マリッジ・ストーリー
ノア・バームバック監督/アダム・ドライヴァー、スカーレット・ヨハンソン/2019年/アメリカ、イギリス/Netflix
主演のふたりを筆頭にアカデミー賞で六部門にノミネートされ、そのうちのひとつでローラ・ダーンが最優秀助演女優賞を射止めたネットフリックス・オリジナル作品。
『結婚物語』というタイトルに反して、内容はアダム・ドライヴァーとスカーレット・ヨハンソンが演じる舞台監督と女優の夫婦のあいだの離婚劇。
当初は弁護士抜きで穏当に離婚手続きを済まそうといっていた二人だけれど、ひとり息子の親権をどうするかが問題だったのか、なぜだか奥さんがローラ・ダーン演じる弁護士を雇ったことから、話はどんどんややこしくなってゆく。
あぁ、離婚って本当に大変なのねって。観ていると、どちらがどうというわけでもなく、主役ふたりへの同情心がわいてきてしまような作品だった。すんげーおもしろいって映画ではないけれど、内容はどうしようもなく切実。
それというのも出演者全員の演技の素晴らしさに追うところが多いように思う。ほんと、アダム・ドライヴァーなんて、これまで観たことがないほどのいい演技をしている――って、まあ、これまでに僕が観たことのある彼の演技って、『スター・ウォーズ』限定なわけだけれど。カイロ・レンの役はなんだったんだってくらい、この映画の彼は素晴らしい。
そういや、スカーレット・ヨハンソンは『アベンジャーズ』のブラック・ウィドウ役だから、この映画ってスター・ウォーズとアベンジャーズの主役級どうしの離婚劇なわけだ。そう思うと上手くゆかないのもさもありなんな感じ。
監督のノア・バームバックは僕の知っている映画では『マーゴット・ウェディング』を撮った人だった。あれもなんだかいびつな印象の作品だったけれど、これもその点は同じ。もしかして家族の破綻を描くのが大好きな人なのかもしれない。でもってその手腕はこの作品では冴えわたっている。
もしかして離婚を考えているアメリカ人にこれを観せたら離婚を思いとどまるんじゃないかって思ってしまような映画だった。
(Mar. 01, 2020)