ハリー・ポッターと炎のゴブレット
マイク・ニューウェル監督/ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン/2005年/アメリカ/DVD(吹替)
シリーズを追うごとにだんだん話が暗くなるという噂だったけれども、なるほど。伝説の悪い魔法使い、ヴォルデモート興が復活して話がシリアスになるせいかと思っていたら、どうやらそれだけではなく、ハリーとロンとハーマイオニーの三人が成長してしまって、そろそろ思春期って年になったことで、彼らの関係が微妙になり──なんたって男ふたりに女ひとりだもので──、いままでみたいな仲良し三人組ではいられなくなるというのも、大きな理由みたいだ。この第四作では、三人が一緒にいるシーンがこれまでで一番少ないし、一緒にいてもなんとなく関係がギクシャクしていて、それがなんともさびしかった。
物語はハリー・ポッターが在学しているホグワーツ魔法学校とほかの二校のとのあいだで魔法の対抗トーナメント戦を繰りひろげられるというもの。各校から一名ずつの代表選手が選ばれるというので、当然ハリーがホグワーツの代表ということになるのかというと、簡単にはそうはならない。危険な競技ゆえ十七歳未満の生徒は参加禁止という制限が設けられていたりする(ハリーは現在十四歳)。
でもやっぱり、ハリーはその競技に出場することになる。それはなぜかといえば……というところが、観ていてもよくわからなかった。各校から一名ずつのはずが、なぜホグワーツからは二名選ばれることになったのかとか、なぜ校長たちがそれを容認しちゃうのかとか。おそらく本作のタイトルになっている《炎のゴブレット》──これが代表選手を決める──がハリーを代表として認めた以上、校長らに異議は挟めないとか、そういうルールがあるのだろうと思うけれど、この映画版ではその辺の説明が足りない。まあ、原作が巻を追うごとに長大になっているようなので、それを2時間半ばかりの映画にパッケージしようとすれば、舌たらずになってしまうのは、致しかたないことなのかもしれない。
なんにせよ、物語は、代表に選ばれたハリーが自分より年長の生徒たちに混じって、いかに対抗戦を勝ち抜いてゆくかを描くいっぽうで、ハリー、ロン、ハーマイオニーの三角関係──もしくはロンとハーマイオニーの二人のあいだの素直になれない恋愛感情(まさにラブコメの典型)──をほのめかしつつ進んでゆく。物語的にはこれまででもっとも直線的なところと、子供時代から思春期への変化がはっきりと表面化してきたところが印象的な第四作だった。
(Oct 08, 2008)