セレブの種
スパイク・リー監督/アンソニー・マッキー、ケリー・ワシントン/2004年/アメリカ/レンタルDVD
スパイク・リーは僕がもっとも好きな映画監督だから、基本的にこの人の監督作品はすべてソフトを買って、手元に置いておきたいと思っているのだけれど、この作品は本国での評判がいまいちだった上に、日本では完成当時には劇場公開が見送られ、次回作の 『インサイド・マン』 のヒットを受けて、あと追いで公開された作品だったりしたので、なんとなく買うタイミングを逸してしまっていた。廉価盤のDVDが出たならば、確実に買っているのだけれど、そんなマイナーな作品だから、なかなか安くならないし。いまさら高いDVDを買うのは嫌だし。で、結果、いまごろになってレンタルで観たのだけれど……。
いざ観てみれば、なんのことはない、「これぞスパイク・リー!」って作品だった。なんだぁ、最高じゃん。ほかの人がどう思うにせよ、僕にとっては、いままでのスパイク・リーの作品と同様、すごくしっくりきた。やっぱ僕はこの人の映画、大好きだ。
これまで観たいと思えないでいた理由のひとつは、これが「失業者がレズビアン相手に精子提供ビジネスでひと儲けする話」だと聞いたからってのもあった。それって、『ガール6』 の男性版みたいな感じで、ちょっと二番煎じだったりしない?と思ってしまったのだった。
でもいざ観てみたら、そんなことぜんぜんない。主人公は若くして大手薬剤企業の部長まで登りつめたエリートで、序盤はその企業が新薬開発に絡んでおこなったインサイダー取引がどうしたという真面目な話がつづく。噂に聞いていた内容とのギャップが大きすぎて、ちょっとばかり面食らった。
その後しばらくして、ようやくレズビアンたちを相手にうんぬんというセクシーな話になるけれど、それで話が落ち着いたりはしない。物語はその後も二転三転、最後は意外や意外、法廷劇になって締めくくられる。レズビアン役で出てくる女優さんたちもバラエティ豊かな美女ぞろいで贅沢きわまりないし、いやぁ、もうおもしろすぎ。結末はやや甘いかなという気がしなくもないけれど、僕にはそれでも十分オッケーだった。やっぱスパイク・リーはいいや。いままで観てなくてすいませんでしたって謝りたくなった。
(Dec 12, 2010)