思う。いやあ、ものすごい試合だった。
 それにしても開幕戦でフランスと戦うセネガルを見た時にはそれほどの脅威は感じなかったのだけれど、今日のセネガルは危険な雰囲気を振りまきまくっていた。特に11番のディウフ。なんだ、あいつは。恐いったらないぞ。
 日本はトルコに勝ったとしても、簡単にはベスト4には上がらせてもらえそうにない。それにしても初出場でベスト8入りとは、セネガルあっぱれ。
(Jun 16, 2002)

スペイン1-1(PK3-2)アイルランド

予選トーナメント/2002年6月16日(日)/水原ワールドカップ競技場(スウォン)/NHK

 世界中から集まったというアイルランド・サポーターの応援は今日も元気一杯だった。そんな熱い応援を受けて、アイルランドはこの試合でも見事なダークホースぶりを見せる。
 試合は前半8分に右サイドからのクロスにモリエンテスが頭であわせてスペインが先制。あいかわらずの破壊力で、この試合も圧勝かと思わせる。
 ところが対するアイルランドも負けていない。その先制点以降は、何度もバックラインの裏を突かれつつもオフサイドでかわし続けて追加点を許さない。攻撃では10番ロビー・キーンが時折おっと思わせるようなプレーを見せ、9番ダフもドリブルで右サイドから果敢にかき回す。後半の早い時間に長身のクィンを投入して、高さでの攻めもプラス。この選手交替が最後になって魔法のような効力を発揮することになる。
 一方のスペインは後半になって二枚の交替枠を使ってしまったあとで、なんとラウルが負傷交替。その前にモリエンテスも交替させてしまっていたし、自慢の攻撃力はすっかり影をひそめてしまった。
 そのまま逃げ切れれば問題はなかったのだけれど、そこはグループリーグでロスタイムにドイツとドローに持ち込んだアイルランドだ。実に時計は90分、セットプレーの競り合いの中でイエロがクィンのユニフォームを引っ張ったとしてPKをもらってしまう。
 実はこれがアイルランドに与えられたこの日二つ目のPKだった。前半にもらった一つ目はイアン・ハートが外していた。さすがに一試合で二つのPKは外さない。これをロビー・キーンが決めて、またもや土壇場で同点に追いついて見せた。この同点劇でスタンドは大騒ぎだ。しかしどうせならば一本目のPKも、この大会いいところがないイアン・ハートじゃなく、ロビー・キーンに蹴らせていたらばアイルランドが勝っていたんじゃないかなどと、外野は勝手なことを思っていた。
 土壇場で同点に追いつかれた傷心のスペインには延長でも試練が待っている。モリエンテスと交替で入ったMFのアルベルダという選手だと思うのだけれど、この選手が負傷して出られなくなってしまった。90分で3枚の交替枠を使い切ってしまっているスペインはこれで10人での戦いを余儀なくされてしまったのだった。どう見ても勢いはアイルランドにある。これはスペインは今回もこれまでかと思わせた。
 それでも最後の最後に勝利の女神が微笑んだのはスペインだった。30分の延長を息も絶え絶えでしのぎ切った後のPK戦で、アイルランドは5本のうち3本を外してしまう(うち2本はスペインGKカシージャスのファインセーブ)。それでも対するスペインも2本を外し、勝負は5本目までもつれたのだった。PK戦までもが大熱戦だった。両チームともお疲れさま。
 それにしてもこれでもうアイルランドのサポーターの姿が見られなくなると思うと淋しいものがある。アイルランドというチーム自体も、どこがどうと説明できないながら、もっと見たいと思わせる不思議な活力のあるチームだった(ってチームよりも先にサポーターを誉めてどうするという気も)。
(Jun 17, 2002)

