猿の惑星:創世記(ジェネシス)
ルパート・ワイアット監督/ジェームズ・フランコ、フリーダ・ピントー/2011年/アメリカ/WOWOW録画
ティム・バートン版の『猿の惑星』は、宇宙飛行士が地球だと思って帰還したのは、猿の支配する未知の惑星でした、という第一作の設定だけを踏襲して、独自のアレンジを加えたものだった。
それに対して、今回の新作がベースにしているのは、地球がいかにして猿の惑星となったかという、その発端を描いてみせたシリーズ第四作、『猿の惑星・征服』。
ただ、あちらが曲がりなりにも第三作を踏襲していたのに対して、こちらは純粋にここから始まる「猿の惑星」を描いてみせている。
僕は『征服』を観たときに、「着想は悪くなかったのに、きちんとそれを作品にすることができなかった」というようなことを書いたけれど、この映画を作った人たちも、おそらく同じような感想を持ったんじゃないかと思う。ここでは最新のCG技術と仕切り直してゼロからのスタートとすることで、旧作の欠点を見事に克服してみせている。
旧作では着ぐるみのサルが普通のサルには見えないことが欠点のひとつだった。また、シナリオとしてサルたちが集団で進化する理由づけが上手くできていなかった。このふたつが最大の欠点だと僕は思った。
それを今回は、前者を最新のCG技術できちんとサルらしく描き──まぁ、実写と比べると、いまだに若干のぎこちなさは否めないけれど──、シナリオについても、バイオ科学が発達した現代ならではの設定で、サルの進化と人類の滅亡をあわせて説明してみせている。ここには
まぁ、最終的にはサルに人間が支配されてしまうという話なので、観ていてやや感情的に複雑な気分になってしまうのが難点かな……と思わないでもないけれど──そういう意味では人間たちのドラマにもう少し奥行きがあると、なおよかった──、それでも基本的にはいい出来の作品だと思う。
(Feb 11, 2013)