2021年5月の映画

Index

  1. スピード
  2. ソウルフル・ワールド

スピード

ヤン・デ・ボン監督/キアヌ・リーヴス、サンドラ・ブロック/1994年/アメリカ/BS録画

スピード (字幕版)

 アカデミー賞でアンソニー・ホプキンスが主演男優賞を獲ったので、ちょうどいいから、ちょっと前から観なおしたいと思っていたこの映画を観ることにしたのですが……。
 なにを勘違いしていたのやら。この映画に出てくる悪役はアンソニー・ホプキンスではなく、デニス・ホッパーじゃん! なぜだかこのふたりを完璧に混同していた。
 まぁ、なにはともあれ、この映画はデニス・ホッパー演じる爆弾魔が仕掛けたバス爆破事件を防ごうと、若き日のキアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロックが奮闘するアクション・スリラー。これを機に押しも押されぬハリウッド・スターとなるふたりの出世作。
 公開当時に観たときには、デニス・ホッパーと主人公ふたりが対決するクライマックスこそいまいち好きになれなかったものの、そこまでは非常におもしろい映画だと思ったはずなんだけれど、二十年以上たって観なおしてみたら、残念ながらそれほどでもなく……。いまとなると八十年代を引きずる全体的な雰囲気がしっくりこないし、シナリオもいまいち抑えが効いていない。導入部分のエレベーターの爆破シーンもまるで覚えていなかった。
 さすがにメインとなるバスの暴走シーンは迫力満点でおもしろかったけれど、でもいささか演出過剰な感は否めない。『パルプ・フィクション』や『ショーシャンクの空に』、『レオン』などの傑作と同じ年の作品(なんと!)なのを考えると、それほど評価されなくても仕方ないかなって気がしてしまった。
 まぁ、とりあえずクルーカットのキアヌ・リーヴスは新鮮です。サンドラ・ブロックもいまでもほとんど変わってなくてすごいなと思った。
(May. 09, 2021)

ソウルフル・ワールド

ピート・ドクター監督/ジェイミー・フォックス、ティナ・フェイ/2020年/アメリカ/Disney+

ソウルフル・ワールド (字幕版)

 ディズニーやピクサーの新作をきちんとフォローしていたのも今は昔。映画を観る本数が激減したことで、どうせ観るならばアニメよりは実写がいいってことで、すっかりディズニーさんとも縁遠くなってしまった。
 そんな状況だから、この映画も当初はまったく興味がなかったんだけれど、なんとトレント・レズナーとアティカス・ロスが音楽を手掛けていて、ジョン・バティステという黒人音楽家と一緒に作ったそのサントラがアカデミー賞を獲ったので、ならばいちおう観ておこうって気になった。
 物語の主人公は非常勤の音楽教師をしているジャズ・ピアニスト(声はジェイミー・フォックスですって。なんと)。音楽家としての成功を夢見つつ、小学校の教師として不本意な日々を過ごしてきた彼が、ある日、昔の教え子のつてで有名女性サキソフォン奏者との共演のチャンスを得る。さあ、ここが人生の転機――というその本番当日に、彼はマンホールに足を踏み外し、あの世へと向かう魂の世界(ソウルフル・ワールド)に入り込んでしまう。そこで知りあった22番(魂には名前がないので全員が番号で呼ばれている)の助けを借りて現世へ帰る道を模索した彼は……。
 なんかこう書くとありきたりでそれほどおもしろそうな映画には思えないけれど、でもそんなことはなく――。といいたかったけれど、正直なところ僕はそれほど楽しめなかった。やっぱマンホールに落ちて死んでしまうというシナリオがありきたり過ぎる。
 ピクサーの映像技術はあいかわらず見事だし、音楽もアカデミー賞を獲るだけあって良質なのは間違いなし。でもシナリオにまったく新鮮さが感じられないのが痛い。あの世とこの世の関係の描き方もなんだかいい加減な印象だし、輪廻転生をテーマにしてしまったところにエセ宗教的な安直さを感じてしまって、残念ながら僕はいまいち好きになれなかった。
(May. 09, 2021)