2015年3月の音楽

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  1. Tyranny / Julian Casablancas + The Voidz

Tyranny

Julian Casablankcas + The Voidz / MP3 / 2014

Tyranny

 ストロークスのフロントマン、ジュリアン・カサブランカズのソロ第二弾。
 去年リリースされたニュー・アルバムのうちで、僕がもっとも音響的におもしろいと思ったのはこの作品。
 だって、なんですか、このゴリゴリとした、やかましい音は。音の粒子が粗いというか、一音一音がぶっとくて乱暴な感じ。それでいてどことなくユーモラスなところもある。金属にたとえるならば、錬鉄でできた{いびつ}なオブジェみたい。
 ビート感に妙なぎこちなさがあるところはストロークスに通じるけれど、とにかくそれ以外の音の方向性がまったく違う。このアルバムの音はとにかくやかましくて暴力的だ。なるほど、このソロ・アルバムには「暴虐」というタイトルがふさわしいかもしれない。
 とはいえ、そのやかましい音作りでもって鳴らしているメロディは、それなりにポップだったりする。この部分のギャップがとてもおもしろいと思う。
 音圧だけならばナイン・インチ・ネイルズやプロディジーとため張れそうなのに、メロディーがポップなもので、インダストリアルな方面へは行かずに、独特のロック・ミュージックに仕上がっている。そこがなによりいい。
 ピッチフォークではなぜ?ってくらいの低評価を受けていたけれど、僕はこのアルバム、とてもおもしろくていいと思う。MP3が安かったのでダウンロードしちゃったけれど、CDかアナログ盤で買いなおしてもいいかなと思うくらい。
 まぁ、とはいいつつ、あまりに音圧が高いため、一回聴いただけで疲れちゃって、あまり繰り返して聴こうって気になれないのが珠にきずかな──と思わないでもない。
(Mar 22, 2015)