007 スペクター
サム・メンデス監督/ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ/2015年/イギリス、アメリカ/Amazon Prime Video
ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる007シリーズの第四弾。
最初の『カジノ・ロワイヤル』がおもしろかったからフォローしているこのシリーズだけれど、それ以降はこう、可もなく不可もなくって感じがつづいている。
今作も個人的には正直いまいち。せっかく名優クリストフ・ヴァルツを悪役に起用して、モニカ・ベルッチ、レア・セドゥという美女ふたりをボンド・ガールに配しているのに、みんなそれほど魅力的とは思わなかった。
そもそもダニエル・クレイグのボンドって、なんとなくストイックな印象があるので、そんな彼がふたりの美女といとも簡単にベッドインしちゃうって展開には、なんとなく釈然としないものがある。
メキシコの死者の日のカーニバル──本当にあんなドクロだらけのお祭りなんですかね?――を舞台にしたオープニングのアクションは派手だけれど、派手すぎてリアリティがなくなっているのが残念。公衆の面前であんな国際問題になりそうな大暴れするスパイはいないでしょうよ。クライマックスだって、ワルサーPPKでヘリコプター撃ち落しちゃうなんて説得力がなさすぎる。そういうディテールの積み重ねが気分の高揚を阻害している。
物語的にはこれまでの事件の背後にスペクターという悪の組織の存在があることを知ったボンドが単独でその謎を追ってゆくという話で、全体的に前の三作を踏まえた内容になっているのも、僕のように旧作の内容をよく覚えていない観客にとってはとっつきにくい要因になっている。
前作でMの座を継承したレイフ・ファインズ、秘密兵器の発明家Q役のベン・ウィショー、秘書のマニー・ペニーを演じるナオミ・ハリスと、ボンドをサポートするまわりの脇役はみんないい味出していると思うんだけれど、ボンドやヒロインよりも彼らのほうが好印象って時点で、なにか違うんじゃないかって気がしてしまう。
ということで、こんなことならいい加減、次回作は観なくてもいいかなって思ったら、次はダニー・ボイルが監督するなんて噂が……。それは観たいかも。
(Aug 15. 2018)