メリンダとメリンダ
ウディ・アレン監督/ラダ・ミッチェル/2004年/アメリカ/DVD
とあるレストラン──おそらくニューヨークの──で、小説家だか劇作家だかの知識人が夫婦で三組ほど集まってテーブルを囲んでいるときに、創作についての話になる。で、メリンダというひとりの女性を主人公にして、同じシチュエーションのもと、かたやペシミスティックなひとりが悲劇を、楽観的なもうひとりがコメディを語ってみせる──という設定で、彼らの語るそれぞれのストーリーを、どちらもラダ・ミッチェル主演の劇中劇として再現してみせたのがこの作品。ラダ・ミッチェルというのは、『フォーン・ブース』 でコリン・ファレルの奥さんを演じていた人──だそうだけれど、そう言われたところで、いまとなると、もうわからない。
この映画で僕がおもしろいと思ったのは、ウィル・ファレルの役柄。彼が演じているのは、コメディのほうのエピソードの中心となる男性で、以前ならば、まちがいなくウディ・アレンが自分で演じていただろうって役どころ。ウディ・アレンのドッペルゲンガーとでもいうべきその役を、コメディアンであるという以外は、体型も雰囲気もウディ・アレンとは似ても似つかないウィル・フェレルが演じているというミスマッチが、なんとなくおかしかった。
それにしても、さすがに年をとって役柄にマッチしなくなったからという理由ではあるんだろうけれど、こういう役をウディ・アレンご本人が演じられなくなっているという状況は、特別なファンというわけではない僕でさえ、ちょっとばかりさびしく思う。
(Mar 04, 2008)