2023年2月のサッカー

Index

  1. 02/11   横浜FM2-1甲府 (富士フィルム杯)
  2. 02/18 ○ 京都0-2鹿島 (J1・第1節)
  3. 02/25 ● 鹿島1-2川崎 (J1・第2節)

横浜F・マリノス2-1ヴァンフォーレ甲府

FUJIFILM SUPER CUP/2023年2月11日(土)/国立競技場/日本テレビ

 球春到来!――というにはまだ寒すぎる。まったくハルじゃない。
 それでも今週末にはJリーグが開幕する。今年はもう日本代表を観ないと決めたので、これまでとはいくぶん心持ちの違うサッカーライフの始まりだ。
 さぁ、ということで、W杯からおよそ二ヵ月ぶりのサッカー観戦。
 まずは毎年恒例のスーパーカップから(いまだにゼロックス杯と呼びそうになる)。対戦するのは昨年度J1チャンピオンのF・マリノスと、天皇杯は優勝したものの、J2では18位のヴァンフォーレ甲府。
 そんなもの観なくても結果は歴然じゃん?
 ――と思ったのに、意外とそんなことないのがぼくらのJリーグ。甲府が思ったより善戦したので、カテゴリー差から想像するような一方的な試合にはならなかった。
 まぁ、とはいっても前半と後半に1点ずつを決めたマリノスの攻撃は文句なしで、さすがに前年度王者って感じだったけれど。決めたのはエウベルと(知らないうちにトップ下にコンバートされていた)西村拓真で、そこまでに何人もの選手が絡んでくるところがさすが王者。今年も簡単に勝てる相手ではなさそうだ。
 ――ってまぁ、翌日に行われた水戸とのプレシーズンマッチに2年連続で負けた鹿島が簡単に勝てるクラブがどれだけあるんだって話なんだけれど。
 対する甲府も前半の最後に一矢報いて一度は試合を振り出しに戻したのはグー。
 決めたのは今年京都から加入してきたウタカで、最初はオフサイドの判定だったのが、長いVARでの確認のあと、主審のオンフィールドレビューをへてゴールと認められたもの。判定が出るまで5分くらいかかったのは長すぎたけれど、でも疑わしきは罰せずで、ゴールが認められたのはよかった。荒木友輔主審、ナイスジャッジ。
 甲府は後半の最後にもゴールを決めながら、今度は逆にVARに取り消されるというお気の毒サマな珍事があった。そちらはそれほど待つことなく、オンフィールドレビューもなしにさらっとオフサイドの判定が下ったので、そういう意味では前半のVARの事象は本当にややこしかったんだろう。ジャッジリプレイ案件待ったなし。
 まぁ、なんにしろ、そんなわけで最後の最後にあわや同点かってシーンもあったし、なかなか楽しい試合でした。
 そういや甲府では、去年の天皇杯優勝を花道に引退するのではといわれていた山本英臣(42歳!)が今年も現役続行を決めて最終ラインをまとめていた。
 この日の解説をしていた槙野とか、この頃は若くしてあっさりと現役を退いてしまう選手が多い中、そうやってしぶとく現役にしがみつく選手が僕は好きですよ。
 今年もがんばれ山本。
(Feb. 13, 2023)

