ドリーマーズ・ハイ
RADWIMPS / 2013 / CD Single
野田洋次郎のソロ、illion のアルバム『UBU』から、わずか半月ちょいという、「なぜ?」ってインターバルでリリースされたRADWIMPSの最新シングル。
この曲、イントロがシンセっぽいので、最初に聴いたときには、ついにRADWIMPSでも野田くんがキーボードを弾きまくり始めたのかと思ったのだけれど、よく聴けば、音こそシンセだけれど、フレージングはギターのそれだった。つまり桑原くんがエフェクトに凝りまくっているだけなんだろうと思われる。イントロにかぎらず、全編に渡って、きらきら華やかなサウンド・デザインが施されている。
で、曲自体はというと、3枚目あたりを思い出させる可愛いメロディに、『シュプレヒコール』と同じようなシビアな世界観を語る、意味のつかみにくい歌詞が乗ったもの。要するに、昔ながらのセンスを感じさせつつも、新しいサウンドで、より真摯なメッセージを使えようとしている意欲作。──だとは思うんだけれど、僕としては、かつてのようには歌詞の意味がダイレクトに伝わってこないところが、前作同様に残念ではある。
ただ、その分、カップリングの『シザースタンド』が素晴らしい。こっちは音作りも世界観も、もっとミニマムなラブソング。こちらも歌詞には、やや抽象的なところがあるけれど、それでも非常にせつない思いが伝わってくるし、アコースティック・ギターとドラムの音色がすごくいい。今年の僕にとってのベスト・ソングのひとつ。
(May 12, 2013)