魔法にかけられて
ケヴィン・リマ監督/エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー/2007年/アメリカ/BS録画
古典的ディズニー・アニメのお姫さまが映画のなかでやっていること――動物や鳥たちと一緒に歌ったり、踊ったり、働いたり――をそのまま現実の世界でやらせてみると、こんなにもおかしくて恥ずかしいことになっちゃうんだぞと。これはそういう映画。天下のディズニーがわざわざセルフ・パロディを作ってみせたわけだから、それはそれですごいと思うんだけれど、正直なところ、四十男としては観ている自分が恥ずかしくなってしまうような映画だった。
このなんともいえない気恥ずかしさの原因は、おそらく主演のエイミー・アダムスに負うところが大きい。彼女を追ってアニメの世界からやってきた残りの三人――なんと女王はスーザン・サランドンだ――は、それぞれにオーバーアクションな役作りでアニメ・キャラクターっぽさを醸し出しているんだけれど、どうにも主演の彼女だけは、アニメの世界から抜け出してきたという感じがしない。普通の人がちょっとあぶない天然な女の子を一生懸命演じている印象で、健気ながら気恥ずかしさが否めない。
調べてみれば、彼女はこのとき、もう三十代だ。可愛い人だとは思うけれど、やっぱりアニメのプリンセス役を、三十過ぎの女優さんに演じさせるのには無理がある思う。言っちゃ悪いけれど、おでこにしわが寄るところとかも、あまりお姫様っぽくないし……。できればもっと浮世離れした感じの、若い女の子をキャスティングして欲しかった。
でもまあ、これがもしも作り手の狙った演出だとするならば――わざと若くない女優さんにこういう役をやらせることで、ミスマッチな笑いを誘ったのだとしたら――、こんな見事なキャスティングはないかもしれない。だって、なんだかんだ言って、僕はこの映画でそうとう笑ったから。大半は苦笑いだったけれど、笑ったことには間違いないので、まあよしとしたい。
とはいっても、いくらなんでもドラゴンが飛べないってのはなしだと思いますが。あと、エンドロールで一家で踊るのもやめて欲しい。本気で恥ずかしいから。
(Jun 03, 2009)