スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
ジョン・ワッツ監督/トム・ホランド、デンゼイヤ/2019年/アメリカ/WOWOW録画
『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』のその後の世界を舞台にしたトム・ホランド版スパイダーマンのシリーズ第二作。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』から始まったMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のフェーズ3はこれにて幕とのこと。
この映画の印象は、ジェイク・ギレンホール演じる新キャラクター、ミステリオことクエンティン・ベックをあらかじめ知っているかどうかでずいぶん変わると思う。知らないで観ていた僕にとって中盤のどんでん返しは意表をついていたけれど、もともとマーベルのキャラとしてミステリオを知っている人にとっては、あの展開はどんでん返しでもなんでもないんだろうから。
今回の作品は、そんな新キャラを絡めつつ、アベンジャーズが空中分解した世界で、残されたスーパーヒーローとしての責任を担わざるを得なくなったピーター・パーカーの悩みを、MJ(デンゼイヤ)との恋模様をもうひとつの軸としながら、修学旅行で訪れたヨーロッパ各地を舞台に描いてゆくというもの。
ヴェネツィア→プラハ→ベルリン→オランダ→ロンドンとEUを横断して舞台を変えてゆくこともあり、この作品は全編にわたってバケーション感たっぷり。ピーターとMJの関係だけではなく、ピーターの親友ネッド(ジェイコブ・バタロン)に彼女ができることもあり、ロマンティック・コメディ度も高いし、ハッピーはともかくニック・フューリーやマリア・ヒルまですっかりコミック・リリーフっぽくなっちゃっているし、全体的に能天気でゆるい作風。
MCUフェーズ3のとりを飾るにはゆるすぎじゃん?――と思ったのだけれど、そういやフェーズ2の最後は『アントマン』でしたっけね。最後はあえてゆるく締めるのがマーベルの流儀なのかもしれない。
ということで、そこそこおもしろかったけれど、出来はそれほどでもないかと思っていたら、ラストに思わぬ小爆弾が仕掛けてあった。
えっ、そんな終わり方ってあり?――って思いました。
ほんとマーベルは罪作りだ。
(Apr. 10, 2020)