Hospice
The Antlers / 2009 / CD
これまたニューヨークのインディー・ロック・バンド。その名もなんとジ・アントラーズ。でもってジャケットは赤。鹿島アントラーズのサポーターとしては、これはチェックしておかないといけないんじゃないかと思って、MySpace で視聴してみたところ、なんだかとてもよさそうだったので、思いきって買って聴いてみた。そしたらこれが本当に素晴らしかった。僕のこの2週間で一番のヘビー・ローテーションになっている。
音の傾向はグリズリー・ベアの従兄弟、とでもいった感じ。つまり基本的には静かで繊細だけれど、ときどき激しくもなるというパターン。でもあちらほどにはリズムは凝っていないし(なんたって、いまどき珍しく正式メンバーにベーシストがいない)、ほぼ全曲がスローな曲だ。だからほとんど踊れない。音の基調をなすのは電子ピアノとナチュラル・トーンのエレクトリック・ギター。そして囁くようなボーカル。
なんでもこのアルバムは、ガンで入院中の大事な人を見守っているという内容のコンセプト・アルバムなんだそうだ。だからタイトルは 『ホスピス』。なるほどと思うような、静かでやさしく、もの悲しい──それでいてときにこらえきれなくなったように激しくなる──、そんな楽曲ばかりがずらりと並んでいる。病院ぎらいの僕には不似合いな気もするけれど、それでもこれは本当にいい。僕の今年のベスト5に入る。
ほんと、ここにある音楽は、病室の窓からレースのカーテンごしにそっと差し込んでくる陽の光みたいにやわらかく温かい。あまり好きな言葉じゃないのだけれど、病院をテーマにしてることだし、これってまさに「癒し系」なのでは……とか思う。こういうのを気に入って、さんざん繰り返して聴いていると、俺ってもしかして最近、ものすごくまいっているのかもと思ってしまう。
(Sep 05, 2009)