Kicks
Rickie Lee Jones / 2019 / CD
去年のオーチャード・ホールでの来日公演からかれこれ一年。つまりそのライヴの直前にリリースされたこのアルバムも一年前の作品ということになるのだけれど、やっぱひとことくらいなにか書いとかなきゃってことで、いまさらながら。
リッキー・リー・ジョーンズの最新作は『Girls at Her Volcano』からカウントすると通算五枚目となるカバー・アルバム。
ライブ盤だった『Girls at Her Volcano』やオールディーズ集の『Pop Pop』を別とすると、それ以降の三枚はどれも普通に好きなロック・ナンバーをカバーしましたって感じの作品なので、僕みたいな平凡なロック・ファンにとっては、とても聴きやすい。
まぁ、ストーンズの『悪魔を憐れむ歌』なんかを聴かせてくれた前回の『The Devil You Know』とは違って、今回の作品では僕になじみのあるアーティストの曲はひとつも取り上げられていないけれど、それでもバッド・カンパニーやエルトン・ジョン、アメリカ、スティーヴ・ミラー・バンドなど、聴く人にとってはとてもポピュラーなんだろうってナンバーが並んでいる(とはいえ、いちばんメジャーそうなのは『マック・ザ・ナイフ』?)。
音作りの感触は前作の『The Other Side of Desire』と同系統。弦やホーン、電子ピアノにスティール・ギターなど、けっこう多彩な音が加わっているわりには、全体的に印象はとても控えめで、アコースティックで温かみのあるバンド・サウンドがとても心地よい。
個人的なお気に入りは去年のライブで聴かせてもらったアメリカの『Lonely People』。電子ピアノとチェロの音が印象的なとても可愛い曲。
ほかだと『Nagasaki』なんてタイトルの曲があるのも、日本人としては気になるところ。この曲はベニー・グッドマンなどのバージョンが有名なオールディーズとのこと(なにがどう長崎なのは知りません)。
あと、最後から二番目に収録されているスキータ・デイヴィスという女性のヒット曲『The End of the World』は、『この世の果てまで』という邦題で、カーペンターズや竹内まりや、原田知世も取り上げている大ヒット曲らしい。いわれてみれば聴いたことがあるような……というレベルなのがわれながら残念だ。
(May. 17, 2020)