カジノ・ロワイヤル
ジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズ、ロバート・パトリッシュ、ジョセフ・マクグラス、ヴァル・ゲスト監督/デイビッド・ニーブン、ピーター・セラーズ、ウディ・アレン/1967年/イギリス/DVD
未読とはいえ、イアン・フレミングの原作がなにゆえこんな映画になっちゃうんだろうと。そのすっとぼけかたに感心してしまうほどふざけた007シリーズのパロディ。
いや、おそらくこれをパロディと呼ぶのは間違っている。だって原作はイアン・フレミングだし、主人公はジェームズ・ボンドだし。単に味付けがそれまでのシリーズとはあまりに違いすぎるというだけだ。でもこの違いは、シリーズのファンにとっては許しがたいのではないかとも思う。それくらいふざけまくっている。ここまでやられると痛快ですらある。
なぜ監督が五人もいるのかとか、どうしてこんなにくだらない映画に、これほどまで豪華な俳優陣が出演しているのかとか──オーソン・ウェルズやジャン=ポール・ベルモンドもちょい役で出演している──、なかなか不思議なことが多い映画だった。バカラックの音楽にサイケデリックなポップ・アート調のビジュアル、そして出し惜しみしてよと言いたくなるほどたくさんの美しいボンド・ガールたち。『オースティン・パワーズ』の原点は間違いなくここにある。
(Nov 12, 2005)