2021年12月の音楽

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  1. FOREVER DAZE / RADWIMPS

FOREVER DAZE

RADWIMPS / 2021

FOREVER DAZE (15th Anniversary Box)(初回限定盤)(Blu-Ray付)

 『ANTI ANTI GENERATION』からおよそ三年ぶりとなるRADWIMPSのオリジナル・スタジオ盤。
 三年ぶりとはいっても、その間には『天気の子』のサントラも出ているし、『夏のせい ep』や震災チャリティのコンピ盤も出たし、さらには配信シングルのリリースも盛んに行われていたので、そんなにあいだが空いている気がしない。
 だからというわけではないけれど、僕にとってこれほど「待望の」という枕詞{まくらことば}がふさわしくないラッドの新譜は初めてじゃないかと思う。
 そもそも先行配信されたシングル曲のほとんどが僕の趣味からはズレている。
 『夏のせい』『猫じゃらし』『鋼の羽根』『うたかた歌』など大半はバラードだし。
 『ONE PIECE』のコラボ曲『TWILIGHT』はアッパーだけれど電子加工されたボーカルがどうにも気持ちよくない。
 『SUMMER DAZE 2021』は80年代風シンセ・サウンドの英語曲。
 でもって、『FOREVER DAZE』というスマートなアルバム・タイトルに、ファッション・ブランドの広告のような洒落たアートワークとくる。
 これらすべてが僕が抱いているRADWIMPSというバンド・イメージを裏切っていた。俺が好きなラッドは『おかずのごはん』なんてふざけたサブタイトルをつけて、『セツナレンサ』みたいなギターリフの効いたアッパーなロック・ナンバーをガンガン鳴らすバンドだったんだよ~。
 ――ということで、聴くまでは今回はもしかしたらまったく盛り上がれないんじゃないかと心配していたんだけれど。
 でもいざアルバム一枚まとめて聴かせてもらえば、そこはそれ。十年以上大好きでいるバンドが全力で作った新譜がつまらないはずがないのだった。
 やはりちょっと違うよなぁと思うところはあるけれど、それでも思っていたよりもすんなりと楽しく聴くことができた。『海馬』『桃源郷』『MAKAFUKA』などの新曲はさすがのクオリティだと思うし、『うたかた歌』や『かたわれ』に七十年のフォークソングみたいな感触があるのも意外性があっておもしろい。『TWILIGHT』も音にも慣れてみれば、ライブ映えしそうないい曲だった。
 まぁ、どうにもバラードが多すぎる嫌いは否めないけれど、コロナ禍で「大騒ぎするのは悪!」みたいな状況下で生み出されたアルバムなのを考えると、こういうスローに傾いたバランス感覚が現時点でのヨージローにとってのリアルなのかなとも思う。この先もずっとこの方向性でいったりしないことを願うばかり。
 あと今作についてはCOVID-19のみならず、バンドが置かれた状況も影響しているんだろう。
 2015年にドラムの山口智史が病気でバンドを離脱してからすでに六年が過ぎ、今年はギターの桑原彰が不倫騒動を起こして活動休止。結果、現時点で残っているのは野田洋次郎とベースの武田祐介のふたりだけだ。
 全編にわたってシンセと打ち込みが多用されるようになったのは、そういうミニマムなバンド編成になった影響が少なからず音に反映された結果なんだろう。あと、映画のサントラの経験を経て、オーケストラを自在に使えるようになったのも大きいのではと思う。音作りの選択肢が多様化したことと、バンド編成の縮小が重なったことで、バンドの音が変わっていったのはある種の必然だったのだろう。
 僕が初めて彼らの音楽と触れてからかれこれ十五年。あぁ、ずいぶんと遠いところへ来ちゃったなぁという感慨を抱かずには聴けない新譜だった。
(Dec. 29, 2021)