恋のロンドン狂想曲
ウディ・アレン監督/ジョシュ・ブローリン、ナオミ・ワッツ/2010年/スペイン、アメリカ/WOWOW録画
ひさしぶりにウディ・アレンを観よう──でも時間の都合でなるべく短めのやつ──ということでこの映画を選んだら、主演がひとつ前の『オールド・ボーイ』につづいて、またもやジョシュ・ブローリンでした。
ウィキペディアでキャスティングを見ると、アントニオ・バンデラス、ジョシュ・ブローリン、アンソニー・ホプキンズ……という順で、ナオミ・ワッツが七番目のクレジットだったりするけれど、話自体はジョシュ・ブローリンとナオミ・ワッツが演じる夫婦の不和を中心にしたもの。で、もっとも印象的だったのは、やはりジョシュ・ブローリンの駄目男っぷりだった。
なんでこの人は年がら年じゅう、こんな役ばっかり演じてるんでしょう? この映画の役どころ(医学部出身の売れない作家)も、とにかく困ったもんだった。
というか、この映画に出てくるのは、ひたすら困った人たちばかりだ。主演カップルの両親も離婚していて、父親(アンソニー・ホプキンス)のほうは若いコールガールと再婚して身を持ち崩ちゃうし、母親は母親で占い師や降霊会に夢中(しかもアル中気味)。ナオミ・ワッツの恋愛劇も自分に置き換えて考えると赤面ものだし。
この二世代・四人がそれぞれてんでバラバラに各自のかかえた問題に煮詰まってゆく過程を描いて、その救われなさで苦笑を誘うという。これはそういうコメディ。
そうそう、ウディ・アレンで記憶に新しいところでは、三つ前の『ウディ・アレンの夢と犯罪』、あれに近い印象。あちらは犯罪に手を染めて失敗しちゃう話だけれど、こちらはその一歩手前でかろうじてとどまっている感じ。でも、あとちょっとバランスが崩れると──もしくは時間軸を進めると──いともたやすく悲劇に発展しちゃいそうな。
そんな危なげなシチュエーションを描いておきながら、そこでさらっと幕を閉じてみせたことにより、この作品はなんとかコメディたり得ている。
笑っていいやら、悪いやら。そんな、なんともいえない変な味わいのある作品。
(Aug 14, 2015)