ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
アレクサンダー・ペイン監督/ポール・ジアマッティ、ダヴィアン・ジョイ・ランドフル、ドミニク・セッサ/2023年/アメリカ/Amazon Prime
ポール・ジアマッティ主演で2023年のアカデミー作品賞にノミネートされたコメディ。
舞台は七十年代の男子寄宿学校。誰もが帰省して人影まばらになるクリスマス休暇中に、それぞれわけありで校内に取り残された三人――ポール・ジアマッティが演じる嫌われ者の教師と、ひとり息子をベトナム戦争で失ったばかりの学食の料理人(ダヴィアン・ジョイ・ランドフル)、再婚した母親からハブられた学生(ドミニク・セッサ)――が、嫌々ながら同じときを過ごすうちに、次第に打ち解けてゆく。
序盤の展開では、帰省できなかった学生が五人いたので、この子たちがなかよくなってゆく青春物語なのかと思っていたら、そのうち四人はコネを使った資産家の息子の帰省に便乗する形で姿を消してしまい、親と連絡が取れず許可が得られなかったひとりだけが取り残されるという可哀そうな展開に……。
結果として、体臭がひどい頑固者の老教師と、孤独な黒人中年女性、親に見放された悩める学生という三人が、校内に取り残されることになる。
とはいえ、それぞれ年が離れているし、立場も違うので、親しくなるにもほどがある。適度な距離感を持ちながら、お互いを受け入れあう――くらいの感じのほどほどの接近の仕方が、この映画のリアルなところだ。でもってそれゆえにそれほど感動的な映画にはなっていない要因でもある。
監督のアレクサンダー・ペインは、かつて『アバウト・シュミット』や『サイドウェイ』を撮った人だった。いわれてみれば、なるほどという感じ。べたな感動は狙っていないというか、なんだか微妙に受け取り方が難しくて、うまいこと感動させてくれないテイストがどれも似通っている。
(Mar. 05, 2025)