京都サンガ0-2鹿島アントラーズ

J1・第1節/2023年2月18日(土)/サンガスタジアム by KYOCERA/DAZN

 Jリーグ開幕! そして今年も無事白星スタート!
 ということでまずは開幕戦のスタメンから。
 GKは早川。サブは沖で、クォン・スンテはベンチ外だった。
 クォン・スンテが今年も鹿島に残留したのは、韓国人の若いGKを獲得したので、後進の育成役を兼ねたコーチ的な役割を期待されての残留なんだろうか。そのへんの事情はよくわからない。なんにしろこの試合、クォンは不在だった。
 最終ラインはCBが植田と関川のコンビで、右に常本、左に安西という4バック。
 今シーズンの補強ポイントのひとり、昌子が怪我で出遅れてしまったので、関川が今年も開幕スタメンの座をゲットしたけれど、昌子が戻ってきたらどうなるのかが気がかりだ。先輩たちの出戻りは関川にしてみればおもしろくないだろう。彼のメンタルがちょっと心配。逆に関川にスタメンを奪われたら、昌子、植田のメンツにかかわるし。今年このふたりを揃って呼び戻したフロントの判断が正と出るか邪と出るかが、今シーズンの命運を握っている気がする。
 まぁ、昨年はCBにボランチにと大車輪の活躍をした三竿健斗が移籍してしまったので、その穴を埋める意味では昌子、植田、関川の三人がレギュラーを争うくらいの選手層の厚さがないことには優勝なんて狙えないってことなのかもしれない。
 中盤の四枚はダブル・ボランチがディエゴ・ピトゥカと新加入の佐野海舟、右サイドにこちらも新加入の藤井智也、右に樋口という形。
 でもってツートップが鈴木優磨と知念慶。
 フォーメーションは4-4-2ではなく、佐野を中盤の底にピトゥカ、樋口でトライアングルを作って、その前に佐野、優磨、知念が並んだ4-3-3っぽかった。
 ということで、開幕戦からいきなり新加入選手がスタメンに四名も名を連ねている。復活を期する荒木や松村、土居らはベンチスタート。せっかく戻ってきた染野なんてベンチにさえ入っていない。今年は彼ら控え組を腐らせずに、どれだけ上手く選手を使いこなしてゆくのかが、岩政の監督としての手腕の見せどころだろう。
 ――とはいえ、誰もが出番を熱望しているだろうこの開幕戦での途中出場は土居、松村、カイキ、垣田裕暉{かきたゆうき}の四人のみで、荒木を使わずに、交替枠を一枚余らせて終わってしまったあたりは、最初からいささか心許ない。結局エヴェラウドを使いこなせないまま放出してしまった岩政だしなぁ……。
 まぁ、なんにしろ新加入の三名(当然ながら植田は新加入という気がしない)はみなそれぞれに持ち味を発揮していいプレーをしていました。
 知念はポストプレーが収まるし、足元も上手いしで、こんなにいいFWだったっけって感じだった。藤井も縦への仕掛けが速く、サイドへの抜け出しからクロスを入れるシーンが何度かあって好印象だった。
 佐野は(僕がとくに注目していなかったせいか)これといって目立つプレーこそなかったけれど、玄人受けするみたいで、ネットでは絶賛されていたりするし、中盤の潰し役として三竿の後釜にはもってこいなのかも。次節からはもっと注目して観よう。
 まぁ、とりあえず、チーム全体でハイプレスから積極的にボールを奪いにゆき、ハードワークする姿勢が徹底されていて、なかなかいい内容だったと思う。プレシーズンはJ2勢相手に一勝もできずに終わったというのでどうなるかと思っていたけれど、杞憂に終わってなによりだった。昨年プレーオフでなんとかJ1残留を決めた京都に勝てないようでは、優勝を狙うなんて公言するのもはばかられる。
 京都はスタメン全員が日本人で、今回も僕が知っているのは豊川だけだった。まぁ、曺貴裁監督は曲者だし、後半になってガンバから移籍してきたパトリックや一美らが出てきていくらか攻撃の迫力が増したけれど、それにしたって負けていい相手じゃない。きっちりと勝ち点3を獲得できてよかった。
 得点は前半8分がピトゥカ。セットプレーからのクリアボールが落ちてきたところをダイレクト・ボレーで決めた。綺麗な弾道を描く見事なミドルシュートだった。この早い時間帯の先制点はほんと貴重だった。ピトゥカありがとう!
 2点目は優磨が相手DFのトラップミスでゴール前へと流れたボールを横からかっさらってフリーの知念にラストパス。知念がこれをワントラップして落ち着いて決めた。
 そのあとに優磨が京都のサポーターへの挑発行為でイエローをもらったのはいただけないけれど(なぜそういうことをするかな)、今年も彼の出来が鹿島の成績を左右することになるのは間違いなさそうだ。
 まぁ、勝つことは勝ったけれど、得点はピトゥカの個人技と相手のミスからで、きちんと崩した形ではないのが若干気がかり。去年、岩政が正式に監督に就任して最初の福岡戦も同じような感じで勝ったものの、その後は得点力不足で失速してしまったのを思い出した。次は川崎だしなぁ……。
 まぁ、とりあえず、複数の選手が絡んだいい連係からフィニッシュに至ったシーンもひとつふたつはあったので、これからはそういうシーンをもっと増やしていってくれることを願ってやみません。きょうのところは初白星を素直に喜んで終わろう。
 さぁ、次節はいきなり前半戦の山場だ。
(Feb. 19, 2023)

