2009年4月の音楽

Index

  1. A Woman A Man Walked By / P J Harvey & John Parish
  2. シャンブル / ユニコーン

A Woman A Man Walked By

PJ Harvey & John Parish / 2009 / CD

Woman a Man Walked By

 現在、新譜がリリースされると聞いて、僕にとってもっとも期待値が高い女性アーティストがこのPJハーヴィー。これまでの作品のどれひとつとっても、それほど聴き込んでいないくせに、なぜか新作が出ると聞くと、いつも期待で胸がわくわくする。それは彼女のサウンドのコアとなるのが基本的に荒削りなギター・サウンドだからだと思う。そのボーカルが大好きなことはもちろん、サウンド面でも理想的なオルタナティヴ・ギター・サウンドが聴ける──いや、聴けるかもしれない──、そういう期待値があるので、僕はいつでも彼女の新作を心から楽しみに待っている。
 前作の 『White Choak』 は、そんな僕の期待をものの見事に裏切ってくれた作品だった。これは彼女が独学で学んだという、きわめて初歩的なピアノをベースにした、とても静かな作品で、全編にわたってギターもドラムもほとんど鳴っていないという、これまでの作品からするとかなりの異色作だった。いまになって聴き直してみると決して悪い作品ではないのだけれど、うす暗闇のなかを漂うようなその抑えたトーンが当時の僕の気分にはまるでそぐわなくて、あまり聴かずに終わってしまった。
 それにつづく今回の最新作は、ジョン・パリッシュ――どういう経歴の人か、僕はまるで知らない――との13年ぶり、2度目のコラボレーション・アルバム。前作同様、音作りは全部パリッシュさんに任せて、PJ自身は作詞とボーカルだけに専念している。
 前作におけるパリッシュ氏の音作りはルーツ・ミュージック寄りで、PJハーヴィーのソロにはない、そのダウン・トゥ・アースな味わいが新鮮だったけれど、今回はアコギを多用している点は同じながら、雰囲気的にはもっと普通で、ちょっとおとなしめのPJハーヴィーのソロという感じになっている。前作は「ジョン・パリッシュ&ポーリー・ジーン・ハーヴィー」という名義だったのが、今回は「PJハーヴィー&ジョン・パリッシュ」と名前が逆転しているのも、その辺の変化を表しているのかもしれない。知名度からするとこちらのほうが普通な気がする。
 まあ、正直なところ、僕としてはもっとガリガリした音や重い音を聴かせて欲しいところなのだけれど、ソロじゃないんだから、その辺はないものねだりというもの。これはこれで悪くないので、しっかりと聴き込んで次のアルバムを楽しみに待ちたいと思う。
(Apr 22, 2009)

シャンブル

ユニコーン / 2009 / CD+DVD

シャンブル【初回生産限定盤】

 なんでだかよくわからないけれど、僕は現役時代──という言い方も変だけれど、代わりになんと言っていいのかわからない。第一期でしょうか。とにかくデビューから解散まで──のユニコーンをまったく知らない。
 そのころはロッキング・オンJAPANだって毎月買っていたはずなんだけれど、ユニコーンというバンドは不思議なくらい僕の視野に入っていなかった。奥田民生がソロ・デビューしたときだって、人気バンドのフロントマンが解散を経てソロになったという認識がまったくなく、いきなり鳴り物入りでデビューした大型新人みたいに思っていたような気がする。奥田民生を聴くようになってからも、ユニコーンについてはベスト盤を一枚聴いたきりで、さかのぼってフォローしようとは思わなかった。
 そんなわけで僕は今回のユニコーンの再結成に対しては特別な感慨はなく、数ある奥田民生のサイド・プロジェクトのひとつ、くらいの感じしかない。ライヴとかすごそうなので、そんな自分はかなり損をしている気がする。
 とはいえ、このアルバムについては奥田民生のナンバーの出来が非常にいいので、けっこう気に入っている。彼自身のソロに必ずあるおちゃらけた部分をほかのメンツに任せて、ストロング・スタイルの民生節をいつになくたっぷりと披露してくれている印象。阿部Bという人のボーカルも奥田民生にそっくりなので──うろんな僕は、おそらく云われなかったらば 『WAO!』 を歌っているのが奥田民生じゃないことに気がつかなかったと思う──、このふたりがボーカルをとる冒頭3曲と最後の5曲の流れはすごく好きだ。
 まあ、逆にいうとその他のメンバーがボーカルをとる曲が並んだ中間部分はそれほどでもないんだけれど、僕の場合、アルバム全編を通して好きといい切れないってのは奥田民生のソロでもしょっちゅうなので──そういえば結局 『FANTASTIC OT9』 の感想も書いてない──、過半数の曲で盛り上がれただけでも、このアルバムはよかった。
(Apr 28, 2009)