メラニーは行く!
アンディ・テナント監督/リース・ウィザースプーン、ジョシュ・ルーカス/2002年/アメリカ/BS録画
『メラニーは行く!』という邦題は、黒いタイトなワンピース姿のリース・ウィザースプーンが腰に手を当てて、すらりとしたプロポーションを誇示しているDVDジャケットの写真のイメージにはぴったりだと思う。けれど映画自体は、原題の『スウィート・ホーム・アラバマ』の方がしっくりとくる内容だった。
新進気鋭のファッション・デザイナーとして売り出し中のメラニー・カーマイケル(リース・ウィザースプーン)が、女性ニューヨーク市長の息子にして、自らも政治家の恋人アンドリュー(パトリック・デンプシー)から、貸切にしたティファニーでプロポーズを受ける、というのが話の発端。幸せの絶頂というメラニーだったけれど、彼女にはひとつ、重大な秘密があった。実は彼女は結婚していて、7年間も別居中の夫がいるのだった。彼女は夫ジェイク(ジョシュ・ルーカス)との離婚を果たすため、故郷のアラバマへと里帰りする。
ニューヨークのファッション・デザイナーであるメラニーが、故郷の南部の田舎町で浮きまくってしまうというシチュエーションがこの映画の一番のポイントだ。オープニングこそファッションショーなどの華やかな場面が続くけれど、いったん本編に入ってからの舞台は、ほぼすべてアラバマ。いまだにおじさんたちが集まって南北戦争ごっこをしたりしているアメリカ南部の独特の雰囲気がフィルム一杯にあふれている。タイトルとなったレイナード・スキナードのヒット曲──映画で使われているのはオリジナルではないようだけれど──がまさにぴったりの映画だった。ちなみにこの曲をエンド・クレジットで歌っているのはジュエルとのこと。
話はひとりの女性がふたりの男性のどちらを選ぶかが焦点という、この手の映画の定番。なんで最近はこうも徹底して同じような話が多いのか、不思議になるほどだ。ハリウッドでは基本的に同じ話をどういうシチュエーションで見せるかを競っているんじゃないかという気がしてくる。
(Sep 02, 2006)