ダーウィン・アワード
フィン・テイラー監督/ジョセフ・ファインズ、ウィノナ・ライダー/2006年/アメリカ/BS録画
この映画のタイトルになっているダーウィン・アワードは、思わず笑っちゃうような死に方をした人を表彰するという、インターネットにある人気サイトの名前。なんでダーウィンかというと、「自ら死ぬことで、その愚かな遺伝子を未来に伝えることなく、人類の進化に貢献したから」なのだそうで。ブラック・ユーモアあふれるこのネーミング・センスは抜群だと思う。
ということでこの映画は、そのサイトで紹介されているいくつかの馬鹿な死に方――たとえば、高層ビルの上のほうのフロアで、窓ガラスの硬さを証明しようとして、体当たりしたらガラスが割れて、転落死しちゃった男とか、ギネス記録を残そうとして(?)、車にロケットエンジンを積んで、そのまま帰らぬ人になってしまった男とか――を映像化して、オリジナル・ストーリーのなかに盛りこんでみせたロマンティック・コメディ。ウィノナ・ライダー主演だというので観たのだけれど、残念ながら、この作品の彼女は役どころ――ドライに仕事をさばくやり手の保険調査員――が、いまひとつしっくりこない気がした。
さらにこの映画では、奇特な学生がジョセフ・ファインズ―― 『恋するシェイクスピア』 でシェイクスピアを演じていた人でした(気がつかなかった)――演じる主人公のドキュメンタリーを撮っているという設定で、ハンディ・カメラもどきの映像が多用されているのも、観ていてうっとうしかった。演出としてたいして効果的だと思えないし。ただ 『クローバーフィールド』 のように揺れまくりでないのが救いというくらい。
なもんで、作品の印象としてはいまひとつなのだけれど、それでも差し挟まれるいくつかの実話は、さすがにどれも失笑もの。人が死んだり、不幸になる話で笑っちゃいかんだろうと思いつつも、わざわざ映像化されるほどの馬鹿な死に方には、やはり苦笑を禁じえなかった。
ちなみにメタリカのコンサートに不正侵入しようとしたファンにまつわるバカ話──―これはさすがにフィクションだと思う――で、メタリカのライヴ・シーンが使用されていて、なおかつバンドのメンバーが自身の役で出演しているので、メタリカ・ファンは必見です――って、僕のまわりにはそういう人、一人もいなさそうだけれど。
(Jul 05, 2009)