ザ・ソプラノズ<サード>
デビッド・チェース製作総指揮/ジェームズ・ガンドルフィーニ/2001年/アメリカ/DVD
このサード・シーズンも、シーズンを通じて描かれる中心的なエピソードはふたつ。ひとつは昔からのファミリーの一員という設定で新登場したラルフィ(ジョー・パントリアーノ)が組織のなかでのし上がってゆく過程を描くもので、もうひとつは大学生となったトニーの娘メドウの恋愛話。
メドウの二番目のボーイフレンドとなるのが、トニーの前にファミリーのボスだったジャッキーの息子、ジャッキー・ジュニア(ジェイソン・セルボーン)で、ハンサムだけれど頭の出来はいまひとつというこの青年が、母親(つまりジャッキー・シニア未亡人)の現在の恋人であるラルフィともども、あれこれと事件を起こすことになる。ラルフィの台頭にともない、それまでは磐石だったトニーとポーリー(トニー・シリコ)やクリスのあいだで不協和音が響き始める。
そのほかにも、トニーに新しい愛人ができたり、高校生になった息子のアンソニー(ロバート・アイラー)が思春期らしいトラブルを起こしたり、妻のカメーラが離婚を考え始めたり。トニーのまわりは問題だらけで、なかなか目が離せない感じになってきた。これまでで一番、つづきが気になる。
不幸な話としては、前のシーズン終了後に、トニーの母親リディアを演じていたナンシー・マーチャンドが亡くなってしまったそうで、今回は二話目が彼女のお葬式のエピソードとなっている。その回には彼女の登場シーンもあるけれど、これはおそらく生前に撮影した未公開シーンを流用したものじゃないかと思う。ファースト・シーズンでの存在感が強烈だっただけに、この女性のリタイアはとても残念だ。享年72歳とのこと(失礼ながら見た目の印象よりも若かった)。ご冥福を。
そのお葬式のエピソードなどもそうだけれど、今シーズンはこれまでにくらべて、一話一話、きっちりと起承転結のある話が多いような気がした。たとえばFBIがトニーの屋敷に盗聴器を仕掛ける一話目の『盗聴』や、メルフィ先生がとんでもない目にあう『衝動』、ポーリーとクリスが雪山で遭難しかける『逃亡』など。いちおう、その前後につながりを持ちながらも、話としてはその回だけでも単独で楽しめる内容になっている。
あと、今回は小道具の使い方がよかった。具体的には、FBIがトニー宅に仕掛けた盗聴器入りのライトスタンドと、巷で流行っている歌うサカナの
ゲスト俳優でおやっと思ったのは、トニーの新しい愛人グロリア役のアナベラ・シオラ。顔にはやたらと見覚えがあるのに、どこで見たのか、ぜんぜん思い出せない。調べてみたら、なんと『ジャングル・フィーバー』の主演の人じゃないですか。大好きな映画なのに、十歳ばかり年をとっているせいか、まるで気がつかなかった。
そのほかの俳優陣で有名どころといえば、ラルフィ役のジョー・パントリアーノ。この人は『マトリックス』でサイファーを演じていた人だった。しゃべりかたが独特だから、言われてみて、ああ、なるほどという感じだった。
あと、一話目にはFBI捜査官役で『24』のエドガーこと、ルイス・ロンバルディがゲスト出演している。この人はセカンド・シーズンにも何度か出ていたらしい。
(May 13, 2007)