Coishikawa Scraps / Movies

2025年7月の映画

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  1. フロム・ダスク・ティル・ドーン

フロム・ダスク・ティル・ドーン

ロバート・ロドリゲス監督/ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ/1996年/アメリカ/Apple TV

フロム・ダスク・ティル・ドーン (字幕版)

 記憶がさだかじゃないのだけれど、この映画はたぶん映画館で観ている。

 クエンティン・タランティーノ脚本で、監督がロバート・ロドリゲス、主演はジョージ・クルーニー、タランティーノ、ハーヴェイ・カイテルという豪華な顔ぶれに惹かれて、内容をほとんど知らないまま観て、やたらとびっくりした記憶がある。

 だってなにこれ?

 強盗殺人を働いて逃亡中の兄弟――兄がジョージ・クルーニーでタランティーノが弟――が残虐非道の限りをつくすオープニングから、彼らがハーヴェイ・カイテルとふたりの子供の乗ったキャンピングカーを乗っ取って国境を越え、メキシコのストリップ・バーへとたどり着くまでの展開は最高だと思う。

 脚本はタランティーノの真骨頂という感じだし、ナイスミドルなイメージが強いジョージ・クルーニーのほれぼれとする悪党っぷりと、サイコな変質者役が際立つタランティーノのコンビは、ユーモラスで危なっかしくて最高だ(知りあいたくないけど)。彼らに捕らわれて災難にあうハーヴェイ・カイテルと娘役のジュリエット・ルイス(二十代前半なのに幼い!)とアジア系の青年の一家三人、中心となる主要キャラ五人のキャスティングは抜群だと思う。

 そんな彼らが辿り着いたお下劣でエロティックなストリップ・バーも――まぁ、好き嫌いは別として――ムードたっぷりでいい感じなのだけれど、そのあとが問題。そこで暴動が起こったところから、この映画はまったく違う様相を呈してしまう。

 いや、なぜその展開?

 『黄昏から夜明けまで』というタイトルからすれば、この映画は本来それ以降が主題なんだろうけれど、なまじそこまでが『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』に通じる味のあるクライム・ムービーだったので、そこからの開き直ったようなB級スプラッター・ホラーな展開には心底びっくり(がっかり)した。

 二度目の今回は、そういう映画だって知っていたから、さすがに驚きはなかったけれども、やっぱりなぜそうなる? と思わずにはいられなかった。こういうのが大好きな人がいるのはわかるんだけどねぇ。

 まぁ、店の裏側にじつは……というラストのワンシーンは気がきいているし、前半は文句なしなので、初見のときよりは印象がよかった気がしなくもない。

(Jul. 15, 2025)