女王陛下のお気に入り
ヨルゴス・ランティモス監督/オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ/2018年/イギリス、アイルランド、アメリカ/Netflix
ウィキペディアを見たら、この映画が「歴史コメディ映画」だと紹介されていた。
え、これってコメディ? いったいどこに笑える要素が。
――あ、もしかして冒頭でエマ・ストーンが馬車から転げ落ちて泥まみれになったり、途中で貴族の男たちが裸で悪ふざけたりしているシーンがあったけれど、あれは笑う場面?
いやいや、それはちょっと高度すぎなのでは。
まぁ、ウディ・アレンによくあるタイプの、苦笑を誘う系のブラック・コメディだとするならば、もしかしたらそうなのかもしれないけれど。
いずれにせよ、僕にはこの映画はまったく笑えませんでした。
内容は十八世紀のイングランドの宮廷を舞台に、オリヴィア・コールマンという女優さん演じるアン王女と、彼女の幼馴染としての寵愛をいいことに宮廷を牛耳るレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)、そのサラの従妹として宮廷での仕事をもらいながら、サラを裏切ってアン女王に取り入ろうとするアビゲイル(エマ・ストーン)、この三人のあいだで繰り広げられる愛憎劇を描いてゆく。
この三人以外にも登場人物は出てくるけれど、男はみんな変なかつらをかぶっていて見分けがつきにくく、いまいち印象に残らないせいで、まるで彼女たち三人だけで成り立っているような印象の作品だった。
物語は史実に基づいているようだけれど、彼女たち三人が同性愛の三角関係にあったという部分はおそらく創作なんでしょう。実際にそんな事実があったとしても、当時の文献にそんなことが書いてあるとも思えない。
まぁ、いずれにせよ、美女ふたりが小太り女王の寵愛を奪い合ったあげく、誰ひとり幸せになれずに終わってしまうので、いまいち後味はよくなかった。
(Mar. 2, 2024)