鹿島アントラーズ1-2川崎フロンターレ

J1・第2節/2023年2月25日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 もはや呪いがかかっているとしか思えない。
 ここまで勝てないというのはすでに超常現象のレベルでは。
 今回のフロンターレ戦は始まる前から鹿島に有利な風が吹いていた。
 ジェジエウは開幕戦でレッドカードをもらって出場停止だし、車屋、登里のベテランDFふたりも怪我で欠場。さらには小林悠とレアンドロ・ダミアンもいない。
 敵の苦境を喜ぶのも情けないけれど、7年も勝ってないとなると、背に腹は代えられない。今回はこれまでの悪い流れを断ち切る千載一遇のチャンスだと思った。
 逆にいえば、これで勝てないようだと、この先も鬼木が監督をしているあいだは二度と川崎には勝てないのでは……と思ってしまうくらいの状況だった。そしたらまさかの逆転負け……。それもクラブ史上、最悪じゃないかってレベルの。
 まじで呪いや魔術のたぐいを疑いたくなる。
 この試合、入り方は最高だった。
 開始わずか4分で優磨が斜めに入れたクロスに知念が頭であわせて先制。知念にとっては二戦連発となる、素晴らしい古巣への恩返し弾。
 幸先よし!――これであともう1点取れれば、さすがにきょうは勝てるだろう――と思ったのに……。
 その後はゴールの匂いさえしなくなる。でもって、川崎に一方的に攻め込まれて、しのぎつづける展開になる。ボール保持率は川崎が71%と圧倒的だった。
 それでもこの日の鹿島は開幕戦同様しっかりと守れていた。佐野、ピトゥカ、樋口のトライアングを中心に的確に相手の攻撃の芽をつぶし、相手に得点機を与えない。
 とくに高めの位置から積極的に相手の最終ラインにプレスをかけてゆくピトゥカのハードワークぶりがすさまじかった。この一戦にかける彼のモチベーションの高さを感じさせた(まぁ、ほぼすべて無駄走りって感じだったけど)。
 守備的な展開になったこともあり、今回は佐野海舟のプレーもじっくりと観た。
 なるほど、中盤の底にしっかりと蓋として、不思議なくらいに見事に相手ボールを刈り取りまくってすごかった。守備的な戦い方をするならば、この先、彼は外せないかもしれない。
 ということで、先制したあとはただひたすら守りまくるだけって展開だったけれど、それでもそれって鹿島らしいっちゃらしい――というか、これでもし1-0のまま勝てていれば、これぞ鹿島の伝統っていえる会心の一勝だったと思う。
 ――それなのに。
 なぜに残り時間が10分を切ってから逆転を許すかな?
 それも相手は山村がレッドカードで退場して(仲間の突破を阻止したプレーがVARの介入によりDOGSOと判断された)、数的不利になっていたのにだよ?
 その状況での逆転負けは失態以外のなんでもない。
 僕が思う敗戦の理由は、単純に岩政のベンチワークのミスだ。
 この日の鹿島のスタメンは前節と一緒で、ベンチ入りしていたのは沖、広瀬、土居、荒木、仲間、松村、垣田の7人だった。
 要するに、GKとDFがひとりずつで、あとはすべて攻撃的な選手だった。
 つまりこの日のような専守防衛の試合で、途中から使える駒がなかったってことだ。このサブのメンツを見るかぎり、岩政の頭には守り切って勝つというゲームプランは最初からなかったんだろう。それでは守り切れなくてもしかたない。
 岩政が切ったカードも場当たり的すぎた。
 一人目は足を痛めた藤井→松村で、まぁこれはいい。スピードスターどうしの交替だったので、フォーメーション的には影響がなかった。
