Planet Earth
Prince /2007 / CD
前作からわずか1年ちょっとのインターバルで登場したプリンスの新作。これが、これまでのキャリアでもっともすっきりした印象の作品に仕上がっている──と、まあ、僕個人は思う。
プリンスというと、これまでは音楽的にも人間的にも、脂ぎったイメージが強くあったけれど、そんな彼も来年でもう50歳だそうで、さすがに最近は人間的にもずいぶんと丸くなってきた印象がある。ひんぱんにライブを行っているユーザー・フレンドリーな姿勢にも、そんな変化が感じられるし、当然、作品にもその影響が出てきている。
シーラ・Eやウェンディ&リサら、80年代に一斉を風靡したころの仲間たちをゲストに迎えて録音されたこの作品では、基本的な音楽性はそのままながら、音のイメージが非常にさわやかだ。すごくリラックスして、軽快に演奏している感じがして、聴いていてとても気持ちいい。昔のプリンスには、こんな暑い時期に聴くのはちょっとと、ためらってしまうような濃厚さがあったけれど、この作品はそんなことがない。殿下の襟元はやたらと涼しげ。全10曲、45分足らずというアナログ時代の頃のようなコンパクトさも、そうした印象を強めていると思う。
お得意のスーパー・キャッチーなメロディをもつ Resolution でラストを飾ってみせた点も嬉しい。この夏の僕のお気に入りの一枚。
(Aug 26, 2007)