かけひきは、恋のはじまり
ジョージ・クルーニー監督・主演/レニー・ゼルウィガー、ジョン・クラシンスキー/2008年/アメリカ/BS録画
邦題とDVDのパッケージからは想像できないけれど、この映画は黎明期のアメリカン・フットボール・プロ・リーグを舞台にしたスポーツ・コメディ。これが監督三作目となるジョージ・クルーニー演じるところのつぶれかけた貧乏クラブのロートル選手が──ドッジ・コネリーという役名で、
1925年のアメリカン・フットボール・リーグが本当にこの映画で描かれるみたいにアマチュア同然のレベルの低さで不人気にあえいでいたのかどうかは知らないけれど、そのあまりの素人っぽさはプロというにはあまり説得力がなく、物語もいまひとつ盛りあがりに欠けたけれど、それでもセピアがかったシックな映像とランディ・ニューマンの手になるあったかいジャズのサントラがとても心地よく、雰囲気的にはけっこう楽しく観られた。
しかし、くどいようだけれど、この邦題はないよなぁ。まあ、ジョージ・クルーニーとレニー・ゼルウィガーの恋愛劇も描かれはするけれど──ゼルウィガーはカーターに接近して、彼が戦争の英雄だという嘘を暴こうとする女性ジャーナリストの役──、それはあくまで物語の一部。主題はまだまだ商業的にあか抜けない頃の、泥だらけのアメリカン・フットボールを巡る男たちのドラマを描くことだろう。その辺を無視してこういう邦題をつける人たちがはびこっている日本の映画業界って……。
(Oct 03, 2009)