ツイン・ピークス
デイヴィッド・リンチ&マーク・フロスト製作総指揮/カイル・マクラクラン/1990~1991年/アメリカ/DVD
うちの奥さまのたっての希望で去年の暮れに購入した 『ツイン・ピークス』 のDVDゴールド・ボックス(2シーズン全30話)を、ここ2週間でいっきに観た。
このドラマ、実はわが家にはレーザーディスクのボックスがある。でも、うちのLDプレーヤーは安物で──しかもそろそろガタがきているので──、さすがにDVDの画質に慣れた今となると、鑑賞に耐えない。それだからということで、アマゾンで半額になっていたのにつられて、ついついDVDボックスを買ってしまった。
まあ、半額といっても1万5千円もするから、決して安くはないんだけれど、欲しいとなれば買うっきゃない。人生は短い。がまんは身体に悪い。いずれにせよ、これで二度とLDボックスが日の目をみることはないだろう。そもそも、つい最近になってパイオニアの最後のLDプレーヤーが生産中止になって、もう新しいハードは手に入らなくなったから、いまのプレーヤーが壊れたが最後で、LD自体が再生できなくなる日もそう遠くない。宝の持ちぐされとはまさにこのことだなぁと思うきょうこの頃。
やや脱線。なにはともあれ、うちの奥さんは二度もボックスを買うくらい、この作品が好きなわけだ。でも僕には彼女がなにゆえそれほどまでにこのドラマに魅せられているのか、いまいちわからなかったりする。たしかにおもしろいと思うし、歪んだ笑いに満ちた世界観はワン・アンド・オンリーだけれど、僕自身はそれほどまでには入れ込めない。
まあ、それでも2週間もぶっ通しで見つづけていたので、一部のキャラクターにはそれなりに愛着が湧いていたりする。なかでも一番好きなキャラクターは、デイヴィッド・リンチ自らが演じている耳の遠いFBIのボス、ゴードン・コール。このお騒がせな人物を嬉々として演じているリンチを見て、この人ってもしかしてすごくいい人なのかもしれないと思った。なんにせよ、この人はおもしろすぎた。
逆にどうにも好きになれないのがジェームズ。誰もがなんらかの形で笑いに貢献しているようなこのドラマにおいて、彼だけはあまりに笑えなさすぎる。ドナとマギーにコーラスをつけさせて弾き語りでホームレコーディングしているシーンだけは苦笑したけれど、あれは例外(唐突にあんなものをさしはさむ演出が見事なだけ)。そのほかに彼が絡んだ場面で笑えた記憶がない。なまじ重要なキャラだけに、彼がつまらないのがこのドラマの一番の欠点じゃないかとさえ思う。もしもジェームズがもうちょっと笑えるキャラだったらば(もしくはいっそのこと出てこなければ)、僕はこのドラマがもっと好きになっていたかもしれない。
最後にひとつ、『ツイン・ピークス』 にふさわしいちょっとだけオカルトな話。今回、僕らがこのドラマを見始めたのは2月23日の夜のことだった。知る人ぞ知る──その日は、ローラ・パーマーの日記にある最後の日。つまりローラ・パーマーが殺害された日。そうとも知らず、たまたま僕らは事件とおなじ日の夜にこのドラマを観始めたのだった……。
(Mar 09, 2009)
【追記】日記を書いた時点では当然生きていたので、殺されたのは翌日らしい。あぁ、勘違い。