桜の花舞い上がる武道館
エレファントカシマシ / 2009年 / DVD
再ブレイクを果たしたエレカシがこの春に満を持して行った武道館公演の模様を完全収録した二枚組ライヴDVD。
この作品、「完全収録」といううたい文句に偽りはない。たんにあの日にやった曲を全部収録してあるというだけではなく、なんと曲間のMCはもとより、アンコールを待つ舞台裏の映像まで収録されている。これぞまさしく完全版。あの日の武道館公演をエレカシに密着した気分で疑似体験できる、ファンにとっては貴重な作品に仕上がっている。なんとなくエレカシ版の 『24』 みたいな感じがして、おもしろかった。
いやあ、しかし2時間半を超えるライブをこうやってフルタイム、映像としてみると、宮本がいかにすさまじいエネルギーをそそいで歌を歌い、演奏しているかがよくわかる。四十を過ぎていい加減に体力的な衰えもあるだろうに、その渾身のパフォーマンスはやはりハンパじゃない。同い年の男として頭が下がる。なまじカメラが延々と彼ばかりを追いつづけるので、消耗してゆくのが非常にリアルに感じられて、観終わるころには、こちらまでぐったりと疲れてしまった。
まあ、その反面、観ていて不満に思ったのが、宮本ばかりにスポットが当たっていて、ほかのメンバーがほとんど目立っていない点。バンドのメンバーである石くん、セイちゃん、トミはもとより、エレカシにとって重要な存在になりつつある蔦谷くんとヒラマくん、ゲストの金原千恵子オーケストラのみなさんがアップで映るシーンがとても少ない。まるで宮本のソロ・コンサートみたいな印象さえある。その点はとても残念。もっといま現在のエレカシというバンドの全体像がしっかりと見てとれるような演出にして欲しかった。
(Oct 03, 2009)