RESTART/今を歌え
エレファントカシマシ / 2017 / CD
エレカシの記念すべき五十枚目のシングルとのこと。もうそんなになるのか、すげーなぁと素直に感心してしまった。
一曲目の『RESTART』は企画ものの時代劇のタイアップ曲だというのでどんなもんかと思っていたけれど、これが予想外にいい曲だった。『ズレてる方がいい』もそうだけれど、時代劇とのタイアップって、下手にラブソングを意識しなくていい分、宮本に向いているのかもしれない。
とにかく、このところのシングルの中ではもっともパワフルだし、無骨なリズムと男くさいメッセージが宮本らしくていい。とくにサビの「お陽様は東から、俺はこの場所から」というフレーズが最高にいいっ。
昔からあてもなくどこかへ行こうとばかり歌っている宮本だけれど、この曲では「俺はこの場所から」と現在地点を明確にすることで、前へ進もうって意志の強さに説得力を持たせることができていると思う。その部分を聴くたびに毎回胸が熱くなる。
カップリングの『今を歌え』もテレビドラマのタイアップ曲とのことで、こちらは最近のエレカシらしい静かなバラード。これも悪くはないけれど、かといって特別つよくは惹かれず。でもライヴで聴かせてもらったときには、その抑え気味な演奏がとても好印象だった。
いやでも、とにかく『RESTART』がいいです。ジャケットのアートワークは最近のシングルではもっともかっこいいし、初回限定盤についてくるボーナス・ディスクには僕個人がファンになって以来初めて見逃した今年の野音の音源──それも『曙光』『too fine life』『男は行く』などのエピック・ソニー時代の名曲を含む──が十四曲収録されている。
三十周年のアニバーサリー・イヤーのとりを飾るシングルとしては出色の内容なのではないかと思います。
(Dec 29, 2017)