4:13 Dream
The Cure / 2008 / CD
ザ・キュアーの4年ぶり、通算13枚目となるスタジオ・レコーディング・アルバム。
先行シングル4枚がどれもキュアーらしさ全快ながら、出来としては平均的に思えたので、不覚にもこのアルバムにはそれほど大きな期待を寄せていなかったのだけれど、いやこれがいい。めちゃくちゃいい。シングル同様、やはり一曲一曲は平均的で突出した楽曲はないものの、それがアルバム単位にまとまったときのインパクトが絶大。これぞまさに僕の大好きなキュアーだ~、と叫びたくなるくらい、会心の仕上がりになっている。
僕はキュアーの音楽を聴くと、胸の真ん中が熱くなる。いい曲だと思って感動するとか、踊らずにはいられなくなるとかいうだけではなく、実際に胸の中になんらかの熱を持った物体が生まれたような、せつない感動をおぼえる。音楽を聴いて興奮することは数あれど、そんなふうな感動を与えてくれるバンドは、ほかにない。僕がキュアーを──ロバート・スミスという人を──特別視するのは、この熱のせいだ。
今度のアルバムにも、そんな胸の奥を熱くさせてくれる音楽がいっぱい詰まっている。というか、今回の作品では前の2枚よりも、その発熱の温度が高いように思う。そして音がみずみずしく、若々しい。もう素晴らしいったらありゃしない。ロックが好きでよかったと、心の底から思わせてくれる最高の作品。
(Nov 28, 2008)