マイ・ハート、マイ・ラブ
ウィラード・キャロル監督/アンジェリーナ・ジョリー、ショーン・コネリー/1998年/アメリカ/BS録画
『Xファイル』 のジリアン・アンダーソンがスカリー以外の役を演じていることに興味をおぼえて観てみた作品。
出演者は彼女をはじめ、アンジェリーナ・ジョリー、デニス・クエイド、ジョーン・コネリー&ジーナ・ローランズ ( 『グロリア』 の主演の人だけれど、いまやすっかりお婆さん)、マデリーン・ストウ、エレン・バースティン ( 『エクソシスト』 の母親役の人とのこと) という、とても豪華な顔ぶれ。この俳優陣が、それぞれ別々の六つのドラマを平行して演じている。それぞれの話がどういう関係なのかは、観てのお楽しみ。
おめあてのジリアン・アンダーソンは、恋愛に臆病なバツいちの舞台演出家という役回り。彼女の相手役をつとめるジョン・スチュワートという人は、どこかで見た顔だと思ったら、以前MTVミュージック・アワードで司会をつとめていたコメディアンだった(でもこの映画では笑いをとるシーンは皆無)。
髪を赤く染めたアンジェリーナ・ジョリーは、ディスコ──いまはクラブというべきなんだろうか──で出会った青い髪のライアン・フィリップを相手に、その派手な言動に似合わない純愛を演じてみせる。ショーン・コネリーとジーナ・ローランズは、結婚四十周年を間近にひかえ、過去の旦那の(精神的)浮気が発覚して、仲たがいする老夫婦役。マデリーン・ストウはホテルで密会を続ける人妻役で、出番はホテルの部屋の中ばかり。
残りのふたつ、デニス・クエイドがバーで見知らぬ女性たちを相手に嘘をつきまくる話と、エレン・バースティンがエイズで死にかけている息子と最後のときを病室で過ごすエピソードは、恋愛劇とはいえないけれど、それでもやはり愛がテーマの話と言えなくもない。前者は嘘八百を並べて、ゆきずりの愛を求める男の話(という見せかけで実は……、というところがなかなかだ)、後者は同性愛の悲しい末路と、それを見つめる母性愛を描いている。
ということで六つの愛の形を同時並行で描いて、最後にそれをうまくまとめて見せたこの作品。脚本もよく書けていると思うし、場面の切替や音楽の使い方など、演出面でもスタイリッシュだし、なかなかよかった。
(Mar 03, 2007)