ウディ・アレンの6つの危ない物語
ウディ・アレン監督/ウディ・アレン、エレイン・メイ、マイリー・サイラス/2017年/アメリカ/Amazon Prime Video
昔かたぎな映画職人、ウディ・アレンがなんと時代の最先端、Amazonオリジナルの連続ドラマを監督したのみならず、みずから主演まで務めているという話題作。
でも、そういう鳴りもの入りな部分を除けば──あと、ジャズ・マニアのウディ・アレンの作品にもかかわらず、一話目のオープニングでいきなり六十年代のロックがかかるのを除けば(これには驚いた)──、作品自体はものすごくオーソドックスな、いつも通りのウディ・アレン作品という感じ。連続ドラマとはいっても、一エピソードあたり二十分強、全六話ぽっきりなので、トータル・タイムは二時間半ほど。タイトルのせいで一話完結の短編が六本なのかと思っていたら、全体でひとつの物語だったし、そういう意味では、いつもよりもちょい長めのウディ・アレン作品という印象で、とても楽しめた。
この作品はまったく内容を知らないで観たほうが絶対に楽しいと思うので、あらすじは書かないけれど、一話目ではほとんどなんの事件も起こらず、退屈なくらいにゆっくりとしたペースだった話が、二話目でマイリー・サイラスが登場した途端にがぜん急ピッチで転がり始め、ついにはカオス満載の最終話になだれ込んでゆくという、その展開が見事。笑いのツボもたっぷりだし、こんなドラマがAmazonのプライム会員になれば無料で観れちゃうのってのがすごい。まぁ、逆にいうと、Amazonの会員にならないと観られないってのが困りものかもしれない。
マイリー・サイラスって僕は名前しか知らなかったのだけれど、ディズニー・チャンネルのドラマでブレイクして、歌手としても売れている女の子なんすね。そんな子がウディ・アレンと丁々発止のやりとりを繰り広げているのもなにげにすごい。昔ながらのコメディでありながら、映画配信の新しい時代を象徴するような作品。
(Jul 02, 2017)