スポットライト 世紀のスクープ
トム・マッカーシー監督/マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス/2015年/アメリカ/WOWOW録画
去年のアカデミー賞で作品賞に輝に輝いた実話ドラマ。
描かれるのは十五年前に実際にあった事件。カソリック教会の神父が少年たちに性的虐待を行っていて、なおかつそれを組織ぐるみで隠ぺいしていたという事実をボストングローブ紙がスクープしたことで一大スキャンダルとなったとのこと(最近の話なのに知らなかった)。この映画はその事件をとくに煽情的になることなく、テンポよく描いてゆく。派手すぎず、地味すぎず。そのさじ加減がちょうどいい。とてもいい映画だと思う。
物語はボストングローヴに新しい局長(リーヴ・シュレイバー)が就任するところから始まる。よくあるパターンでこの人が悪いやつで、スクープを追いかける記者たちに圧力をかけて事件をもみ消そうとするのかと思ったら、まったく反対。触らぬ神にたたりなしとばかりに見過ごされてきたその事件にスポットライトを当てるよう指示を出したのがこの人だった。
外様ゆえにその土地の因習に染まらぬ、まっとうな精神を持ったリーダーの指示を受けて、マイケル・キートン、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス、ブライン・ダーシー・ジェイムズの四人からなる連載コラム《スポットライト》チームが事件を追ってゆく。調査の過程で徐々に事件の真相が明らかになってゆくところにミステリ的なおもしろみがあるのがいい。
監督のトム・マッカーシー、あまり有名な人ではないから若いのかと思ったら、なんと僕と同い年だった。俳優や脚本家としても地道に仕事をつづけてきた人らしく、監督としてはこれがまだ六作目。とはいえ、僕が知っているような作品はゼロ。そんな人がこの年になって、こんないい映画を作ってオスカーを獲得したという事実には、同い年としてはなかなか励まされるものがある。
(Jun 03, 2017)