フランス1-2南アフリカ
グループA/2010年6月22日(火)/ブルームフォンテーン/NHK


グループリーグもいよいよ最終戦に突入。まずは開催国、南アフリカと前回準優勝のフランスの対決──なのだけれども。
いやしかしこれが、どちらも1敗1分けの勝ち点1で、決勝トーナメント進出は赤信号というチームどうし。すでに自力突破は無理で、まずは勝利が最低条件。なおかつ3~4点取らないとならないという。ここまで南アフリカが1得点、フランス0点という状況を考えると、どちらもすでに絶望的。
おまけにフランスは、アネルカがドメネク監督を批判したとかで、協会から追放処分を受け、それに反発した選手たちが練習をボイコットするという騒ぎまであった。どうにも戦う前から終わりが見えている感がある。そんな試合だから、観ているこちらもいまいち力が入らない。
はたして先制したのは南アフリカ。勝ち負けは別として、この時点でフランスのグループリーグ敗退はほぼ確定(とてもそこから4点とか取れるチーム状況とは思えなかった)。こうなりゃあとは南アフリカが開催国の意地をみせて、どれだけ得点を重ねられるかが見どころだと思っていると、そのちょっとあとにフランスの8番グルキュフ(かなりのイケメン)がセットプレーからの競り合いで肘打ちをしたとの判定を受けて、一発レッドで退場を食らってしまう。
さあ、これでさらにおもしろくなった。普通じゃいくらなんでも南アフリカに勝ち目はないけれど、数的有利な状況ならば、もしももあり得る──そう思っていると、期待通り、前半のうちに2点目が決まって、前半は南アフリカの2-0で終了。裏ではウルグアイがメキシコを1-0とリードしているという。つまりあと2点とれば、南アフリカの予選突破の可能性が出てくる。おー、これはもしかして?
……という期待がつづいたのも、後半25分までだった。後半も数的有利を生かしてゴールを目指した南アフリカだったけれど、3点目はなかなか奪えない。反対にフランスは後半10分に途中出場でアンリが登場したあたりから徐々に盛り返し始め、ついには25分に今大会初ゴールを決めてしまう。
これで万事休す。ひとり少ないのが嘘みたいに、そのころにはすっかり試合はフランス・ペースだったし(最終的なボール支配率は50%のイーヴン)、とても南アフリカに奇跡を起こすだけの余力はなかった。なんとか一矢を報いたフランスも、それ以上の得点は奪えず。結局、そこから先はスコアは動かないまま試合終了。両チームのグループリーグ敗退が決まった。
残念ながら開幕前の予想通り、開催国にして史上初のグループリーグ敗退という不名誉な記録を残してしまった南アフリカだけれど、初戦でメキシコと引き分け、この試合では不調とはいえフランスに勝っているんだから、決して悪い出来ではなかった(やっているサッカーはなんだかバタバタした印象だったけれど)。ただ、2戦目でウルグアイに3-0と大敗したのが痛すぎた。
いっぽうのフランスは98年以来、優勝、予選敗退、準優勝、予選敗退と、大会ごとに天国と地獄って感じの成績を交互に残している。このパターンで行くと次の大会はいい成績が期待できるってことになるけれど、でも見方を変えると、ヨーロッパでは強いけれど、よその大陸ではからきし駄目ってふうにも見える(とても内弁慶)。
はたして次の開催国、南米のブラジルではどっちに転ぶんだか。それはそれで一興だ。でも今回のような調子がつづいたら、ヨーロッパ予選を勝ち抜けるかもあやしい気がする。
(Jun 23, 2010)