ヘイル、シーザー!
ジョエル&イーサン・コーエン監督/ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー/2016年/アメリカ/Apple TV
ひさしぶりのコーエン兄弟作品。
タイトルが『ベン・ハー』とかのローマものを思わせたので、いまいち乗り気がしなくて長いこと放置してあったのだけれども、いざ観てみたらタイトルはローマが舞台の作中劇につけられたもので、物語自体にはローマ要素はほぼなし(ジョージ・クルーニーの衣装だけ)。
内容はさまざまなトラブルに悩まされる映画プロデューサー(演じるのはジョシュ・ブローリン)を中心に、五十年代の映画製作の裏側を描いた群像劇タッチのコメディだった。
ジョージ・クルーニー演じるローマ劇の主役俳優はコミュニストの脚本家チームに誘拐され、スカーレット・ヨハンソン演じる人気女優は不倫して妊娠、オールデン・エアエンライク(『ハン・ソロ』の主演の人ですって)演じるウエスタン俳優は大根すぎて、レイフ・ファインズ演じる映画監督を悩ませる、等々。
その他、双子(なのかな?)の記者役でティルダ・スウィントン、女性映画編集者役でフランシス・マクドーマンドなどもちょっとだけ出演している。
とにかく俳優陣は豪華で芸達者なひとたちばかり。撮影中の映画の一シーンとして本格的なミュージカルシーンがあったりもするし、犬と戯れるシーンとか、潜水艦のシーンとか、往年の名画っぽいシーンを次々と再現して見せるコーエン兄弟の映画オタク的な演出が楽しい好作品だった。
この内容で『ヘイル、シーザー!』というタイトルは失敗なのでは?
(Aug. 07, 2024)