スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐
ジョージ・ルーカス監督/ヘイデン・クリステンセン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン/2005年/アメリカ/ユナイテッド・シネマとしまえん
いまさら僕ごときがどうこう言う必要もない、今年一番の話題作、 『スター・ウォーズ』 新三部作の完結編。これを先々行ロードショーで観た。なんたって僕の妻と竹馬の友は、小学生のときに旧シリーズの第一作をロードショーで見て以来のスター・ウォーズ・ファンを自称する人たちなので、他人さまより先にチケットが入手できる機会があるとなれば見逃すはずもない。そんな二人につきあって僕もこの映画を一般公開よりも2週間ばかり早く観ることになった。
この作品に関しては最初から結末は決まってしまっているわけで、あとはそこまでの過程をいかに描いて見せるか、それがすべてと言ってもいい。そういう意味ではフィクションであるにもかかわらず、ある種、伝記映画にも近い雰囲気をもった、珍しい作品だったりする。そして結果、その珍しい位置付けがこの映画に、ほかでは味わえないタイプの感動を与えている。別に特別な思い入れのない僕をして、クライマックスのいくつかのシーンでは涙腺を弛ませてみせたほどだ。ルーカス恐るべし、である(たんに僕が涙もろいやつだという話もある)。
ま、けちをつけようと思ったならば、いくらでもつけられるだろう。アナキンがダーク・サイドに転身する過程の描き方には、僕としてはあまり説得力を感じなかった。基本的には彼が悪の道へ走るのは愛するパドメを愛するため、というのが表面的な描かれ方だけれど、本来はそれだけではないはずだ。愛のためだけならば、愛する人を悲しますのがあきらかな裏切り行為に対して、あそこまで逡巡しないなんて考えにくい。アナキンの魂の根幹には、より強い権力への渇望があったと見るべきだ。だからこそ、愛する人を守るための裏切り行為ののちに、その人を悲しませるのがあきらかな非道を働き、その人の愛を疑い、その人の命を奪いかねない暴挙に出ることになる。その辺の、より強い力を激しく求めるアナキンの性格が上手く描けていないかなという気がした。オビワンやジェダイ評議会に不満を抱いていたのはわかるけれど、それがあそこまで極端な転身へと誘われるという展開には、不自然さを感じずにはいられなかった。
おそらく辛口な人に言わせればもっともっと突込みどころは多いだろう。大ファンのうちの嫁さんでさえ、 『ジェダイの帰還』 でルークとレイヤがお母さんのことを話していたシーンがあったことについて、あれはなんだったのとつっこみを入れていたし……。
でもまあ、そんなディテールの破綻は瑣末事だ。この作品でもっとも重要なことは、全6作もの長大なサーガが、ここにおいてちゃんとひとつの流れとして完結した点にある。 『エピソード3』 はものの見事にエピソード4へとつながってゆく。この映画のエンディングのあとには、まるで輪廻転生という奇跡を目撃したかのような、えも言われぬ不思議な感慨が残る。アナキンのこの上ない悲惨な運命の顛末を目撃したあとに、あれほど
(Jul 03, 2005)