ブラジル2-0ベルギー

決勝トーナメント/2002年6月17日(月)/神戸ウィングスタジアム/NHK

 グループリーグを最多得点で通過して、一躍優勝候補の筆頭に踊り出たブラジル。この強烈なオフェンス力を持ったチームを相手にベルギーの守備陣がどれだけふんばれるか。それがポイントだろうと思っていたこの試合は、ところが開始直後からベルギーが主導権を握り、終始ブラジルゴールへ攻めたてるという思いがけない展開になった。ブラジルも時折そのポテンシャルの高さを垣間見せて、おいこらと突っ込みたくなるようなとんでもない攻撃を仕掛けるのだけれど、それでも試合全体を通してボールの支配率はベルギーの方が高かったように思う(追記・そんなことはなかったらしい)。
 中でも日本戦で見事なバイシクルシュートを決めた7番のウィルモッツは、この試合でもチャンスと見ると素早い反応でシュートを放ち、惜しい場面を何度も演出していた。33歳にしてあの判断力の速さは素晴らしい。日本のFWたちに見習わせたい。前半には残念ながらファールをとられてゴールは認められなかったものの、ゴールネットを揺らす場面もあったし(あれのどこがファールだったんだか)、もうちょっとだけ運があれば、ベルギーが先制していてもおかしくなかったと思う。
 あとは右サイド上がり目にポジションをとった22番ムボ・ムペンザの存在がとてもいいアクセントになっていた。この人は大会前に故障して出場できなかったエースFWの兄なのだそうだけれど、その切れのあるプレーを見ていると、もしもこの人の弟が出場していたら、日本はこのチームと引き分けられたかどうか、あやしいと思ってしまった。ロシアのモストボイの欠場といい、トルシエ・ラッキーはこの大会でも有効だったなあ、などとあらためて思った。なんて強い星の下に生れた監督だろう。
 なんて話はいいとして。
 とにかくベルギーは素晴らしく積極的に試合を運んでいた。しかしながらその奮闘もブラジルの個人技の前に挫折を余儀なくされる。後半の途中、67分に胸トラップでボールを受けたリバウドが、そのままくるりと反転してゴールを向くなり、ワンバウンドしたところをドカンと一発。不運にもこれに反応したベルギーDFの足に当って若干シュートコースが変わってしまい、キーパーが反応し切れずゴール。ブラジル先制。
 それでもベルギーは諦めずに攻め立てた。しかしながら残り5分を切った時間帯にカウンターからロナウドに追加点を許してジ・エンド。奮闘むなしく2-0という順当なスコアでの敗退となった。
 ベルギーの好調が目立った一方、残念ながら今日のブラジルはあまり出来がよくなかったように思う。ただ前半40分、左サイドに攻め上がったリバウドがら出た火の出るようなクロスと、ゴール前に飛び込んでそれに反応したロナウドのアクロバティックなボレー・シュートには驚いた。あれが決まっていたらば、今大会ベストゴールのひとつだったろう。ワールドクラスがなんたるかを実感させる超絶プレーだった。
 ともかくこれで準々決勝でのイングランドとブラジルの対戦が決定した。今日のブラジルの出来ならばイングランドにもかなり勝ち目がありそうだ。うーん、見たい。でも仕事が遅れていてとても休めない。困ったもんだ。
(Jun 18, 2002)

日本0-1トルコ

決勝トーナメント/2002年6月18日(火)/宮城スタジアム/NHK

 負けた、負けた、負けた~。前半12分、中田浩二のパスミスからCKを取られ、そこからモヒカン頭のダバラという選手にヘッドで決められた。なんでそんなにフリーなのって感じの、あまりにもイージーな失点だった。でもってそれがそのまま決勝点になってしまった。その後に決定的なピンチというものがほとんどなかっただけに、あのセットプレーでの集中力の低さが悔やまれる。
 それにしてもトルシエが最後の最後でやってくれた。降りしきる雨の中でのこの試合、トルシエはこれまでの三戦を戦った柳沢と鈴木のツートップではなく、西澤のワントップに、アレックスと中田の二人を1.5列めに起用するという、これまでに試したこともないような戦術で挑んだ。アレックスはともかく、ここまで出場機会のなかった西澤の起用には嫌な予感がしたんだった。
 まあ、そうは言っても前半に関してはこのフォーメーションも決して悪くはなかった。西澤こそいまいち仕事ができていない感じだったものの(彼は後半は鈴木よりもよかった)、この大会初のスタメンのチャンスをもらったアレックスが持ち前のスピードを生かして再三のチャンスを演出する。惜しいFKがバーをたたく場面などもあり、何度も場内を沸かせてくれた。結局前半は0-1のまま終わってしまったものの、この勢いならば後半には期待が持てるだろうと思った。
 ところが。トルシエは後半の初めからこのアレックスを交替させてしまう。訳がわからない。僕も後半開始からの選手交替はありだと思っていた。右サイドの明神が下がったままで攻撃への貢献度が低かったので、ここに市川を入れて攻撃に幅を与えるという作戦はありだろうと。そうしたらそのとおり、トルシエは前回同様、後半最初から稲本を下げて市川を投入してきた。そこまではいい。しかしなんとそれと同時にアレックスも鈴木に替えてしまう。なんだそりゃ。前半でもっとも相手ゴールを脅かしていた選手を引っ込めてどうする? そもそも今日に関しては稲本の交替だって疑問だ。負けてる試合でこの大会のラッキーボーイ的存在である稲本を引っ込めてどうする?
 案の定、この交替で後半の日本の攻撃は前半よりも確実にグレードダウンしてしまった。期待された市川はほとんど攻撃参加できないし、鈴木はいつもどおりの消極的プレーに終始する。ゴール前でほとんど前を向くことができなかった。今日に限っては全然いいところなし。試合は膠着状態のまま、時間ばかりが過ぎていく。
 そして残り5分を切った時点でトルシエは最後のカードを切る。それが市川に替えての森島の投入だ。なんだそりゃあ。いくら出来がいまいちだからって元気な市川下げるな。なに考えてんだ、あのフランス人は。
 結局、その後も日本は攻め込みながらもこれといったフィニッシュの形を作れないまま終わってしまった。なんともストレスの残る試合だった。トルコが思っていたよりも恐くなかっただけに、この完封負けは非常に悔しい。
 とはいえ今日の日本代表はミスが多かったのも確かだった。失点を招いた浩二のパスミスはあまりにお粗末だったし、そのほかにもおいおいと思うシーンが再三あった。そういう意味では負けるべくして負けたのかなとも思う。
 それでも負けたあとに大半の選手が本気で悔しそうにしていたのには救われた。涙を浮かべて空を仰いだ鈴木、恥も外聞もなく号泣していた戸田、アレックス、そして市川。そう、今日の試合でもっとも悔しい思いをしただろう市川。彼らの涙がこれらからの日本をより強くしてくれると信じる。そんな選手たちの中で、出場機会をもらえなかった悔しさを感じもさせず、笑顔を浮かべていた柳沢には正直がっかりした。
 最後に中田英。やってくれてあたり前という気がしていたので、この大会ではほとんど名前をあげなかったけれど、四試合とも十分な働きを見せてくれたと思う。ご苦労さま。
 それにしても一次リーグでの敗退を予想していた僕からしてみれば十分過ぎる今大会の日本代表の成績だというのに、この不完全燃焼な気分はなんなんだろう。
(Jun 18, 2002)

