2008年12月の音楽

Index

  1. Dig Out Your Soul / Oasis
  2. Consolers of the Lonely / The Raconteurs
  3. Strength in Numbers / The Music

Dig Out Your Soul

Oasis / 2008 / CD

Dig Out Your Soul

 音楽に関しては、今年もさんざんCDやDVDを買いまくっていたのに、感想を書いたのはそのうちのほんの一部だけだった。聴くだけは聴きまくっているのだけれど、なまじ量が多いので、ひとつひとつの聴きこみがあまくて、感想が書けないものばかり。いけねえなあと反省することしきりの一年だった。
 とりあえずそんな今年もあと二日なので、せめて最後にこの一年をふりかえって、気にかかっていながら、書かないままになってしまっていた作品をいくつかとりあげて、一年の終わりとしたい。でもって、来年はもっときちんと音楽についても書くと。それが09年に向けての課題のひとつ。
 さて、そうなるとまず取り上げておかないとと思うのがこれ。オアシスの通算7枚目のスタジオ・レコーディング・アルバム。
 オアシスについては、僕のなかではファースト、セカンドだけが別格で、それ以降、ギャラガー兄弟がロック・イコンとしてのステータスを確立したサードからあとは、ほとんど盛りあがったことがなかったのだけれど、今回はひさしぶりによかった。初期のような独特のグルーヴ感は薄れているものの、持ちまえのメロディーセンスが健在なところへきて、音作りがいい感じに乾いている──と僕は思う。ただ、まるで反対の感想を抱く人もいそうな気がする。
 なんにせよ、潤いのあるメロディーをうまい具合に引き締める、この適度にドライな音がいい。音響のよさを素直に楽しめる分、リアムのボーカルに拘泥する割合が低くなり、ノエルのあいかわらずのでしゃばりぶりがそれほど気にならない点も、個人的にはプラスの要因だと思った。まあ、どうせならば全曲リアムに歌わせてくれないかなという思いは変わらないけれど。
(Dec 29, 2008)

Consolers of the Lonely

The Raconteurs / 2008 / CD

CONSOLERS OF THE LONELY

 ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが同世代(なのかな?)のミュージシャンらと組んで結成したサイド・プロジェクト、ザ・ラカンターズのセカンド・アルバム。
 ストーンズの最新ライブ映画 『SHINE A LIGHT』 にもゲスト出演しているジャック・ホワイトだけれど、ミック・ジャガーらのお眼鏡にかなうだけあって、その古典的ロック志向は筋金入り。このアルバムも一聴したとたん、おおっこれぞまさしくロック、とその本格派なさじ加減に感心してしまうような説得力のある音を鳴らしてみせてくれている。いま、こういうのをやらせたら、この人の右に出るアーティストはいないんじゃないだろうか。ホワイト・ストライプスがギターとドラムだけという変則的なフォーマットなだけに、ツイン・ギターのフォーピース・バンドというこのグループの普通さは、かえって新鮮だった。ホワイト・ストライプスがベースレスであることをもの足りなく思っているような人には、もってこいのバンドだと思う。
 ちなみに僕がこのバンドの存在を知ったのは、ファーストがリリースされてかなりたってからで、「ほう、そんなバンドがあるんだ。いずれ聴かないと」と思っているうちに、そそくさと二枚目が出てしまった。で、ファーストをすっ飛ばしてセカンドを先に聴くことになって、あと追いでファーストをフォローすることになったのだけれど、なぜだかそちらは方はぼちぼち。ということで、どちらかというと、このセカンドがお薦めです。
(Dec 29, 2008)

Strength in Numbers

The Music / 2008 / CD

STRENGTH IN NUMBERS

 ザ・ミュージックというバンドについては、「ザ・音楽」なんて恐いもの知らずなバンド名に加えて、高い声をしたカーリーヘアのボーカリスト、ロバート・ハーヴェイのビジュアル・イメージと一本調子でダンサブルな音楽性のせいで、一過性のダンス・ミュージック・バンドだと勝手に思い込んでいたところがあった。
 ところが、最近になってBSデジタルで放送されていたMTVのライブ番組で、そのライブ・パフォーマンスを初めて観たことで、印象が一変。ハーヴェイくんはカーリーヘアをばっさり切り落として、キューピー人形みたいなヘアスタイルになっていて、バンド全体からは、やたらと生真面目なムードが漂っている。僕が勝手に思っていたようなミーハーなところはほとんどなく、そのパフォーマンスからはどちらかというと、ダンス・ミュージックに対する求道的なまでのストイックさが感じられた。おお、このバンドは思っていたよりもぜんぜん好みだと、いまさらながら思ったりした。
 ということで、そんな風に僕のなかでいきなりイメージチェンジを果たしたザ・ミュージックのサード・アルバムは──いままであまり身を入れて聴いてこなかったので、これまでの二枚よりもいいとか悪いとは云えないものの──、これまでになく好印象だった。ダンス・ビートとしての機能性をとことん追求まくっているようなこのバンドの音楽性は、きっちりはまれば、すごく癖になりそうな気がする。
(Dec 29, 2008)