シャーロック・ホームズ
ガイ・リッチー監督/ロバート・ダウニー・ジュニア、ジュード・ロウ/2009年/イギリス、アメリカ/BD
この映画、僕は最初に予告編を観た時点では、あまり関心を持てないでいた。アクション・シーンだらけのその予告編が、あまりに僕の抱いているシャーロック・ホームズのイメージとかけ離れていたからだ。なおかつ、ガイ・リッチーの作風が十九世紀という時代設定とうまくマッチするのかも、いまいち疑問だった。
でも、いざ観てみたら、これがかなりおもしろい。やはりホームズやワトソンのキャラクター・イメージは原作とはずいぶん違うと思うけれど、でもそれはそれで違った魅力があるし、いかにもガイ・リッチーらしい緩急のついた演出も、意外にその物語世界にバシッとはまっていた。
なにより感心したのは、アクション映画風でありながら、しっかりミステリとしての魅力を備えている点。確かにアクション・シーンは多いし、物語はオカルトじみているけれど、それでも最後にはちゃんとすべての謎があきらかにされる。一見、肉体派的なホームズの格闘シーンまでが、じつは彼の頭脳派たる部分に支えられている──いきあたりばったりの動物的な感で戦っているのではなく、どのように敵を倒すか、あらかじめ計算し尽くした上で戦っている──ことがわかるよう演出されているのには、なにより感心した。それでこそホームズ。
ワトソンがホームズに対してやたらと強気なのには、やや違和感を覚えたけれど、彼が戦争帰りの軍医だという背景を考えれば、それは決しておかしなことではないような気もするし。ホームズの次男坊的なエキセントリックさにしても、彼のアウトローぶりを現代的な角度から視点を変えて見ただけと取れば、それほど大きく逸脱しているわけではない気がしてくる。
ということで、予想に反して僕はこの作品がとても気に入った。いかにも続編ありって感じで終わったと思ったら、なんでも年内には早くも続編が公開されるらしい。それはそれで楽しみだ。
(Jan 19, 2011)