韓国2-1イタリア(延長後半)

決勝トーナメント/2002年6月18日(火)/大田ワールドカップ競技場(デジョン)/テレビ朝日

 すっげーっ。日本代表の負け試合を見た直後にこんなすごい試合を見せられてはたまらない。韓国、イタリアに逆転勝ち。それでなくても悔しくてたまらなかったというのに、まるで傷口にキムチをなすりつけられたような気分だ。
 イタリアがこの大会で初めてトッティとデルピエロを併用して臨んだこの試合。開始早々韓国がPKをもらったにも関わらず、アン・ジョンファンが外してしまう。反対に前半18分、トッティのCKからヴィエリがヘッドで決めてイタリアが先制。この時点では、これはやはり格が違うかと思えた。相手DFにユニフォームを引っ張られながら、平然とジャンプしてヘッドを決めるヴィエリの強さは笑ってしまうほど圧巻だった。
 ところがその後、守備力に絶対の自信を持つがゆえだろう、イタリアは攻撃の手を緩めてしまう。そして後半まだ30分近く残った時間帯にデルピエロを守備的なMFと交替させて守備固めに入ってしまう。ネスタ、カンナバーロというディフェンスの要二人を欠いているために、慎重になったのかもしれないけれど、最終的にはこれがあだになった。
 相手が攻めて来ないとわかってからのヒディンクの采配は超攻撃的だった。そもそもスリートップの布陣だというのに、DFに替えてFWファン・ソンフォンを投入。おいおい、フォートップ? さらにホン・ミョンボに替えてチャ・ドゥリ。これでFWは五人だぞ。冗談みたいに過激な選手起用。でもこれが当ってしまう。後半になって疲れが出たのか、前がかりになった韓国の怒濤の攻めの前にイタリアはたじたじ。ついに残りわずか2分という時間にパヌッチがゴール前で痛恨のクリアミス。これを拾った9番のソル・ギヒョンに同点ゴールを許してしまった。イタリアは(おそらく)デルピエロの交替を悔やみつつ、試合は延長戦へ。
 延長に入ってからも韓国の勢いは止まらない。あわやゴールデン・ゴールという場面がいくつもあった。対するイタリアは延長前半終了間際にトッティがペナルティエリア内で倒れたプレーをシミュレーションと取られ、二枚目のイエローカードで退場になってしまう。スローで見る限り、相手DFの足がかかっているから、あの判定は可哀想だった。なんだ、あのジョン・カビラを仏像にしたような顔の主審は。
 そんなことがあったにもかかわらず、その後もイタリアは強豪の意地を見せて、時折韓国ゴールを脅かす。韓国も負けずに倍の勢いで押し返すという、ものすごい熱戦になった。ヴィエリがゴール前でのフリーのチャンスを外すなんて場面もあった(右足だから?)。そしてそろそろ延長後半も残り少なくなり、これはPK戦かな、そうなるとスタジアムを真っ赤に染め尽くしたホームの韓国が有利かなとか思い始めた頃に。10番イ・ヨンピョがゴール前に入れた斜めのハイ・ボールにペルージャのアン・ジョンファンがヘッドであわせてゴール!! なんて劇的な幕切れだい。まいった。
 正直言ってこの先の対戦カードを考えれば、韓国よりもイタリアの方が見たいと思っていた。でもこんな試合を見せられては韓国を応援しないではいられないだろう。素晴らしい試合だった。それもポルトガル、イタリアという優勝候補の強豪国を連破してのベスト8入りだ。開催国として最高の試合を見せてくれた。
 それにしても悔しさがいや増す。韓国が日本より良い成績を残していることが悔しいんじゃない。日本だってきちんとした準備さえしていればもっとできたはずなのにと思わずにいられないから悔しい。日本が負けたというのに陽気に浮かれ騒いでいる奴らが信じられない。明日は悔しくて仕事になりそうにない。
(Jun 19, 2002)