ロック史上に残る名盤の制作にまつわる裏話を紹介するドキュメンタリー・シリーズのうちの一本。前から気になっていたシリーズだったのだけれど、もとはテレビの一時間番組っぽいし、わざわざ高い金を出して買うほどでもないなあと思って、保留になっていたもの。ここへきてようやく入手してもいいかなと思える価格になったので、めぼしいやつをまとめ買いした。
この作品が扱っているのは、ボブ・マーリィ&ウェイラーズがレゲエという音楽を世界に知らしめた記念碑的メジャー・デビュー・アルバム。いまとなると中心人物三人のうち、一般的にはもっとも知名度の低いバニー・ウェイラーしか生きていないのが残念なところだけれど、それでもなかなか興味深い話が聞けるし、断片的ながら貴重な演奏シーンもそれなりに見られる。
もっとも感心したのは、そのバンド唯一のサバイバーであるバニー・ウェイラーさんがとても歌が上手いこと。インタビューに答えながら、断片的なアコギの弾き語りを聞かせてくれているのだけれど、これがとても見事なのだった。不勉強な僕は、この人についてはまったくなにも知らなかったので、とても感銘を受けてしまった。いずれ機会があったらばソロを聴いてみたい。まあ、その前にボブ・マーリーをちゃんと聴けという話があるけれど。
あと、裏話でおっと思ったのが、アルバムのデラックス・エディションに収録されている、もっともポップなソウル・バラード "High Tide or Low Tide" が、(レゲエっぽくないので)「アルバム・カラーに合わないと思った」という、インターナショナル盤のプロデューサーの意見でカットされてしまったという話。僕はあの曲を初めて聴いた時に、どうしてこんなにいい曲がお蔵入りになってしまったんだろうと不思議に思ったものだったけれど、このドキュメンタリーを観たことでその謎が見事に解明して、ちょっとすっきりした気分になれた。
(Feb 18, 2007)