2007年7月の音楽

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  1. RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~ / RADWIMPS

RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~

RADWIMPS / 2006 / CD

RADWIMPS4~おかずのごはん~

 珍しく日本の新しいロック・バンドのアルバムを衝動買いした。
 でもって、これにむちゃくちゃはまった。自分でもびっくりするくらい、はまった。とにかくこの一週間、僕はひたすらこのアルバムばっかり聴いていた。うちでも電車の中でも、ひとりの時にはほとんどいつも、このアルバムを聴いていた。おかげで読みかけの本がほとんど進んでいない。読書が滞るくらい音楽に夢中になったのなんて、本当にひさしぶりだ。
 バンド名はラッドウィンプスと読む。神奈川県出身の四人組ロック・バンドで、メンバーは全員85年生まれの青年(僕よりも十九歳も年下というのには、ちょっとまいってしまう)。音楽的には、バンプ・オブ・チキンをちょっと線を細くして、きらびやかなアルペジオで飾り立てたような印象の音を聞かせる。曲調はバラエティに富んでいて、メロディーもキャッチーだし、演奏力もかなり高いと思う。
 でも、このバンドのなにが特別かって、やはりその歌詞の内容。ボーカリストでソングライターの野田洋次郎くんの書く歌は、僕がこれまでに聞いたことのないようなものだった。
 あきらかに彼には歌うべきことがある。彼オリジナルの言葉がある。
 彼の歌っているテーマは、ほぼすべてが恋愛についてだ。つまりラブソング。ただ、彼の歌は、ちまたにあふれる一般的なラブソングとはあきらかに違うレベルで歌われている。
 人を愛することは誰にだって特別なことだろう。でも野田という青年の場合、その特別さの度合が一般の人とは違うのだと思う。
 彼にとっての恋愛はあまりに特別で、人並みはずれて感動的なものなのだろう。だから勢いあまって、彼は恋人のなかに神を見いだしてしまう。そんな相手との出会いを奇跡と呼ぶ。そしてその奇跡を可能にしたスタート地点はということで、二人の誕生にまで思いをめぐらし、そこに生命の神秘を見いだしてしまう。さらには自分ごときに奇跡をもたらした存在への感謝の気持ちを、真正面から口にする。
 ということで、彼の歌には、「好きだ」と言う言葉に負けないくらい頻繁に、「神様」やら「奇跡」やら「遺伝子」やら「ありがとう」という言葉が登場することになる。
 ただ、勘違いしないで欲しいんだけれど、そうした言葉を使いながらも、彼の歌は決して説教くさくなったりはしない。反対にくだけまくっている。
 きっと彼自身は、自分の恋愛観が一般的ではないということを、十分に自覚しているのだと思う。だから本音をあからさまに歌いながらも、そこにユーモアを交えることを忘れない。愛と神と奇跡について歌いながら、同時に二十代の青年ならではの日常性を欠かさない。それはすっとぼけた 『おかずのごはん』 というアルバム・タイトルや、個々の楽曲のおちゃらけたタイトルからもあきらかだ。
 そういう風に真面目なものと不真面目なもの、聖なるものと俗なるものがごっちゃになった感覚。僕はこれこそまさにロックのエッセンスだと思う。そして、そうしたオリジナルでありながら普遍的なラブソングが、現在進行形のロック・サウンドに乗って歌われることに、強い感銘を受ける。このバンド、すごいと思う。
 なんだか、思うように伝えられなくて、もどかしくて仕方ないのだけれど、僕はとにかくこのアルバムが、たまらなく好きだ。
 二十歳{はたち}そこそこの青年の熱にあてられて、こういう素晴らしい音楽と出会えた幸せを、心のなかでこっそり、奇跡と呼んでみたくなる。
(Jul 07, 2007)