イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
ジム・シェリダン監督/サマンサ・モートン、パディ・コンシダイン/2002年/アイスランド、イギリス/BS録画
ウディ・アレンの 『ギター弾きの恋』 で口がきけないヒロインを好演していたサマンサ・モートンが主演だというので、観てみようと思った作品。 『父の祈りを』 のジム・シェリダン監督による自伝的映画だとのことで、アイルランドからアメリカに(不法移民として?)渡ってきた四人家族──パディ・コンシダインとサマンサ・モートンの夫婦に、幼い姉妹ふたり──が、新天地での貧乏生活に泣いたり笑ったりしつつ、懸命に生きてゆく姿をいきいきと描いている。
お目当てのサマンサ・モートンは、もとより美形とまでは言えないところへきて、髪を坊主頭に近いくらいにばっさり切ってしまっていて、あまり可愛いとは言えなかったけれど、その分は彼女の娘役のふたりの女の子、サラ・ボルジャーとエマ・ボルジャーが補ってあまりある。いや~、このふたりが可愛いこと、可愛いこと。やっぱりこういう子供たちがいたら、親はがんばらないといられないよなあと思う。ちょうど上の子が僕の子供と同じ年頃なので、なおさら共感してしまった。
この子たち、ラストネームが同じだと思ったら、やはり実の姉妹だそうだ。自分たちの幼い娘たちが、こういう素晴らしいフィルムで競演しているというのは、実の親にとってはまたとないこと幸せなだろう。だってこんな素敵な映画を、ホーム・ムービー代わりにできちゃうのだから。ちょっとうらやましい。
僕が一番気に入ったのは、上の子のクリスティが学芸会かなにかでステージに立って、イーグルスの 『デスペラード』 を独唱しているシーン。これはその舞台を撮影したホーム・ムービーを観つつ、当時のことを思い出しているという回想シーンになっていて、彼女の幼くもしっかりとした歌声が映像と非常に見事にマッチしていて、とても感動的だった。おかげでそれ以来、 『デスペラード』 が聴きたくなってしまって困っている。近いうちにイーグルスのベスト盤を買うことになりそうな雲行き。
(Aug 15, 2008)