2022年9月の映画

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  1. コーダ あいのうた
  2. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

コーダ あいのうた

シアン・ヘダー監督/エミリア・ジョーンズ、エウヘニオ・ベルデス/2021年/アメリカ/Amazon Prime

コーダ あいのうた(字幕版)

 第94回アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞した作品。ミュージカルではないけれど、先月のミュージカル特集のとりを飾るような気分で観た。
 フランス映画のリメイクだという話だし、『コーダ あいのうた』というタイトルには妙な既視感があるから、きっとオリジナルも同じ題名なのだろうと思っていたら、元となった映画の邦題は『エール!』というのだそうだ。ぜんぜん違うじゃん!
 でもって、そちらのオリジナルは2014年の作品で、アカデミー賞の国際長編映画賞とかには引っかかってもいなかった。
 なんでそういう映画のリメイクが、映えあるアカデミー賞の最優秀作品賞に選ばれてしまうんだろうと不思議に思っていたのだけれど、観てみて、あぁと納得した。
 というのも、耳が聞こえない家族のもとに生まれ育った女の子が、音楽の才能を見い出され、音楽大学への進学を決意する――というこの映画の肝となるのが、主人公たちが歌う、アメリカ(とイギリス)のポップ・ミュージック史上に輝く名曲ばかりだったから。
 僕に馴染みのあるところでいえば、デヴィッド・ボウイの『スターマン』とか、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルのデュエット曲『ユアー・オール・アイ・ニード』とか。こんな名曲を可愛い女の子が歌う、家族愛あふれた映画を見せられたらば、そりゃ感動して当然かって思った。
 ただ、二年前に『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』ではなく、『パラサイト 半地下の家族』を選んだアカデミー賞の審査員たちが、その二年後になんでこういう映画を選んでよしとするのか、その辺の判断基準はダブル・スタンダードじゃんって気がして、若干すっきりしないものはあるけれど。
 まぁ、とりあえずいい映画でした。
 個人的には、主人公の晴れ舞台で、耳が聞こえない家族たちにフォーカスして、あえて音を消してみせた演出がとてもよかった。
 ちなみにタイトルの『CODA』は "Children of Deaf Adult/s" の略とのこと。
 直訳すれば「耳の聞こえない大人(たち)の子供」。まんまそのままだった。
(Sep. 11, 2022)

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

ジョン・ワッツ監督/トム・ホランド、デンゼイヤ/2021年/アメリカ/Amazon Prime

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム (字幕版)

 マーベルによってリブートされたスパイダーマン新三部作の完結編。
 公開前からこれはネタバレする前に観たほうがいいという噂があったけれど、なるほどその通りだったみたいだ。
 マーベル作品としては『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』につぐ高評価を受けている作品だから大いに期待していたのだけれど、僕はどういう映画か、あらかじめSNSで情報を知ってしまっていたせいもあって、正直なところ、いまいち楽しみきれなかった。
 いや、ところどころ涙を誘われたりもしたので、まちがいなく感動はしたし、おもしろかったとは思う。でも『インフィニティ・ウォー』のラストのなにそれ?――って驚きに比べると、ああなるほど、そういう風にくるのか、上手いなぁと客観的に感心してしまうレベルで、マーベルが提示してきたマルチヴァースという新世界にどっぷりとは浸り切れなかった。
 まぁ、いろいろ思うことがなくはないのだけれど、これ以上、世の中にネタバレのもととなる情報を増やすこともないだろうと思うので、この映画については、これといってなにも書かかずに終わりにします。あしからず。
 これに先行する『エターナル』は観ていないし、このあとのドクター・ストレンジの続編やマイティ・ソーの四本目もまったく興味がないので――というか、ソーに関しては積極的に観たくない。マッチョなナタリー・ポートマンなんて願い下げだ――これでもって僕のマーベルとのつきあいはいったん終了の予定。
(Sep. 11, 2022)