2015年12月の映画

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  1. スター・ウォーズ/フォースの覚醒

スター・ウォーズ/フォースの覚醒

J・J・エイブラムス監督/ハリソン・フォード、デイジー・リドリー/2015年/アメリカ/ユナイテッドシネマとしまえん

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (字幕版)

 今年いちばんの話題作、スター・ウォーズの最新作『フォースの覚醒』をロードショー初日のレイトショーで観た。
 これは要するに、スター・ウォーズ・ファンの、スター・ウォーズ・ファンによる、スター・ウォーズ・ファンのための映画。まさにそんな作品だと思う。
 とにかく全編にエピソード4~6のオマージュが満載。観ている間じゅう、僕の頭の中では「歴史は繰り返す」という言葉がリフレインしていた。
 なによりもまず、旧三部作の主要キャラ──とくにハン・ソロ──があんなに活躍するとは思っていなかった。ちょい役で出てくるくらいかと思っていたら、とんでもない。しかもハリソン・フォードが思いのほか若々しくて素晴らしい。
 登場人物やドロイドだけではなく、ミレニアム・ファルコンやXウィング、デス・スターもどきの新惑星など、懐かしのメカの登場にも一喜一憂できる。
 エピソード1~3では映像がCGに頼りすぎの感があったけれど、今作にはそれもない。CGはあくまで自然に必要なだけ使っているだけという感じだし、お馴染みの奇抜なクリーチャーの造形などにも旧シリーズに通じる手作り感がある。
 とにかくすべての面において旧三部作の魅力を最大限に再現すること──J・J・エイブラムスがこの映画で試みたのはそういうことだと思う。結果としてこの作品はとても魅力的な驚きに満ちた作品に仕上がっている。
 ただし。それは旧三部作があってこその魅力であり、驚きだ。
 おぉ、ここでこうくるか、とか、わー、ついに出た! というこの映画のサプライズ要素は、ほとんどが旧三部作に負うている。まぁ、旧三部作を知らないで観てもおもしろい映画だろうとは思うけれど、知らないで観るのと、知っていて観るのとでは、絶対にそのおもしろさのレベルが違う。そういい切れる作品だと思う。
 そこんところをよしとするかどうかで、この映画の評価は分かれるような気がする。少なくてもオリジナリティという点では旧作に遠く及ばないので。まぁ、とはいえ、世の中スター・ウォーズが大好きな人ばかりみたいだから、最終的には好意的に受け入れられるんだろうけど。
 いやしかし、新ヒロイン、レイ役のデイジー・リドリーの可愛いこと。新ドロイドのBB‐8もかわいいけど(とくに動きが最高)、とにかくレイがいい。
 そしてそんな彼女をフィーチャーしたラスト・シーンが小憎らしくも上手い。あのひとつ前──ファルコン号が飛び立ったところ──で終わってくれていれば、こんなにもあとを引かなかったのに。あんなシーンで終わられたら、どうしたって次回作を心待ちにせずにはいられない。
 というわけで、さっさとつづきが観たいぞ~、と素直に思える新シリーズの第一作目でした。この映画に関しては、余計な前情報が流出してこないうちに、さっさと観ておいた方がよかろうと思います。僕らは初日に観ておいて大正解だった。
 いやしかし、監督のJ・J・エイブラムスは、なんと俺と同い年だって。うーん、やってくれるなぁ……。
(Dec 23, 2015)