2013年8月の映画

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007 スカイフォール

サム・メンデス監督/ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハビエル・バルデム/2012年/イギリス、アメリカ/WOWOW録画

007/スカイフォール [DVD]

 ダニエル・クレイグ主演の007シリーズ第3弾。
 今回は監督が『アメリカン・ビューティー』や『ロード・トゥ・パーディション』のサム・メンデスだし、下馬評も髙そうだったので、期待していたのだけれど、個人的にはいまひとつ。アクションでは前作をしのげていないし、物語的なおもしろさでは1作目ほどでもなく、お色気も少なめ。結果、どっちつかずの中途半端な出来って印象を受けてしまった。
 物語としては、ジュディ・デンチ演じるMの非情な采配により、いきなりボンドが死にかける――というか、あれで生きているほうが不思議だ――という導入部をへて、同じように彼女に見捨てられた(と思い込んでいる)過去の部下──あいかわらず名前が覚えられないハビエル・バルデム──が、逆恨みから国をあげてのテロ騒動を巻き起こす、という話。冒頭の過剰にアクロバティックなアクション・シーンや、日本の軍艦島をモデルとした廃墟のセットなど、見どころもたくさんある。
 でもやはり、印象はいまいち。一度は死にかけたジェームズ・ボンドが酒浸りのあげくに二流スパイに成り下がるってシナリオが興ざめだし、悪役のバルデムも『ノーカントリー』と比べると、迫力不足。どうも、『ダークナイト』のジョーカーの登場以来、悪役の標準値が上がってしまって、なかなか魅力的な悪役を登場させるのが難しい時代になった気がする。
 まぁでも、わざわざけなすほどつまらない映画ではないとも思う。
 個人的によかったのは、クライマックスのボンドの実家の番人役で、『オリエント急行殺人事件』、『ミラーズ・クロッシング』、『エリン・ブロコビッチ』などの名優、アルバート・フィニーが出ていること。ぼうぼうの髭面だから、出演者として名前があがっているのを知らなければ、その人って気がつかなかったと思うけれど、いい感じに若々しさの残ったお爺さん役で、とても素敵でした。
(Aug 18, 2013)