 守りに徹するならば、この時点で広瀬を入れて、常本をひとつ前にあげるという選択肢もありだった気がするけれど、まぁ、それは結果論だ。いまだからそう思うって話。
 それより問題はそのあとの三枚だ。
 知念、樋口にかえて荒木、仲間。そして優磨→垣田。
 単純計算すれば、ボランチの樋口がさがって攻撃的なふたりが入った分、守備力は低下している。そして現時点で垣田に優磨のかわりが務まるわけがない。
 さらにいうならば、5枚のカードを使い切らなかった点も納得がゆかない。鬼木が5枚をすべて使い切って攻撃を活性化させたのとは対照的だ――って、去年もそんなことを思った気がする。あぁ、進歩がない。
 まぁ、展開的に佐野とピトゥカを下げたくなかったのはわかるけれど、でもそれだったら使うべきは故障明けでいまだ本調子ではない荒木ではなくて、ベテランの土居でしょう?
 樋口が担っていた中盤の守備のタスクをそのまま仲間が引き継いだようにも見えなかったし、荒木、仲間の投入がそこまで機能していた守備的な戦い方を破綻させてしまった。色気を出して、あわよくばもう1点と思った采配が裏目に出た形。
 とはいえ、その結果が引き分けならばまだしも、逆転負けにつながるなんて……。
 さすがにその展開は予想できなかった。
 同点の場面は、川崎のCKから、垣田が簡単にクリアできそうなボールをたたきつけるヘディングで相手ボールにしてしまったのが始まりだった。垣田、FWとしての本能なのかもしれないけれど、たたきつけるヘディングは敵陣のゴール前でやってくれ。自陣の守備では遠くへ跳ね返してくれ。
 まぁ、そこから入れたクロスを、家長がバイシクルでゴール前に放り込み、大卒ルーキーの山田新{やまだしん}が決めた川崎の攻撃はそりゃ見事だったですけどねぇ。家長、さすがすぎる。そこまで目立っていなかった彼をいまさら活躍させてしまったのが運の尽きだ。マルシーニョも脇坂もいいとこなく交替に追い込んだのに、最後に残っていた最年長選手にやられるとは……。
 それにしても一昨年の宮城天、去年の佐々木旭につづき、今年も山田にJ初ゴールを許すって巡り合わせはなんなんだかな。ちゃんとルーキーにプロの厳しさを教えようぜ。逆に記念のゴールを献上してどうする。ここまで同じパターンがつづくと、まじで変な呪いがかかっているのではって気がしてくる。
 逆転ゴールにつながるシーンも、右サイドから突破を許した時点で、PA内に川崎の選手が数名入り込んできていたので、あ、こりゃまずいと思ったんだよなぁ……。
 案の定、そこから波状攻撃を受けて、なんとかしのいだかと思ったら、最後は荒木がシュートを腕で止めたという判定で、レッドカードをもらい退場。そしてPK……。あれは腕じゃなくて肩であって欲しかった……。
 というか、腕に当たったにしてもあれは故意ではないでしょう? 荒木はあくまで肩で止めようとしていたし、あそこはイエロー止まりでよくない、西村さん?
 そのPKにもまた余計なドラマがあった。
 一度は早川が止めた!――と喜んだのもつかの間。
 動き出すのが早かったということで蹴り直し。さすがにPKの名手・家長が二回連続で失敗するわけもなかった。
 あぁ、なぜ最後にそんな最悪のおまけがついてくるんだ……。
 ということで、7年ぶりの勝利まであと10分を切るところまで迫っていた今回の川崎戦は、長~いアディショナル・タイムでの劇的な逆転劇を含む最後の約15分でひっくり返って、最悪の結末に終わった。
 いまはただこの敗戦を糧に岩政が監督として一皮むけてくれることを祈るばかりだ。
(Feb. 26, 2023)